表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かいちょう!  作者: へろ
4/9

四話

放課後。

それは生徒会長たる、僕の仕事が本格的に始まる時間である。


「な、なんなんですか、私に用事って」


廊下を歩く僕の傍らを歩くのは、縞パン…


「杏ですってば!あんず!」


「いやあ、ごめんごめん。」


そう、杏ちゃん。昼休み、僕と親しかったばかりに悪党に拉致され、乱暴の限りを尽くされた薄幸の美少女である。


「あなたと親しくなったつもりもありませんし悪党に乱暴もされてません!セクハラはされましたけどそれはあなたからです!」


「なんでみんな僕の思考を読めるんだよ!」


前から思ってたけど!僕は一切口に出してないぞ。


「先輩はすごい顔に出るんです。まるで一人称のラノベなみに思考が駄々漏れです。」


マジで?!


「はい、マジです」


僕の事好き?


「……。」


あ、今の杏ちゃんの表情は僕にもわかる。


「おっと、さあ、ついた、ここだよ。」


生徒会室。

我が螺子津高校生徒会の本拠地であり。


「この学校を動かす中心部さ。さあ、入って」


「は、はい。」


少し緊張の色を浮かべる杏ちゃん。

たどたどしい足取りで部屋に入っていく。


「いまの生徒会って先輩一人なんでしたっけ。」


「うん。副会長、会計、書記なんかの役職もあるし、一応在籍はしてるんだけど。色々あってね。」


「知ってます、副会長があなたに反旗を翻して離反、それに全員ついて行っちゃったんですよね。」


「…ところで、なんで生徒会室にベッドがあるんですか」


ガチャン


「なんで鍵をかけるんですか!?」


「ヒヒヒ」


「なんで笑ってるんですか!?いやあああ!ママぁぁぁ!犯されるぅぅぅ」


酷い言われようだ。


「何を勘違いしてるか知らないけど、べつに乱暴するつもりはないから。僕は処女厨だから」


「さっきは処女厨じゃないって言ってたじゃないですか、この外道!」


「そうだっけ」


「ていうか私は処女です!乙女です!男の子と手をつないだこともないのに!」


「そうか、だったらそのままベッドに横に」


「うわあああん!」


泣き出されてしまった。


「しねえ、腐れ外道!!」


暴れられてしまった。


「ご、ごめん、ちょっと調子に乗りすぎた!そのベッドはただの仮眠用だから!」


「仮眠用だからっていいながらなんで押し倒してるんですか?!」


「仮眠させてあげようかと思って。」


「いやああ!変態!腐れ外道!」


「ちょ、痛い!眼球はやめろ、なんでそんなに的確に狙ってくるんだ!普通に痛い!オーケー、落ち着け!」


「ぜぇぜぇ。」


服が乱れ上気した顔で僕を見つめる美少女。


「想像通りの腐れ外道だ、こいつ」


やばい、すごい眼でにらまれている。


「それで、いったい私に何の用事なんですか、先輩へんたい。」


「いま先輩の読みがへんたい、になってた気がするんだけど」


「すいません、似てるから間違えちゃいました。」


まあ読み方はにてるか。


「用事ってのはさ、昼休みは僕のせいで迷惑かけたからね。そのお詫びって言ったら何だけど」


あの男達にさらわれたのも、僕と話していたからだろうし。


「おわび?」


「君は確か体育の授業中女子生徒はブルマ着用法案に反対してたんだよね。」


そのために今朝僕を待ち伏せ、不意打ちしてきたのだった。


「そうですけど、先輩、まさか、廃止してくれるんですか!?」


杏ちゃんは両手を組みうれしそうにぴょんと跳ねる。

さきほどまですごい眼でにらんでいたのにものすごい変わり様だった。


「うん。残念ながら完全に廃案にするのはいろいろと手続きもあって無理なんだけど。着用するかどうかを選ぶ選択方式にしようと思う。」


「着用?それならブルマが見られたくない女子は履かなくてもいいってことですね、うん、それなら…」


「さっそく明日の朝礼で発表するつもりだ。」


「先輩…」


杏ちゃんは、少し照れたような、そんな表情を浮かべ。


「先輩、今日はいろいろ迷惑かけてすいませんでした。」


そういってかわいくお辞儀をした。

そしてくるっと背中を向けて。


「あと、助けてくれたこと。ほんの少しだけ、う、うれしかったです!」


そういって、部屋を出ていった。が。


ガチャガチャ。


「…」


扉に鍵がかかっていた。


                   ◇


そして、次の日の朝。

全校生徒がグラウンドにあつまり、朝礼が始まる。


「それでは、生徒会長から、新しい校則が発表されます。」


長い校長先生のスピーチがおわり、放送部のマイクでアナウンスされ、僕は台の上に上がる。


「えー、生徒の皆さん、実行に向けて動いていた女子生徒ブルマ強制着用法案は、少し改案することになりました。」


生徒達がざわつく。

男子からはほぼ100%の支持を受け、女子からはほぼ確実に100%の不支持だったいわくつきの法案である。

注目度も違うのだろう。


「昨日、一人の勇気ある少女が僕に教えてくれたんです、本当に大切なことを。さ、杏ちゃん、あがって」


「え、え?私?」


名指しで指名された杏ちゃんは恥ずかしそうに壇上に上がってくる。


「せ、先輩、はずかしいですよぉ」


僕だけに聞こえるくらいのちいさな声でそっと訴える。

かわいいなあ。


「そこの女子生徒、杏ちゃん。彼女が提案して、その結果改案された内容はこうです。」


こほん、と咳払いをし、


「『女子生徒は体育の授業のさい、ブルマを着用すること。ただし』!」


先ほどまでアレだけ騒がしかった生徒達が一瞬静かになる。


「『スカートの着用は認める。』」


男子からは歓声、女子からはブーイングがあがる。


「え?え?えええええ?」


杏ちゃんはなにがおこったかわからないような顔をしている。


「ちょっと!?先輩!いまのいったいどうゆうことなんですか?ブルマとスパッツを選択できるようにしたんじゃ…」


ブルマの着用は絶対。ただし、それだと杏ちゃんのように恥ずかしがる女の子が多いので、スカートをはくことを許可。

われながらよい落としどころだったとおもう。うんうん。


「先輩!?なんか言ってくださいよ!なにいい笑顔で頷いてるんですか!?」


「杏ちゃんがいなければ気がつかなかった。ありがとう。」


そう、スカートからのぞくブルマはブルマ単体よりエロイということを教えてくれたのは、君だ。


「教えてませんから!って、先輩!?なんか私女子からブーイングされてるんですけど!」


今日も変わらぬ。日常生活が始まる。


「何勝手に〆ようとしてるんですかあ!先輩!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ