表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第一章:大魔王の姫と勇者な執事?みたいな?
20/554

20話:生きてる意味なんて無駄に難しいこと考えてグルグルと迷走することってよくあるよね?

 カリカリカリカリ。手を動かせど意識はどこかへ空中浮遊でフラフラのふやふやで頭の中がぐるぐるのグダグダで見上げてはため息を何度も付きそうになる。うん、我慢はしたんだよ!

 今日も今日とてサクラちゃんのところにご飯を運んだあとで勉強を教えてもらっている。こんなことをしてももう何もかも無意味なんだと、何を努力したところで真央が帰ってくるわけじゃないんだと。そんなことは頭では理解しているんだ。けれどもね、生き抜くために動いてきた己の体は自然と頑張ろうと動き出していたんだよ?フシギダネ?


「どうかされたのですか?いつもと、こう雰囲気が違う感じがしますが?」

「んーそうだね。何というか次に何をしようかーという意欲的な何かがなくなっちゃってちょっとというかものすんごく悩んでるところなんだよね?」


 サクラちゃんの首をかしげて困ったなって可愛い顔をみてると癒されるんだよ。じぃーとみるとね顔を赤くしてね、目を伏せてちらちら見てくるんだ!うん、何かすこーし回復したぞ?


「うぅ、そ、そんなにみられても何にも出せませんからね?あ、お茶のお代わりならありますけど?」

「うむ、来るしゅうない?」


 苦みたっぷりのお茶をお代わりして一息つく。ううん、やっぱりまずい!健康にはよさそうだけどね?


「それで、意欲がなくなったってどうされたんですか?」

「あーうん。帰ろうと思ってた家?と言うか妹が死んじゃってたみたいでね?そんで、自分が頑張ってきたことも頑張っていることも全部無意味だなーと思ったらちょっとだけね?虚しくなっちゃったんだよ。まぁそれでも手はこうして元気に動くんだけどね?」


 不思議だよね?生きている意味は無いって思ってるのに体は動いてしまうんだ!真央が死んでしまったら託して死んだ先代(あの子の母)に合わせる顔が無いのにね?


「それはきっと心のどこかでピーターさんが生きたいって思っているからだと思います。少なくとも私は生きていて欲しいです」

「でも、もう死んだも同然なんだよ?何も目的も目標も見えないんだ。俺は何をすればいいのかな?」

「それはピーターさんが決めることです。でも、同然なだけでピーターさんは生きてます。ほら」


 そっとサクラちゃんの白くてきれいな手がペンを握る俺の手を包み込む。彼女の手は少しひんやりとしていて柔らかかった。


「こんなにも貴方の手は暖かい。道が見えなくても、そのまま歩いちゃダメなんて誰が決めたわけじゃありませんよ?これからピーターさんが歩いていく場所が道になっていくんです。だからそのまま歩いて行っちゃえばいいんです」

「俺が歩く場所が道になるか……。うん、どこに行くか不安だなー」

「そんなの誰だって同じですよ。私だって――」


 何か言いかけてサクラちゃんは天窓を見上げてそこから見える輝く大樹の桜を見上げて、


「たとえ決められた線路の上を歩くしかないとしても、それでも前に進んで行くんですから」


 ちょっと悲しそうな笑顔でそう言った。


 これはもう思わず抱きしめても仕方が無いよね?うん、仕方ない!俺は悪くない!


「え、えと?ぴ、ピーターさん?」

「ごめん、少しだけこうさせておいて欲しいなって?うん。ほんの少しだけでいいから」


 俺より小さくて華奢な体を抱きしめる。顔を見ないで欲しいから。きっと今の俺ってひどい顔になってるしね?


「妹さんのこと、大好きだったんですね」

「ああ、自慢の妹だった。頑張り屋で努力家で、母親似の美人さんで、甘えん坊で」


 思い出を語れるだけ語りつくす。あの子が運動会で一等を取たこと、小さいころ一緒にキャンプに行ったこと、誕生日のプレゼントはいつも泣いて喜んでくれていたこと、帰って頭を撫でてあげると文句を言いながらも膝に乗ってきてくれていたなんてなんてことない思い出を……。

 でも真央が小学四年の頃におねしょをして泣いていたことを話したらちょっとだけ頭を小突かれたんだよ!痛いな?


「……ん、ありがとうサクラちゃん。ちょっとだけ元気になった」

「ふふ、良かったです。でも、こんなことあんまりしちゃダメですからね?女の子は勘違いしやすい生き物なんですから」


 うん、その可愛い笑顔に俺も勘違いしそうになるよ?でもね、きっとなんでもない人にはこんな風にはできないんだ。


「もう、そんなことばかり言って。あ、そうだ!ピーターさん。良かったらですけど私のとっておき……見てみませんか?」

「何かな?肩から鎖骨にかけてのラインかな?うん、奇麗だな?」

「そ、そこは見なくていいです!というか胸元は見ちゃだめです!」


 うんうん恥じらいが可愛いな!割と大き目だしね、サクラちゃん!でも可愛いネグリジェでもそんなに開いてたら見て欲しいって言ってるようなものなんだよ?


「え、えっち……」


 ぷうと膨らませてジトだった。仕方ないんだよ?男の子だからどうしても視線が行っちゃうんだ!あ、うん、だから辞書は駄目だよ?凹むからね?壁じゃなくてね?俺の頭がね!?


サクラ汁とかくとなんだか卑猥な語感に感じてしまうのはきっと気のせいだよね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ