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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第一章:大魔王の姫と勇者な執事?みたいな?
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38話:必殺技って叫んで打っても必殺だから叫ばざるをえないんだよね?

 暗くなっていく森の中を奔り走って飛んで蹴って突き進む。ああああもう!容赦なさすぎる!あいつの魔力は無尽蔵なの?!一体どんだけ撃ってきてるんだよ!!

 だからお返しだよえーい!あ、当たったかな?んああああ!攻撃激しくなったよ!バカだな!

 扇は空間を破壊したときに燃え尽きた。アレはもう使えないから最後の最後の武器を振るう。そう、桜の巨木の枝で掘りぬいた木剣。全霊を込めた最終兵器なんだよ?

 全霊をかけて霊気を纏わせ、剣を振るう。魔力を弾き、跳ねて辺りに四散させながら走りに走る。明日と言うより今既に気に苦痛を超えた激痛が足を襲っているけどそんなこと(泣き言)は言ってられない。足を回して速度を上げる。

 空を見上げれば白銀の魔王龍は螺旋を描きながら美しく幻想的な三つの月が昇る空に上がっていた。

 あそこまでは水は届けられない。雲の中なら何とかやれたけど、雲の上の更に上はちょっとね?どう足掻いても届かないんだよ!ああもっとこう油断してくれないかな?無理かな!


 森を抜け、この前ロベリアちゃんとビオラちゃんと来た公園へと出た。つまるところは開けた場所。ああここはあの魔王龍にとって格好の狩場だろう。


「さぁ、来いよ糞ったれが!見下ろしてないで降りて来いよ!うん、来ないよね!知ってる!」


 諸刃の木剣を構えて天空を見上げると風が舞い上がり、凍り付くような静寂が訪れた。


 ふと、ゾクリと怖気が走り、死の予感が己の脳を体を支配していく。うん、いわゆる一種の予知なんだけど、このタイミングじゃ全くいみがないからね!いつも通りだけど!!


 俺は死ねばあの場所で再び生き返る。それが勇者である俺の貰えた数少ない特権さんなんだ。


 けれども、だけど死ねないんだよ?好きな人に好きと言うまで死んでなんて、やれない。死ねば一生(死ぬほど)後悔するんだ。だからお前ごときに殺されてなんてやるものか!


「だから(勇者)お前(魔王)をぶっ飛ばす!!」


 最後の最後、とっておきのとっておきな木札達で陣を描き魔王龍の暴虐なる暴風を受け止める。


 巫術、第一の秘術/八咫鏡――


 己の力で呪術的な鏡を生み出し鏡という特性であらゆる力を受け止め、そのすべて中央に敷いた剣に集約させる――!本当は銅剣とか鉄剣でやるんだけどね!!砕けてくれるなよ――行けた!


 舞い上がる砂塵と桜の花びら。あの嵐が下ったとは思えない静けさが辺りに広がる。


 ああ、だからこそ魔王龍は気づいている筈だ。俺をあの一撃で仕留められていないことを。


 ――うん、でももう遅いんだよ?


「行くぜ行くぜ行くぜ!!これが!俺のぉ!!必殺だあああああああああああああああああ!!」


 収束させた暴虐の力を乗せた諸刃の木剣――巫術と木剣に敷いた術式により、倍々の倍の倍に乗算し、掛けて併せて全てを総じてエネルギーに転嫁した光り輝くその剣。()()を思い切り拳で突き上げ、天高くへと撃ち放つ!


 巫術、第弐の秘術/叢雲の剣――


 これが今の俺の放てる最高にして最大の一撃。


 放った左腕は余波ではじけ飛び、腕としての機能は砕けて散った。くそ痛いよ!こんにゃろう!!


『こんなものッッ!!』


 最速の魔王龍は空を切り、ソニックブームを巻き散らしながら飛びまわる。差し迫る叢雲の剣の一撃に魔力弾を撃ち放つがそれすらをもたやすく切り裂いて剣は加速し続ける。


 叢雲とはすなわ眼前の総て。切れないものなど、無い!


「ああそうさ。お前は魔王の中では最速なんだろうな?」


 剣は魔力を解き放ち、更に加速を続ける。


「だが、俺の剣の方がもっと速いんだよ?」


 豪速の剣は最速にて神速に至る。いかなるものもこの剣を避けるに叶わず。必中にして必殺。


『があああああああああああああ!!!』


「つらぬぅけえええええええええええええ!」


 瞬間、光が溢れ、魔力が、霊力が爆散し撃ち貫いた魔王龍の体を内面から吹き飛ばしたのだった。





 ――だが、魔王龍はそれでも尚、堕ちることは無かった。


 体中から赤い体液を吹き出し、あらゆる場所が破け、砕け散り、体内の魔石すらひび割れた魔王はそれでも空から落ちることなく勇者(オレ)を見下ろしていた。


 ああ、最悪だ。打てる手は全部撃ち尽くした。


 それでもあの魔王龍は堕とせない。あと、そう、一手。どうしても最後の一手が足りない。


 そうするうちに魔王の体は再生してゆく。完全ではなく不完全にではあるが、あふれ出る血は止まり出し既に致死の域は脱しているようだった。


『勇者よ――。僕はお前に出会えて光栄に思う。認めよう。これほどまでに心が躍ったことは無い。これほどまでに全力をぶつけられたことは無い。ああ、そうだお前だ。お前こそが勇者だ。だから』


 風が再び収束した魔力が塊となって光を放つ。先ほどとは比べ物にならないほどに力は落ちている。しかし、それでもなお俺を殺しきるには十二分の一撃。


『だからこそ(魔王)お前(勇者)を倒そう』


 解き放たれた魔王の最後の咆哮を逃れる術もなく、俺は光に包まれた――


絶望が俺のゴールだあああああああああ!!アフン

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