返れ 一話
敵を倒したばかりで満身創痍の少年は、助け出した少女に駆け寄り冷たくなったその身体を揺さぶる。
「嘘だって言ってくれ……」
少年は空へと叫んだ。
「ふー死体役って疲れるわ」
「今日も迫真の演技だったな」
ラスボスを倒した後にどちらかが死んだ設定で芝居をやるのが二人の日課である。
しかし実際はラスボスなど倒していない。
なぜならここはバーチャルゲームの中であり、実質的なラスボスなどいないからだ。
「いやー暇だなあ」
少年の名はショウ。リアルではただの学生だ。
「なんか面白い事ないかしらねー」
彼の従姉のネツキが呟く。
するとゲーム内に歪みが発生し、辺りが崩壊を始めた。
「アニメだと異世界いくパターンか?」
「なに暢気にしてんの逃げるよ!!」
二人はとにかく出口へ走っていく。プレイ中にVRスコープを外すとデータが飛ぶからだ。いわゆるコッリクさんだ。
「うお!?」
「いて!!」
他のユーザーと衝突し、皆まとめて歪みの中へ誘われる。
■
俺達はどうやら異界にきてしまったらしい。
人間が羽を生やして飛んでいたり、惑星間移動から建物まで地球より高度な文明がある。
信じられないがマジで、宇宙人クラスなわけだ。
「気絶したら元の世界に戻ってるよな?」
「というわけで管理シクヨロ」
「なにがというわけでなのか?」
俺達は