10話:友情を破壊するとか言われるゲームで友情をはぐくむって矛盾してるよね?
「それで、昨日逢ったのだろう?」
ぽんぺぺぽピコピコぽんぺぺぺピコピコと特徴のある電子音が小さい部屋の中に鳴り響く。
うはは、これで勝利は確定!ヴィクトリーだ!!
「ああ!ハンマーを!?それは余のだぞ!」
「逢ったって誰に?メイドさんかな?そして星となれ!!」
「明日もホームランだ!ってうぁああああ!くそう、何度目だ馬鹿!少しは手加減をだな!」
「うるへー!さっき俺をボコった大魔王には言われたくないぜ!うはは!俺のゲッ〇ウガぁに勝てるものか!」
「うぬぬ、次こそ!次こそは!〇ービーだ!カー〇ーで勝つ!!」
さっきの戦いから復活したあと大魔王と横にひっそりとある座敷の小部屋でス〇ブラ大会をやっていた。昨日蒸発した鬱憤と上半身吹っ飛ばされた鬱憤を全部ぶつけてやるんだよ!!次はハリセンを取ったどー!!
「くっそ卑怯だぞ真人!じゃなくて、だ!余の娘に、だ!サクラ……桜花には逢ったのだろう?」
「オウカが本名なのね?うん、サクラって名乗ってたからそっちで呼んでるよ?あと桜の木から落ちてた?そして再び星となれ!」
「ああ、流星のごとく!となるとまた逢いに行ってたわけか。寂しがりやと言う訳ではないんだがな……」
「逢いに?あ、ゴールデンハンマーだ。光になれええええええええ!」
「んごおおおお!くぅ、容赦なさすぎるぞ!逢いに行ってたのはあの子の母親の形見にだな。あの子がアレを継いでくれれば余も安心なのであるが……」
ふむ、アレとやらは相当すごいモノらしい。こう、受け継がれる鎧的な?キバっちゃうとか?運命の鎖とか解き放っちゃうとか?ブロンさんは……よそう、この話は!
「で、何をやっているんですかあなたたちは?」
「何ってスマブ〇を……あ」
アリステラさん、違うんだ。違うんだよ?さぼってないよ?そう!ただ、鬱憤をね?晴らそうと?え?二時間経ってる?そだったか……あ、その、黒い鎧って本気モードですか?なんか出てますよ?オーラかな?ちょ、まっ――。
大魔王とまとめてオコだった。たんこぶが痛いな!
「ふふ、相変わらずですねあの人は」
「まったくもうひどい目にあったよ。アレだよ?あのおっさんの部屋ってゲームだけじゃなくて漫画とかラノベだらけだったんだよ?さぼり魔専用部屋だよ!」
普通の文学小説もあったけど言わなくていいよね?おっさんの好感度なんて知らないんだよ?
それにしてもここは明るい。魔石をたくさん使っているせいか、夜なのに向こうにいたころと同じくらいに光り輝いている。ムテキゲーマーかな?
「それではお腹も膨れましたし、まずは簡単な魔法の仕組みについてご説明しますね」
「そうかーおなか膨れたのかー。おかしいなー一人分しか持ってきてないのになー」
「ご、ご飯を食堂でたべてきたんです!たぶん、きっと!」
人と話すときは目と目を合わせないとだめだよー?ほら、こっちみて?綺麗な目なんだから……ね?
「こ、コホン。まず、基本的にこの世界は四つの要素から成り立っていると言われています。根源四素と言われいて、火・水・風・土がその四つに当てはまります」
「そこに熱・冷とか乾・湿とか入っちゃう感じ?」
「はい、基本の四素に先ほどピーターさんがおっしゃられた四つの性質が合わさって世界が成り立っている、と言うのが前提ですね」
なるほどなー。なんかどっかで聞いたことがある話だ!あれだ!アリアリさん?オラオラじゃなかったよね、たしか?
「この四素の力を陣を使い、マテリア……魔力を使う事により操作する技術。それが魔法です」
「マテリアってもう一つの元素的な?」
「はい、五素目ではないかとも言われていますが、これは他の物質に宿ることはあっても混じりあう事はありません。人やモノの魂の構成するもの、すべてのものを動かすエネルギーでしかありません。なので四素とは分けて考えるのが基本になります。そして、純粋な四素に魂を宿した存在、それが精霊です」
「そうなると精霊って触れるわけ?ぷにぷにかな?」
「んーぷにぷにかはわかりませんが、確かに触れますよ?ただ、単純な元素に近い精霊はごく小さいので目に見えるかは微妙ですが……」
なるほどなー。お札の効果が微妙だったのはそこらへんかな?こう、何か自分に言ってる気がするけど何言ってるかびみょーにしか伝わってない、的な?
「ううん、まずは文字を覚えるのが一番かな?あと、魔法の使い方?あ、光と闇魔法ってあるのかな!」
「マテリアの性質ですね。例えば大魔王様は闇、おね……アリステラさんは光の性質を持っているんですよ?」
アリステラさん光なの!?今日黒い鎧で真っ黒だったよ!クロクロケ?
「うう、それは鎧の性質ですね。ただ、マテリアの性質というものは分類をしているだけでどちらがいいと言う訳ではないんです。どれもただの要素でしかありませんので」
「なるほどなー。といかやっぱりサクラちゃんって勉強家というか学者的かな?どちらが悪か正義かで物事を見てない感じ」
「その、あまり好ましくないですか?」
不安げにサクラちゃんが上目遣いでこっちを見上げる。サラリと白くて長い髪をかき上げながら。うん、それは卑怯だよ?なんだかすっごく甘くていい香りがするし!!
「そんなことはない……かな。無いよ?うん。むしろその方が俺的にもいいし」
「そうですか、良かった……」
ほにゃと崩れた笑顔は可愛い。ううん、こう抱きしめたい感じ?
いかんな、いかん、いかんぞ!何というか何だろう?この子を見ていると胸の奥から熱い何かが湧き上がってくる感じがしてくるよ?病気かな?治るかな?
感想とかブクマとかしてくれたら嬉しいなって?