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幽霊①

さすがに神様にやらせるのはと思ったのと暇で仕方ないので家事は私がやると申し出た。掃除はしなくても神様の力で綺麗になるらしく、さすがにこの家を掃除するのは……と思っていたのでほっとした。

神様と過ごして数日がたつ。この神社もどきには私達二人しかいなかった。猫はけっこういるけど、喋れる生き物はお互いだけだ。

そして、神様について気づいたことが一つある。神様は寂しがりやだ。神様に対してこう思うのは失礼だとは思うがしょうがない。それほどまでに神様は寂しがりやだ。

朝起きて寝るまで常に共にいる。

神様はお昼寝が好きで、よく床に転がってるのだが、その間に雨が降りそうになった。私は洗濯物が干してったので慌てて、洗濯物をとりにいった。

すると、洗濯物を取りこんでいる最中に神様がやって来た。慌てた様子で。


「どうしたんですか?」


そう聞けば神様に非難するような目で見られた。この神様は無表情なくせによく表情が変わる。何言ってんだと言われるかもしれないが、本当にそうなのだ。表情は変わっていないのに喜怒哀楽がけっこうわかる。変な神様だ。


「起きたら、いなくて驚いた」


「洗濯物を取りこんでたんです」


「知ってる。曇ってたから」


「じゃあ、何をそんなに怒ってるんですか」


「……起こしてほしかった」


「寝てたから起こしちゃ悪いかなって」


「わかってる」


「じゃあ、何をそんなに怒ってるんですか」


「起こしてほしかった」


「………」


「………」


めんどくさいと思ったのは秘密だ。

と、こういうことから神様が非常に寂しがりやだと私は理解した。

少し鬱陶しいと思わなくもないが機嫌を損ねて食べられても嫌なので、黙って共にいる。まあ、こんな広いところで一人でいるのも不気味だからというのも理由の一つだけど。


夕食時、ふと思った。

この野菜やら魚やら肉やらはどうやって調達しているのか、と。

調理場に行けばいつもある食材。いったいこれらはどうやってここにやって来たのか。

神様に聞けば明日一緒に見に行こうと言われた。何を?とも思ったが、ここは基本的に暇なので楽しみはとっておこうとあえて聞くのをやめた。


次の日神様に連れられて鳥居を出る。え、出ちゃっていいの?あなたこの間凄んできてたじゃないですか。と思っていたら


「僕がいれば別にいい」


と言われた。この人の寂しがりや具合はちょっとやばいと思った。森の中を神様と共に歩く。森は村では神様の住むところとして基本的に立ち入り禁止だ。神社への道が消えないようにと月に一度道を整備していたが、それ以外には入っては行けないので入ったことはない。

今、そんな森を歩くのかと思うとなんだか新鮮だ。神様と共に歩いていると、神様が突然道なき道へとぶつかっていった。え、そこを通るの?基本的に村からこの鳥居以外は整備されていない。だから、そこには草などがぼーぼーに生えている。え?え?と戸惑うが神様と結ばれている手が引っ張るので止まれない。マジですか!と思っていると、道ができた。もう一度言う。道ができた。草が神様を避けるように道が出来ていく。蛇らしき物が取り残されてやばいやばいと横によけてった。

私は驚きで目が点だ。神様をちらりと見る。


「神様って、神様だったんですね」


「僕はずっと神様だよ」


「そう、ですね」


正直最近忘れかけてました。

だってあまりにも普通なんだもの!最初はこんな神秘的な人ならありえるかもとか思ったけど、ずっと見てるとたしかに綺麗だけど飽きたというか慣れて来たというか。途中から神様と言いながらここに住みついたただの人間だったりして、とか思っちゃったりしていた。

が、本当に神様だったらしい。


「気をつけよう」


ぽつり、と呟く。変な行動して機嫌を損ねたら大変だ。食べられるかもしれないし、祟られそうだし。

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