表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者だけど大魔王城で執事やってます。え、チートってもらえるものなの?  作者: 黒丸オコジョ
第三章:炎の龍と温泉と、勇者な執事でベストマッチ!
138/554

6話:山の上の温泉地でも美味しいんだけどお刺身が出てくるのって不思議だよね?

 温泉地でありながら海があり、ビーチすらある。うん、これやっぱり箱根だよね!ベランダからのロケーションが最高だよ!!


「畳に、ちゃぶ台に、テレビに、掛け軸……。いせ、いせかい……異世界……」


 んん?反応が少ないぞ!夏凛ちゃんが頭を抱えてプルプルと震えている。うん、ヒトの国側はこういう向こうの世界側の文化を取り入れたりしてないって話だしね!気にしたらきっと、負けなんだぞ?はっ!まさか、異世界と伊勢をかけた高度な……。


「それはともかくとして部屋割りはいかがなされますか?」

「んー各個人別でいいんじゃないかな?一応スイートだから部屋数はたくさんあるし」


 というよりも旅館が完全貸し切りになっているらしいからね!うん、ここまでやってくれるなんて本当にありがたいんだよ!


「この旅館のオーナーが元勇者で向こうの世界ではイタマエの修行をされていたとかで、新鮮な魚をお刺身で出してくださるとのことです」

「おお、刺身!刺身を食べられるの!?それは素晴らしいぞぉ!」


 大魔王城は海まで遠く、まだ流通が完全じゃないせいで冷蔵輸送が確立できておらず、刺身と言っても解凍モノがほとんど。刺身もまずくはないんだけど、ちゃんとした板前さんがさばいてくれる刺身というものは格別なのだ!ふふふ、これは晩御飯に期待が持てるよ!


「はぁ、やっとさっぱりしたわ……。話には聞いてたけどここの大浴場は広くて良かったわって、どうしたん?」

「うん、新鮮な海産物を食べられる期待感に胸躍らせてたところだよ。っと、夏凛ちゃんもお風呂行って来たらいいんだよ。ほら、うん。久々の温泉だし?」


 というかちょろっとしちゃってるみたいだし?と言ったらタオルを投げられた。うん、ごめんね!デリカシー無かったかな!


「いいよ、バカ。はぁ、温泉で気分変えてくらぁ!」


 バスタオルと諸々のお風呂セットを持ってすたこらと夏凛ちゃんは大浴場へと行ってしまった。……うん、ロベリアちゃんも行ってらっしゃい?


「え、入らないとダメです?」

「ダメです。まったく、目を話すと水浴びだけで済まそうとするんだから」


 そう、何を隠そうロベリアちゃんはお風呂ギライなのだ。洗顔と歯磨きはきちんとしているし、髪の毛は水で流しているけれども、基本お風呂に入っていない。体の汚れはぬれタオルで吹いてるだけ見たいだった。


「ぶぅ、だって熱いお湯につかっちゃうとふやけるんですよ?真人様はふにゃふにゃの私がいいんですか?」

「ぶーたれる顔も可愛いけどダメなものはダメだよ?というか、きれいにしないと添い寝禁止令を出しちゃうから」

「そんな!?それはダメです!」


 ガン、と何やら衝撃を受けたような顔をしていそいそと荷物をまとめて夏凛ちゃんを追いかけて行ってしまった。う、うん。言い過ぎたかな?


「というよりも、ロベリアちゃんに添い寝してあげてるんやなぁ」

「しないと寝付けないみたいだからね」


 なんでか知らないけど俺のそばだと普段より深く眠れるらしい。うん、なんでかは俺にもわからん!


「そんで、そこの大きなトランクは真人さんのやろ?まだ開けへんの?」

「うん、何が入ってるか確認しないといけないから今から開けるんだよ」

「いやいや、これ真人さんのじゃないん?」


 俺のだよ?俺のだけどいつの間にかこう、誰かが入ってるみたいでね。開けるとあらびっくりな感じで誰かが飛び出してくるんだよ!たぶん?


「俺の荷物さんも心配だけど、そろそろ開けてあげないと中の子が心配だからね?そういうわけで御開帳ー!」


 鍵を回してトランクをキィと開く。


 ――流れるようにあふれ出したの美しい銀色だった。


 涙を目にしたためた金色の瞳が俺を捕え――


「うわぁあああん!まーくん!狭かったですぅ!怖かったですぅ!がたがたって、がたんがたんて!真っ暗で身動きが取れなくて!呼んでも呼んでもだれも開けてくれなくてぇ!怖かったよおおお!」


 うん?サクラちゃん?サクラちゃん!?何でここにいるのかな!!


「うぅ、だって。まーくんがお城に来てるのにまた逢えないと思ったらいてもたってもいられなくって、トランクに転移の魔法陣を仕掛けておいたの」


 なるほどな!それでいつの間にかトランクの中に入っていたのかー。


「長旅お疲れさまでした。トランクでの移動はいかがでしたでしょうか?」

「最悪でした。うぅ、何度頭をぶつけて、何度吐きそうに……。ああ、その前におトイレ!おトイレにいってきます!」

「はい、そちらの角を曲がって赤いマークになりますので」


 バタバタと慌てた様子でサクラちゃんはお化粧室へと駆け込んで行ってしまった。


「……サテラさん、最初から気づいたよね?」

「はい。いいお薬だと思いましたので。放置させていただきました」


 うん、こういうところがちょっぴりスパルタなところだよね。ってあれ?サテラさんいつの間にゴーグルなんて?


「ええ、どうやらまだ魔布を巻かれていないようでしたのでオウカ姫様の魔眼対策に。この体ではオウカ姫様の魔眼の影響を受けてしまいますので」


 なるほど、ゴーグルで回避できるわけか。流石サテラさん、物知りだ!


 ……あれ?それじゃあまマネちゃんは……?


「うきゅぅ……」


 うん、また気絶してるや!流石だよマネちゃん、天丼ネタは鉄板だから仕方ないね!

 俺は目をぐるぐると回すマネちゃんの頭をそっと撫でてあげたのだった。合掌!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ