13話:猫の手でも借りたいって借りてどうするのか気になるよね?
裁縫はね、できないと丸出しのままになるから生き抜くには必須スキルなんだよ!スキル覧にはなかった気がするけど!
「そういう訳でパンツが欲し「え、いやだけど?」
最速でアラクネのおクレオさんに断られたよ!でもね、好感度さんがこのままだとピンチなの!ほら、後ろのロベリアちゃんもジトなんだよ!
「そりゃそうでしょ、と言うか女性にパンツを一緒に買いに行ってくれなんて言って喜んでOKする子がいると思う?」
「……いないの?」
「いるわけないでしょ!全く、頭が回るのに何で女心がわからないのかがわからないわ」
いやいや、昔から女心と秋の空といいまして、秋の空のように移ろいやすいものが女心と言うやつでして、それを男の俺がわかるわけがないのかなって?あ、セクハラって事ですね、ごめんなさい。
「わかればよろしい。あと、私の好感度ってのも考えてもらえないのかしら?女性に下着を作ってくれってどうなのよ。しかも私の糸ででなんて」
「だって、肌触りすっごくいいし、仕上がりも素敵だし?」
今着ているバトラー服はクレオさんの糸でできていて、染め上げも自分でやっていると言うのだから驚きである。肌ざわりも良くて、頑丈で、伸びもいいんだよ!
しかも、出す糸を変えれるらしく、ゴムのように伸縮性が抜群でありながら切れることなく頑丈なんだ!
しかもクレオさんの腕はぴかいちだ!だからクレオさんが作るパンツが欲しいなって?欲しくない?高そうだけど!欲しいなって!
「いやよ。まったくもう、いい店教えてあげるから明日行ってきなさいな。前借の件は私からメイド長のダリアに言っておくからさ」
「え、いいの?」
「そうじゃないとあんた、余った下着ない?とか他の人に聞いて回りそうな気がするしね……」
「ダメだった?」
「ダメに決まってるでしょ!」
いや、聞くなら男子だよ?だけどこのお城にいる人って大体尻尾が生えてるんだよ。頼めるとしたら……グリムくらい?ぶかぶかだな!
「うん、いいから明日行ってきなさい。あと付き合ってくれる子には美味しいモノでもおごってあげなさいよ?」
「それはもちろん。お世話になるしね。あ、それじゃあ美味しいお店も一緒に教えて欲しいかな?あと、休める公園的なところも教えてくれるといいなって!」
「こういう所は抜け目ないのにどーしてこうなのかねぇ……」
あれ?ジトだよ?ロベリアちゃんもジトだ!なんでだ!?
落ちも着いたところで仕事の手伝いを始める。お仕事の手伝いというか、大量発注されたバトラー服とメイド服を作る手が足りてないという事だ。あれ?クレオさんアラクネだから手と言うか足がたくさん……はい!ごめんなさい!猫の手でも借りたいんですね!蜘蛛だけど!って、いま頭掠ったよ!なんか壁に少し穴開いてるし!
クレオさんは八本の足を起用に操り、複数の糸を一枚の布へと仕上げていき、裁断し、両の手で綺麗に服へと仕立てられていく。
早くて、綺麗で、丁寧な仕上がりだ!流石に追いつけないよ!?
「いや、なんで追いつこうとしてるの?流石に追いつかれたらお手上げなんだけど、なんで布から服に仕上げるスピードは私に迫ろうとしてるのよ!?」
「手が2本追加であればアシュラさえ凌駕できそうだけど、残念ながらそんなに手はないから手を尽くして手をまわしてぐるぐるとやっているだけだよ?」
「うん、よくわかんないけどやっぱりアンタが馬鹿だって事は分かったわ」
おかしいな?これでも学校では成績は上位だったんだよ?学校に行けてなったから進学がやばかったけど!
「馬鹿よね?」
「馬鹿ですね。とっても馬鹿だと思います」
二人がジトだ!泣いちゃうよ?高校生がみっともなく大声でわんわんと泣いちゃうよ?うん、ひどくないかな?え、残当?バカな!!
夕食の手伝いをサクッと仕上げて揚げ物のトンカツでサクサクでで二度揚げのお仕事を龍のおっちゃんにぶん投げで訓練場にルンルン気分でたどり着く。
石鹸にタオルに髭剃りをさっき作った風呂桶に入れて準備は万端だ!お風呂!久々のお風呂だよ!
死ぬ前から考えて大体一週間ぶりくらいのお風呂なんだよ!心の洗濯、魂の洗濯、ついでに体を洗い流すんだよ!逆かな?
「お、やっと来たなって、何だいその桶は?」
「作ったんだよ?楽しみだったからね!」
ライガのあんちゃんはあきれ顔だけど何度でも言おう!お風呂で温泉なんだよ!楽しみじゃないわけが無いじゃないか!あそこかな?違うかな?うん、そわそわわするんだよ!
「そういえば仮面は付けてないんだね?」
「あ、忘れてた。まぁいいかなって」
「い、いいの?」
「なんとなく恥ずかしくてつけてただけだしねー」
ピーターって名前もニックネームだしね!あ、ビーターじゃないよ?でも流石にピーターパンは長いよね!パン君じゃないよ?うきき?
訓練場の裏手を進んでいくと小川の傍に小さい小屋が立てられていた。温泉が湧き出るというか、井戸を掘り進んでいたら偶然出たらしい。ありがとう偶然さん!俺のためにありがとう!
うんうん、硫黄の匂いはしないし、流れ出てる湯の色は綺麗だから単純泉かな?アルカリ性でお肌がすべすべになるんだよ!楽しみだな!
「それじゃあボクはこれで」
「え?一緒に入らないの?温泉だよ?ポカポカだよ?タオル二つあるよ?」
「い、いや、流石にその、恥ずかしいなって……」
「何を恥ずかしがることがあるんだよ?生まれたときはみな裸だよ?おばあちゃんが言っていた。裸の付き合いは絆をさらにきつくするって?」
「む、う、で、でもなぁ……。僕は、そ、その……」
「こんなこともあろうかと湯上りのフルーツ牛乳を二人分作ってきてるんだよ。甘くておいしいよ?」
あ、固まった。モノすっごく考えてぞ!もうひと押しかな?
「きっとライおっさんも絆を固めろって事で俺をここに連れてくるのをOKしてくれたんじゃないかな?それなら一緒に入ろう、入るべきだよ!」
なんだか年も近そうだしね!おっさんもきっと気を使ってくれたんだよ?
「く、う、わ、分かったよ、もう……だ、だけど、笑うなよ?ぜ、絶対笑うなよ?」
ふりかな?押すなよ押すなよ的な?くるりんぱかな?でもそれってたぶん龍おっさんのネタだよ!似てないけど!!
羞恥心とはね、投げ捨てるものなんだってエロい人が言ってた!
でも恥じらいは大事なんだよ?