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クイオレ! 1
「おい、アンタ都会は初めてか?」
ガラの悪そうな露出の高い銀髪の女に問いかけられる。
「そうだけど」
移動はA線だろうか、なんてあたりを見渡す。
「田舎もんがキョロキョロしてるって思われるぞー」
さっきの女が1メートル先から、ケラケラと笑いながらからかってきた。
「悪かったな田舎もんだよ!」
今来た電車に乗ろうと、するといつの間にか近くにいた女が止める。
「それは違うぞ。田舎から来たならまずはZ線で手続きしないとだからな」
「あ、どうも」
天涯孤独で誰にも教えてもらえなかったから、手続きがいるなんて知らなかった。
いや、田舎だから世話焼きの年寄がわんさかいるけど、誰も鉄道に乗ったことない。
一度田舎を出た若者が元の場所に帰ることはないから、そういう話題は共有されない。
地元愛がないんだろうな!
それにしても都会の不良のわりに親切な人だ。




