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勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第一章:大魔王の姫と勇者な執事?みたいな?
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24話:魔王魔王と言うけれど頭の横から角が生えてれば魔王っぽいって思うよね?

 魔王の部屋を周りに回る。トカゲやら亀やら草やらバリバリっしゅしてるのもいたよ!そういえば吸血鬼の魔王の女王様は美人さんだった!娘さんも可愛かったなー……うん、ロベリアちゃんジトらないでね?仕方ないんだよ。男の子だからね!


「あれ?なんだか騒がしくないです?」

「窓の外だね」


 鬼な魔王なお兄さん?の部屋のシーツを交換しながら窓の外をみると先ほど回ってきた何人かの魔王達と例の金髪魔王に絡んで騒いでいた。


「何かあったんでしょうか?」

「んー……うんうん。何々?そいつが俺にぶつかってきたから教育してやっているんだ?弱小の魔王が粋がってるんじゃあない?人になり切れない愚図が?」


 岩ほどに大きい禿の巨漢が金髪のイケメンに上からモノ申している。うん、どう見てもひがんで絡んでるおっさんだよ?取り巻き魔王もそこそこに強そうなのにただのモブになってるし……。あ、こっそりと逃げてったよ!


「あー、あいつか。岩石王とか呼ばれてる魔王だよ。あの絡んでるやつ」

「知ってるの鬼のあんちゃん?」

「あんちゃんって……まぁいい。ああ、あいつは最近頭角を現してきた奴でな。ゴーレムから魔王になった成り上がり者だよ。部下は全部自分が生み出した奴だから自尊心が強すぎでな、他の奴を気遣う事も無いから魔王としては正直なぁ……」

「ふむ?魔王としてというとやっぱり統治者としてってこと?」

「ああ。俺の国は修羅の国と言われているが、みな幸せに暮らせるように努力している。料理も美味いし温泉も多い。建物も綺麗だぞ!勇者も俺と戦わずになんでか観光しに来るくらいだから争いも少ないんだぜ?」


 なるほど豊かな国なんだなー修羅の国?修羅なのに修羅ってないよ!


「だがあいつの国はダメだ。自分の分体を増やしているだけで、他の種族をすべて追いやってやがるんだ。下手すりゃ喰ってやがる。それに今回出てきたのは他の魔王の魔石を取り込んで自分の力を高めるためだろうしな」

「そういえば魔物にしかない魔石がなんでまた魔王にあるのかな?」

「ん?知らないのか?魔王ってのは魔石を大量に取り込んだり元々魔物だった奴がなるもんなんだ。だから人間が魔王になったってのもいるくらいだからな」

「じゃあその辺の野犬が魔石食べて突然魔王になったりとか?」

「ないない。魔石を食っても腹下すだけだ。しかも一つや二つくらいじゃならねーよ。そうさなぁ……手ごろなゴブリンあたりの魔石なら三千ってとこじゃねーか?それくらいの魔石を喰うんじゃなくて取り込むんだ。取り込み方はそれぞれだが、基本は肉に埋め込むんだ。まぁ一つ取り込んだら魔物になっちまうんだがな?」

「なるほどなー。うん、痛めんどくさそう?」

「それでもなる奴がいるんだよ。俺は元から魔石がある種族だから自力で魔王クラスになったんだがな!」


 なるほど、いい男だ。それでだけどお兄さんは武闘会にでるのかな?


「残念、でねーよ。メリットも無いし」

「そうなの?」

「ああ、まず妻が嫉妬する」

「鬼の嫁さんだからかー」

「鬼嫁って、恐妻家じゃないからな!うちのは美人で優しいんだぞ!?へ、下手な事いうんじゃねぇ」


 へっ、あんちゃん膝が震えてるぜ……。で、次は?


「……大魔王の姫の目は災厄だ。俺の国には連れて帰れねぇ。それが理由だ」


 睨むように鬼のあんちゃんは言う。確かにそうだ。オウカ姫の目は魔眼。普通の者が見れば気を失うか下手すれば死に至る。でも封印されてるよ?大魔王が厳重に?グルグルって?


「おめぇ、封がされているとはいえ大量の爆薬を家の中にためたままにしておけるか?しかもいつ爆発するかわかったもんじゃねえ奴だ」

「それは……」

「無理だろ?つまりはそういうわけだ。まともで頭の回る魔王は大体そうだ。あんな爆弾を嫁にしたいとはまず思わねぇ。それでも嫁にするつもりの奴は、あのハゲみたいに強さを求める馬鹿か、何か事情があって嫁にせざるを得ない阿呆かだよ」


 簡単に言えばまともな魔王であればあの子を嫁にしようだなんて考えないわけだ。それならダメじゃないか?誰があの子を幸せにするんだ?特にあの岩男はダメだ。嫁にしたら恐らく彼女は喰われる。そんなことは絶対に――


「あれ?あの金髪さんに庇われてるのってビオラちゃんじゃ……って、真人様!?」

「ふぅ。今!必殺のぉー!!Wエクストリいいいいいいいいいいいいいいいいム?」


 助走をつけて四階からの飛び下ろし蹴り!木札をはたいて風を繰り、纏い、包んで風圧と暴風を加えに加えて蹴り落す!!うん、大魔王用に温めてたネタ技だよ!!


「――なんだぁ?おめぇは?」

「いや、何というか知り合いに絡んでいて助けてくれてる人にまで絡んでる迷惑さんに注意喚起の飛び蹴りをかましたところだよ?」


 ううん、上半身がポロリとしたけど生えてきちゃったよ!流石すごいな?


「だ、ダメです真人さん!そのお方は……」

「んーいいから早く向こうに行ってなさいな?あー金髪のあんちゃんごめんありがと?もう少し早く気づいてれば良かったんだけど」

「くすくす、構わないよこれくらい。だけど魔王にケンカ売って良かったのかい?」

「あーダメだろうねー。だから怒りが俺に向いてる間にどっかに行っててくれると嬉しいかなって?」

「そうさせてもらおう。しかし魔王の攻撃をかわしつつ話すだなんて余裕だね?」

「んー、そろそろヤバいかな?」


 手元に木札が無くなっている。疾風!切札!的なさっきの技で使い切っちゃったよ?昨日増やして無かったのにお仕事でもかなり使っていたのが痛かったよ!


「ふざけやがって、この、クソがぁ!ああ!?俺の事舐めてんのがおらぁ!!」

「人の皮をかぶった土くれさんがわんわんって吠えてらっしゃるよ。わんこかな?わんわんお?そんなにがっついてお腹が空いてるのかな?ほれほれここ掘れわんわん?」

「がああああ!!」


 うんうん、上手いこと頭に血が上ってらっしゃる。荒ぶるような攻撃を避けに躱して避けて躱す。けれどももう持たない。恐らく()()()()()()()()()()しね?


「真人さま!!」

「砕け散れ――」


 岩が四方から包み込むように体をゴリゴリガリガリと磨り潰す。皮膚も骨も内臓もすべてが砕けていく中、横目で金髪がビオラちゃんを連れて去っていくのが見えた。怪我は無かったかな?無かったならいいな?


 焼けつくような痛みの中でロベリアちゃんの悲痛な声が響くのを聞きながら俺の意識は潰えた。うん、ごめんね?

流石にダブルエクストリームは無理だったんだよ……。真っ二つだからね!

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