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理想 一話 チャンとホンの違いがわからない
――ここは最下層に作られた暗黒の都市。地図にのらず普通の人間がくるはずのない無法地帯。
「うわあああ!」
少年はたびたび意識をなくし、気がついたら知らないところで寝ていることがある。
{――なんで僕、いかついグラサンに追われてるんだ!?}
少年の名は雷鳴我門陽慈。ボンボンに生まれたが、双子男だったことから分家にもらわれた。
なんかどこかで見たようなかわいそうな設定を持つ、いまどきの小心者だ。
{なにか無意識に●イジ病的ななにかで、ストレスの反動からヤバイ事に首をつっこんだ!?}
俺はかつて散々暴れ回ったヤバイ力を持つ男。何も知らない彼の中に融合されている。
{あれ……意識が飛んでいる間に奴等から逃げられたみたいだ}
――というわけで家に帰る事にした。しかし散々走りまわって疲れた。
「……無理か」
意識を失ってる間に適当に着いていたらよかったのにな。
■
「取り逃がしただって?」
「姐さんすいやせん!!」
黒服の男は灰皿を叩きつけられる。
しかもこめかみ、地味に痛いところを的確に狙われた。
「次はないよ」
「ひいい……」