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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第一章:大魔王の姫と勇者な執事?みたいな?
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31話:男を見せなきゃ男が廃るんだけど男がダブり過ぎて男だらけな男祭りだよね?

 完全に予定を飛ばしに飛ばしてすっ飛ばして会場に躍り込んでしまった。

 本当なら魔王達が戦って、闘って、終わりの間際に颯爽と登場するつもりだった。

 でも、うん、泣いてたからね?あそこで行かないと男じゃないじゃない?無理でも無茶でも泣いてる好きな子がいれば笑顔で乗り込まないといけないんだよ。でもライガーがオコだった!うん、打ち合わせしてなかったからね!ごめん?


「ごめんじゃないよまったく。というか、君は強いが使用人だからね?こう、もっと普通の格好じゃないと――」

「そうだ。貴殿は昨日の使用人ではないか」


 見ると蝙蝠なおっさん、じゃないや、吸血鬼で浮気性のおっさん魔王がいた。あれ?奥さん睨んでるよ?参加する気なのかな?


「ふん、吾輩に睨まれて竦みもせんとはなかなかの胆力のようだが、ここは魔王の集いぞ?人である貴様が足を踏み入れてよい場所ではない」

「すごい目ぢからで見てくれてるけど、眼に力入れすぎると目に悪いかなって?ほら、血走ってるよ?なんか怖いよ!?」

「くくく、べらべらと良くしゃべる。いや、だが貴様。ただの道化ではないようだ。サンタクロースが本名ではあるまい、名を名乗れぃ!」


 吸血鬼のおっさんが叫ぶ。うん、威圧を放ってるからびりびりするよ?他の魔王さん達もこっち見てるし、あーもう、仕方ないなぁ。


「なんだかんだと言われたら、答えてあげるは――あ、この口上ダメ?うん、仕方ないね?」


 どうやらダメらしい。大魔王がバッテンしてる。誰も向こう見てないからってバッテンしてるよ!見てあげて、アレ大魔王だよ!


 はぁ、と大きく息を吐いて邪魔なマントを肌だ蹴る。マスクは投げ捨てた。うん、もうやけっぱちだよ?


「我は勇者なり!名は真人!姓は水無瀬!一身上の都合により大魔王の姫を妻に迎えたく参上した!文句がある魔王は勝手にかかってくるんだよ?」


 会場が一気に殺意に沸き立つ。うん、仕方ないね?魔王の集団に勇者が一人乗り込んだらこうなるよね?


「あ、ついでに言うと大魔王(グリム)とは遊び仲間なのでそこのところよろしく?みたいな?」


 あ、何人かずっこけた!ノリがいい魔王がいるよ!あとで友達になりに行こうかな?グリムはグリムで手を振ってるしね?


「がははは!面白い!面白いぞ小僧!なるほど、大魔王様がと仲がいいというのも嘘ではないのだろう。だがな?姫はそうやすやすと渡せん。吾輩もあの姫をもらい受けに来た一人なのだからな?」

「渡さないよ?欲で欲な強欲にまみれたおっさん達には特に渡せないかなって?あのおっさんとか舌なめずりしてるから食べる気だよ!怖いな!」

「うむ、流石に喰う気でいる奴はどうかと思うが、まぁ、ともかくお主は戦わなければならぬわけだ。そう、我ら魔王と貴様一人でな?」


 話には聞いている。通常魔王と戦う勇者は何人もの仲間とパーティを組み、戦いを挑むのだそうだ。熟練のパーティですらそれでも戦いに敗れるのだという。


「それはもちろん構わないよ?仲間いないしボッチだし、あれ、なんか泣けて来たぞ?あ、友達枠で大魔王随伴?できたら嬉しいかなって!あ、無理?ですよね!」

「くく、本気でわからん男よ。というか大魔王と仲がいいな……」


 うん、さしつさされつ?の仲だからね!うん、血みどろのどろどろだけど!ゲームばっかりしてるけど


「さぁ。場は整った――闘技会を開催する!実況を務めるは余!つまりは大魔王だ!民衆のみなも見ておるか―!」


 んんん?あれれれ?なんか外から聞こえるよ?まさかのもしかして外に中継されてるの!?お祭りだって聞いてたけどここまでやるか!?でも大魔王(グリム)ならやりかねないよ!あ、カメラこれかな?ピースピース!いぇーい?


「我が娘オウカを妻にせんとする魔王たちの群れにあられたるは一人の勇者!ちなみにこの勇者!他の魔王の前で盛大に好きだから覚悟で来てる!とかのたまってたりするぞ!ははは!うちの娘も耳まで真っ赤だ!って、まてアリス。ハンマーはアカン!……コホン、さぁ!まず襲い掛かる魔王は出て来いやぁ!」


 煽ってる!すっごい煽ってるよ!どこのM1だよ!スポーツじゃないからね!殺し合い的なアレだよ?殺伐だよ!あ、昔のコロッセオじゃん、なーんだー!人間と猛獣が同じ場所に放り込まれるとかそのままだね!うん、やばいな!?


「それでは吾輩が。くくく、我こそは魔王ドラキュリア・ヴァン・ロムネヤスカ!さぁ、勇者真人よ!いざ、いざいざ!!」


 ドラドラのおっさんがすらりとどこからか身の丈ほどのハルバートを抜き放つ。ドラドラの奥さんも目をキラキラしてるよ!うん、旦那さんの晴れ舞台だからね!でも一応謝っておくんだよ、ごめんね?


「ああ、いざ尋常に!勝負……なんだよ?」


 床に仕組まれた陣が起動し、戦いの意思を持つ二人を異空間へと放り込む。

 空は青く吹き抜け、組み上げられたるはまさしくコロッセオ。観客いないから寂しいな!というか再現するんならアリーナとかスタジアムでも良かったのになー。そう、埼玉あたりの?


「我が娘!オウカを求めし強者よ!その強さを示すがいい!」


 大魔王の声と同時にコロッセオに大きなドラの音が鳴り響く。


 さぁ、ここからが俺のステージだ!頑張るんだよ?

ソイヤ!ソイヤ!あ、そっちじゃないです?

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