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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第一章:大魔王の姫と勇者な執事?みたいな?
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閑話

 ――声。


 ――声が聞こえる。





『なんで見殺しにしたの?』


 ――それは助ければ俺が死んでいたから。救えば俺が死んでいた。


『なんで私たちを巻き込んだの?』


 ――俺が巻き込んだわけじゃない。……俺は巻き込みたくなかった。


『なんで俺を殺した?』


 ――それはお前が俺を殺そうとしたから。あの子を殺そうとしたから。


『なんでお前はあそこにいた?』


 ――それは俺は生きていなければいけなかったから。


『お前さえいなければ。死ななかった』


 ――そうなのかもしれない。


『お前さえいなければ。殺されなかった』


 ――そうなのだろう。


『お前がいたからあの子は死んだんだ』


 ――そうだ。


『お前が』


 ――けれど。


『全部お前のせいだ』


 ――だとしても。


 俺は生きていなければならなかった。あの子を護ると約束したのだから。……誓ったのだから。

 後悔も反省もしている。それでも俺は――……。





<応えよ――>


 澄んだ声が頭の中に響く。


<応えよ――護るべきものを失って汝はを求める?>


 求める、もの?


 ああ、そんなものは、決まっている……。


 ――力。力だ。力が欲しい。何物もをも寄せ付けぬ何者をも圧倒する力が欲しい。


<何故力を求める?汝には既に護るべきものは無い>


 だとしても。


<何故だ?>


 あれば護れる。


<何を?>


 そんなのは決まっている。


 ――今まで見捨ててしまった誰かを。


 ――今まで巻き込んでしまった誰かを。


 ――今まで殺してしまった誰かを。


 ――目の前の救いたい誰かを俺は護りたい。救いたい。手を、伸ばしたい。


 もう目の前で誰かが泣くのを見るのは嫌だ。


 もう目の前で誰かが殺されるのはごめんだ。


 もう目の前で大切な誰かを救えないのはまっぴらだ。


 それが俺の答えだ。


 俺は、力が、欲しい。


 ――目の前の護りたい誰かを護るだけの力を


<ならば、我が名を呼ぶがいい。我が名は――>


 目がつぶれそうなほどの光が溢れる中、俺は手を伸ばす。


 ああ、そうだ、助けるのだ。救うのだ。もう、二度と、後悔などしないように――。


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