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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第一章:大魔王の姫と勇者な執事?みたいな?
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34話:外道も雑魚もお料理したら割といけたりするよね?

 ふぅと息を吐いて前を見据える。ああ逢いたかったよ糞野郎。一昨日ぶりかな?はろはろ?


「ああ、まさかとは思ったが勇者がこの城で働いているだなんて思わなったぞ?はは、弱いから思わず潰しちまって後悔したんだよなぁ」

「え、なに?おっちゃん俺を喰う気だったの?俺そんな気無いよ!後ろの初めては譲らないぞ!!」


 前もまだなのに後ろが先なんて絶対に嫌だからね!え?何の話かって?ふふ秘密?


「妙なテンションな奴だと思ったが、煩い男だ。だが……ああ、お前の悲鳴はどんな声なんだろうな?それが今から楽しみでならん。こいつらはもう、動かなくなっちまったからなぁ」


 言って岩のおっさんは自分の服をメリメリと破く。嫌だな!おっさんの裸なんて見たく――




 その男の体にあったのは魂が抜け落ちたような顔をした少女達の(むくろ)だった。


 腕も足も無く、ただ生きるのに最低限の部分しか残されていない。


 あー……なるほどなー。喰ったのか、勇者を。しかも何人も。そんでその生命力を餌にしてるんだ。聞いていて不思議だったんだよね?いくら魔王でも体内で軍を生み出せるほどに魔石を生み出せるのかって?勇者は殺されなければ死ねない。だから栄養さえ与えていれば永遠に魔力を供給し続ける。まるで枯渇しない石油だな!


「……しかし女ばっかりとは趣味がいいねーおっさん。男はだめだったのかい?」

「ああ、男は魔力はエネルギーになるが壊れたら面白くないからな子供たちの栄養にしてる。だが、女エネルギーも食えるし、壊れても命を宿せるだろ?こいつをみれば勇者共は怯みやがるしな!」


 がはははと男は楽しそうに笑う。うん、すごく楽しそうだ!

 そりゃあ笑えるよね!倒しに来たんじゃなくて飛んで火にいる夏の虫?というか口を開けていたら美味しいご飯がわんこそばのように自動的に落ちて来るんだよ!しかも勇者は栄養抜群で、少女だったら魔力を奪うだけじゃなくて、その胎で魔石を大量にご馳走様で戦力が増えていくって訳なんだよ!頭いい!


「だから死ねばいいんじゃないかな?」

「俺は死なんぞ?このおもちゃがある限りは俺は死なん!ははは、お前を魔力タンクにすればいい部下が育ちそうだ!ああ、いいことを思いついた!あの姫を喰ったらその魔石でできた子にお前を喰わせてやろう!生きたまま、その愛を抱いて永遠に生き続ければいい!」


 ぞぶりと地面が揺らぎ魔王の体の少女たちが()き始める。現れたのは五十を超えるゴーレムの群れ。大きさは大体三メートルほど。うん、数も多いけど質もいいなー。


「手足は邪魔だから全部引きちぎれ!ああ、死なせないように口の中に泥を詰め込めよ?」


 おお、と声なく土くれたちが一斉にこちらへと襲い掛かる。


「ああ、お前の足元は既に泥沼だ。せいぜいもがいて見せろ」


 うん、嫌だよ?ドロドロになんてさせちゃったらせっかくこの一張羅を作ってくれたアラク姉(クレオ)さんに申し訳なさすぎるよ!というか、見え見えだよ?だから最初から地面に足なんてつけていなかったから引っかからないって!あ、ほらおっちゃんの大事なゴーレム君たち沈んでくよ?仕方ないから俺が泥にする範囲広げておいたから!俺ってば超優しい!


「は!?な、何だと!」


 あ、驚いてる!たのしー!あとはゴーレムたちに特製の手投げ手裏剣のプレゼントだよ!あ、効いてない?知ってる!おっちゃんにもたくさんあげるね!大奮発だよ?


「糞が!無駄な事をして無駄に足掻くんじゃねぇ!とっとと俺に喰われろおおおおお!!」


 半脱ぎだったおっちゃんが全裸になって巨大化していく。おお!ビルよりでっかいよ!でも、子供も食べちゃったよ?いいのかな?


『があああああああああああああああああ!!』


 巨大な腕は豪速で動きこちらを叩き潰そうと幾重にも振りかぶってくる。けどそんなんじゃ当たってやれないなー。早いしうっとおしいけど、ダメダメだよ?人だった時の方が動きはましなんじゃないかなって?


「ダメだよ?早くて強くてうっとおしいけどね?うんうん、それじゃあ俺には当たらないよ?」


 岩が又四方から襲い来るがその技も空を切る。あれれ?知らないのかな?同じ技は二度は通じないんだよ?だから初撃で俺を喰うしかなかったんだ。でも、もう無理だからね!残念だね!だから岩男のおっちゃんには残念賞をプレゼントだ!


「――雨たもれ、雨たもれ、 雲にかかれ、鳴神じゃ!」


 しゃなり、しゃなりと土くれたちの頭を蹴って舞い踊る。手には扇。祝詞を幾度も口ずさみ、歌い詠って吟って謳う。


『な、何だと……』


 ゴロリと、空が震え空が翳る。


 ぽつりぽつりと振り出した雨はコロシアムを包み込み、激しい雷雨へと変わる。


 雨ごいの儀、これもまた前の世界で俺のお仕事だったんだよ?世界が違ってもいけるもんだな!


「雨は嫌いかな?でも泥とか使ってたし?お水大好きさんだよね!?

『こんなことぐらいで何を――芽?』


 あ、気づいた?そう、芽だよ?植物っていいよね!見てると心が穏やかになるし、アレだよ?グリーンセラピーなんてあるんだから?だから沢山さっきプレゼントしておいたんだよ?ほらアレだよ、木札?


『な、何だ、こいつは!この!なんなんだ!』


 知ってるー?土ってね、木の養分さんなんだよ?この植物は魔力のこもった土が大好きな巨躯の桜の種なんだよ!うん、実に興味深い!

 めきめきとモキュモキュと美味しそうに桜の魔木が土くれ(ゴーレム)達を喰っていく。あ、魔石がぽろぽろ落ちてってるんだよ!まずいのかな?


『ごんなごどで!ごの、おでがぁああああああああああ!!』


 うん、死ねばいいよ。命はね、どんなものでも生き返るものだとしても大事にしなきゃならないんだよ?そんなことも知らない糞ったれなお前は生きる価値すら、無い。


「土は土に。灰は灰に。土くれは土に還れ。そしてお前の罪を数えて消えろ。まぁ、数える脳みそもないんだろうけどね?」


『はがぁ!ごろず、ごろ、あが、ががあああああ!!……あきょ!?』


 巨大な岩石王の口から魔王の西瓜大程もある魔石がゴロリと落ちた。うん、さよなら?

 水を操ってその魔石を砕く。売ってもいいけど、あんなに大きいのはいらないかなって?うん、使いやすい大きさに砕いておこう!いずれ買う魔導ランプのために!あ、桜が咲いてるよ!綺麗だな?


とりあえず醤油と味醂で煮てみるテスト。

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