#10 打ち砕かれた夢
皆さん、こんにちは!アオです!
「元の世界へ戻るために~とある部活と異世界召喚について~」をどうぞ!
数日後、しおりの家に訪れてゲームをする。とうとうラスボスまで
やってきた。しかしいまだにビッグフレアは習得できていない。
でもおそらくだけどこいつを倒すことができればいけるはずだ。
「これで終わりだ~!」
熱くなってしまい思わず声を出す、それにびっくりしたしおりが
「びっくりした、いきなりどうしたのよ」
「ごめんごめん、つい……」
実際に行っているのは自分ではなくアバターだから別に自分が
そう言うはずはないがなぜか言ってしまう。
ラスボスを倒すと、陽気な音楽が流れながら下から上に名前が
羅列されていく。思っていた結末と違って俺はぼーっとしていた。
「ああ、クリアしたみたいわね。どうだった?」
「……どうだったって、結局あのビッグフレアはどうなったんだよ!?」
「まさかそんなに燃える呪文なの?クリア前に習得しなかったなら
多分、クリア後じゃないの?これのスタッフロールが終わった後とか」
しおりとそう会話をしていると羅列されていた文字は消えていき
一番最初のゲームの開始地点に戻されていた。
俺は急いで自分たちのステータスを確認する。
すると俺のステータス欄に変化があった。ずっと追い求めていた
ビッグフレアを習得していたのだ。
「あった!これだよこれ!」
嬉しくて思わず声に出して喜ぶ、それを隣でニコニコしながら見るしおり。
胸の高鳴りを抑えながら俺は早速、呪文を使う。
ゲーム画面にはとても大きな炎の球が俺のアバターから勢いよく飛び出して
モンスターに直撃する。それはまさにあのパンフレットに書いてあった通りで
威力もこれまで見てきた数字の中で一番高い数値をたたき出していた。
これで何かわかるはずだ。そう思いながら俺は画面に食いつく……
しかしいつものようにモンスターとのバトルは終わってしまい
本当に普通の呪文と同じだった。そのあっけないものに俺は肩を落とす。
「悪い、帰るわ」
しおりに言って、部屋を出る。後ろから引き止める声が聞こえたが
今の俺には戻る気力はなかった。家に帰るまでの道のりでこれからどうしようと
戻ることができないのかという不安が頭にあった。
家に帰るとしおりからのメッセージが数件届いていたがそんなこと気にせず
自分の部屋に置いてあるベッドに寝転がった。
どれくらい時間が経ったのだろうか。気が付けば日も完全に暮れていて
何となくみじめな気持ちになる。確かに何か手がかりがあるとは限らないが
これまで調べてきたのに何もないというのは結構メンタルがやられる。
あれほどまでにあった、元の世界に帰る気持ちが今はすっかりなくなっていた。
でもずっとこのままでいるわけにもいかないし……かといって今、打開策が
何かあるわけでもない。どうすることもできないこの現状に打ちひしがれていた。
翌日、別に透つまり俺自身が学校に行こうが行かないが関係ない。
そう思ったので俺は親からの声も聞かず部屋に引きこもる。
帰るための調べものをしている途中で見つけた、動画サイトがあったので
それを暇つぶしに見始めたところ、これが案外面白くてはまってしまった。
それから数日間、一回も部屋から外に出ずに動画サイトを見まくっていた。
俺の気力は完全になくなった。頼みの綱であったあのゲームさえも
結局何もなかった。その現実が受け入れがたいのかもしれない。
だからこうやって俺はいわゆる娯楽という名の沼に自ら入って
現実逃避をしている気がする。まあそんなことわかっていても
部屋から出る気力はないんだけど。
そんな日々が数日ほど続いたある日の朝、半ばあきらめられているような
口調で親は毎朝俺をたたき起こしてくる。そんなおせっかいに俺は少々
苛立ちを覚えていた。
「あんた学校に行きなさい!」
「うるせい!」
こんな大きな声を出したのはいつぶりだろうか。そしてこんな苛立ちが
募ったのはいつぶりだろうか。この世界に来て数日、少しずつだけど
楽しいと思えていたが全くそんなことはなかった。
さらに翌日、親がまた俺の部屋の前に立って昨日と同じことを言う。
このやり取りをすでに数日やっているのによく飽きないなと思いながらも
俺は無視を決める。どうせ帰れる方法もないんだ。ならばいっそのこと
こうやって一人になった方が楽なのかもしれない。そうだ、元の世界では
勇者としてモンスターを倒してみんなから称賛の声を得ていたが
今はそんなのがない。別に必要なくてもこうやって生きれるじゃないか。
それに前まではあんなに元の世界に戻りたいと思っていたが
別に元の世界に戻ったところでやりたいこともやらなければいけないこともない。
そんなことを考えていると外から聞きなれた声がする。
「透~どうしたの?本当に人が変わったみたいになっちゃってるけど」
しおりだった。本当にこの女が考えることはよくわからない。
「……帰ってくれ」
俺がしおりに冷たく言い放つと扉の外からは足音が遠のいていった。
何となくだけど傷つけてはいけない人を傷つけてしまった感じがした。
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それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




