#11 俺の気持ちを変えてくれた人物
皆さん、こんにちは!アオです!
「元の世界へ戻るために~とある部活と異世界召喚について~」をどうぞ!
しおりを追い出した翌朝、また聞きなれた声が扉の向こう側からしてきた。
「透~、一緒に登校しようよ~、どうしちゃったのさ」
元気な声はまさにしおりを象徴するような声だった。
昨日、少し強くあたってしまったかと心配していたそんな心配すら
苛立ちに変えるくらいだった。俺が黙っていると
「……仕方ないわね、入るわよ」
まさか、入れるはず……そう思っていたのだが何の躊躇もなく鍵を解錠した。
「おばさんから鍵をもらったわ。私なら何とかしてくれるかもって」
どうやらしおりに部屋の合鍵を渡したらしい。なんでそういうことするのか。
しかし俺は動く気力すらなかったので横目でしおりを見て黙る。
「透最近変わっちゃったよね。みんな若干驚いていたよ、変わったって」
そりゃあ中の人が変わったんだから当然でしょ……しかしそんなこと口に
出すはずもなく俺はただひたすらに黙り込む。
「もちろん私も驚いたよ、長い間ともにしてきた仲なんだからすぐ気づくよ。
記憶喪失になったって透が言った日覚えてる?ほら一番最初に
図書館へ行った日だよ」
俺が黙っていることを知っているのになんでこの女は問いかけてくるのだろう。
「改めてなんか人が変わっちゃったなって……本当に変わったのかな?」
そのまなざしに思わず俺は息を飲み込む。なんだ、ばれてるのか。
「……言おうか迷ってたけど、透は私のことただの幼馴染としか見てないけど
実は……私は透のことが好きなんだよ。それもずっと前から」
「えっ」
衝撃の告白に俺は思わず声をあげる。するとしおりはニコリと笑って
「驚いたでしょ。絶対に気づかれてないと思ったよ。結構鈍感だから」
……この女が好きなのは今の俺つまり透ではなく俺がこちらへ来る前の
透のことが好きなのだろう。幼馴染って言っていたけどさっきの言葉も
含めてもしかしたら俺が俺ではないってこともどこかで気が付いているのかも
しれない。どうしようか、この際だからいっそのこと言った方がいいのか。
俺が言いだそうか迷っているとしおりは笑いかけて
「いいよ、透が好きなタイミングで話して。それまで一緒にいさせて」
少しわかったかもしれない。この女のことを。いつもなんでしおり自身よりも
俺のことに優先して付き合ってくれるのか。学校をさぼったりはたまた
少し遠くの図書館へ行ったり。しおりは"私がいないと透が困るでしょ"と
言っていたがもう一つの理由に好きな人と一緒にいたかったのかもしれない。
元の世界でもこちらの世界でも恋愛をしたことがない俺の単なる考察でしかないが
何となくこの女の行動の意図が読めた気がした。
「うれしいけど……ごめん、それは今の俺には伝えるべきことじゃない。」
俺がそういうとしおりは目を丸くする。
「実は俺、しおりが知っている透じゃないんだよ」
「……そ、それって記憶喪失のことだよね?べっ、別にこれまでのことは」
しおりが反論をしようとしたときに俺はかぶせて言う。
「実は、俺異世界転生者なんだ」
「えっ……?」
正直、言うのはもう少し後になる気がしていた。もしかしたら言わずに
このまま元の世界へ戻るつもりだったかもしれない。
でもあんなことを告げられると今さらどうこう言っている暇ではない気がした。
その言葉は過去の透に言って幸せになってほしいし。
「しおりが話していた記憶喪失って言っていた日、あの日俺はこっちの世界に
やってきたんだ。もちろんこんなことが起きるなんてって俺も
びっくりしていたけど、しおりのおかげで何とか今の今まで
こうやって生活できてるし感謝しかない。でもその気持ちを本当に伝えるべき
相手は今の俺じゃなくて昔の透なんじゃないか?」
「えっ……ちょっと待って混乱してる、少し時間ちょうだい」
まあ確かにこんなことを言われたら誰だって混乱するだろう。
腕を組みながら考えるしおりを眺める。
「えっと、つまり今私の目の前にいる透はいわゆる異世界からやってきた
あなたってこと?私が知っている透じゃないってこと?」
「ああ、おそらくその解釈で間違っていないはずだ」
「なるほど!……って納得できるわけがないでしょ!」
つい先ほどまで空気が少しだけ重かったがしおりのそのツッコミで
なんだか気が晴れた気がした。そして俺はしおりに隠していたことを
一気のこの場で話始める。しおりはうなずきながら真剣なまなざしで俺を見る。
「だから図書館で異世界転生ものをずっと見ていたのね。
てっきり透の趣味が変わったかと思ったわよ」
「なんかこうやって、しおりに話すと気が軽くなった感じがあるよ」
「それはよかった。どう?学校行けそう?」
しおりに状況を説明するためにこれまでのことを話したからか
改めて自分の目標を立てることができた気がする。
「ああ、どうやら俺は目標を見失っていただけのようだよ」
「それはよかった!……あっ、さっきの私の言葉
聞かなかったことにしておいてくれない?」
おそらく告白の件だろう。
「俺が透なんだけどな、わかったよ!」
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それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




