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かいちょう!  作者: へろ
1/9

一話

「先輩、私のパンツを見てくれませんか?」


それは突然の出来事だった。

早朝、学校へ向かう途中の僕の前に現れた少女から発せられた一言。


「え、もっかいいって?」


「あの、先輩、私のパンツを見てくれませんか?」


「よくきこえなかった、もっかい。」


聞き間違いだったら失礼だもんな。


「あの、先輩、私のパンツ…」


「もっかい!」


「あの、先輩、私のパンツ…」


ふう、可愛い少女から発せられるパンツという言葉、しっかり堪能した。


「さてと。あいにく、そんな色仕掛けにひっかかる僕じゃないぜ」


「こいつ腐れ外道だ!」


「ん、何か言った?」


「いえ、何にも。多分()と「」を使い間違えただけです」


「器用なことする子だな。で、用件は何だっけ」


「またそこからなの!?あの、よかったら私のパンツを…」


甘い、甘すぎるぜ。白昼堂々、そんな夢みたいなことを言ってくる少女がいるだろうか。否。ありえない。


「一体何が目的だ!?」


最大限にかっこいい顔を作りそう発言した…。


はずだった。


だが実際発せられた言葉は。


「え、本当に?まじで?見せて見せてw」


だった。

健全な男子高校生に理性を保てなんていうのは酷だろう。


「それじゃあ、しっかり焼き付けてくださいね、私のパンツ。」


そういい、少女はスカートをつかみ。


「このドスケベ野郎!」


僕の顔面にハイキックをお見舞いした。


「ば、ばかな!?」


「ばかはあんただ!こんな見え見えの策にひっかかるなんt」


「スパッツだと!?てめえ!純情な僕をだましたな!」


「そこなの!?」


「いいぜ、久しぶりにキレちまったよ。表に出ろ!」


「いえ、ここ道路ですから。表ですから!」


冒頭からありえない展開だと読者の人は思うだろう。だが、僕の人生においてこんなのは日常茶飯事だ。


「とりあえずスパッツをぬげ!」


「やめてよ変態!」


僕の通う高校は、武道偏重の偏った学校で。


「ひひひ、捕まえたぞ!さあ脱げ!」


「いやああん、ママぁぁぁ」


武力。ようは腕っ節が全てを決めるという、漫画かラノベの中にしか存在しないような。

それでいて漫画やらラノベの中ならごくごくありふれた設定の、学校なのだ。


「あーっと、間違ってパンツまでつかんじまった!」


「いやー!いやー!おねがい、パンツだけはー!!」


その学校の最高権力者である、生徒会長。全校生徒の中でトップ。

それを決めるのは選挙ではなく、戦闘。実力のある者が、その座につくことが許される。

ありとあらゆる物事の決定権を有する圧倒的な存在。


「ほーらお尻が丸出し…ぐは!ちょ、暴れるな!落ち着け!てかマジで痛い!顔は蹴るな!」


「キャーキャーキャーーー」


そしてその最高権力者、生徒会長に戦いを挑むものは後を絶たない。


「わかった、話をしよう、とりあえずスパッツ、な、スパッツだけぬごう。そうしたらパンツは脱がさない、オーケー?」


「ゼェゼェ…。ほんとう?」


「生徒会長はうそなんかつかないよ、ね?」


第114代生徒会長。それが僕の肩書きだ。


「は、恥ずかしい…」


スカートの中に手を突っ込みスパッツをぬぐ少女。


「よし、ゆっくりそれを投げろ。」


「…」


少女は無言でそれを僕に投げつける。


「よし、確かにうけとった。」


「こ、これで許してくれるんですか?」


少女は目に涙を浮かべる。


「じゃあ次はスカートをゆっくりもちあげるんだ」


「やばいこいつ本気で腐れ外道だ」


「君みたいな実力で。よくもまあ僕に戦いを挑んできたもんだね。そんなに生徒会長になりたかったのかい。」


少女がスカートをまくりあげやすいように僕は話題を振ってやった。


「あ、あなたが今打ち出してる政策!それを阻止したかったの!あんな酷い政策許せるわけないわ!」


「なんだっけ?」


普段からまじめに生徒会長としての職務を果たしている僕である。

僕が進めている政策は数え切れないほどあるのだ。


「とぼけないで!全女子生徒は体育の時間ブルマ着用法のことよ!」


「何を言ってるんだ、あの政策は普段はまとまりのない我が高の生徒も50%が賛成してくれたんだぞ」


「それって全部男子生徒じゃない!」


我が校の男女比率、5対5.


「ところで、スカートはまだめくれないのかい」


「くっ!わかったわよ…」


ついに観念してスカートをめくろうとする少女。


「あの、恥ずかしいから、もっと顔を近づけてもらえますか?」


「おお、いいとも」


僕が少女のスカートに顔を近づけたそのとき。


「死ねえ、腐れ外道!」


彼女のハイキックが再び僕の顔面を捉えた。


「な、なにぃ!」


「なんども同じ手にひっかりやがって!このドスケベ会長!」


「ば、ばかなっ!ブルマだと!?」


こいつスパッツの下にブルマを履いていやがった。


「やっぱりそこなの!?」


「そんなに重ね着したら蒸れるぞ!」


スカートの下のブルマはわりとアリなんだけどね。


「そこなんだ!?」


「すぐ脱げ!君の体が心配だ!」


「キャーーー」


今日もいつもと同じ、平凡な日常が始まった。

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