表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

一頁「贖聴コウモリ」

 翌日。授業という名の睡眠時間を終えた空は『怪異蒐集部』の部室に歩いて行き、スライド式の扉を開ける。すると、なぜか巫女とシスターの服が融合したようなコスプレ衣装に着替えている奏と目が合う。

「あ、空先輩。お疲れ様です」

「……」

 空はドアを閉じる。そして今更『奏 着替え中』という札がドアにかけられていた事に気がつき膝から崩れ落ちた。数分後、着替え終わった奏が不思議そうな顔をして出てきた瞬間、空は、それはそれは見事な土下座をかました。

「いやぁマジで申し訳ない……。なんでも奢る」

「いえいえ……。男同士なんですから気にしないでください」

「でもさ……」

「あの札は楓先輩が着替え中に入ってこないように出していたものですから、本当に気にしなくて大丈夫ですよ」

「そうなのか! よかったぁ」

 よく考えれば男子の着替え中に男子が入ってはいけないなんておかしな事だが、空の中で奏が可愛く見えていたのもあって物凄い罪悪感があったが、奏自身からの許しが出て空は心底安心して胸を撫で下ろす。

「ところで、楓はまだ来てないのか?」

「いえ、一度いらしてたんですけど、『活動準備をしておきなさい』と言ってどこかへ行ってしまって」

「そうなのか。……ああ、それで着替えをね」

「ええ」

 空は楓が部室に居ない事を奏に尋ねるが、部室に来て、すぐどこかへ行ってしまったらしい。二人で『うーん?』と首をひねっていると、勢い良く扉が開き、楓が嬉しそうな表情で見知らぬ生徒を連れて部室へ入って来る。

「怪異蒐集部、活動開始よ!」

「お、お邪魔します」

「「……どなた?」」

 おどおどしながら部室へ入って来た女子生徒に対して奏と空が声を揃えて尋ねると、彼女は楓の方を見る。二人もそれにつられて楓を見る。部室内の視線が楓に集まると、楓は腕を組んでにっこりと笑う。

「相談者第一号よ。一般部員、お茶を淹れなさい」

 空は顔をしかめたが、部長の機嫌を損ねる前に大人しく従う事にした。前日のリフォームで急須やポッド等のお茶汲みセットを用意していた理由が判明した瞬間だった。

「粗茶ですが……」

「ありがとうございます。あ……おいしい」

「ガキの頃部長にお茶ブームが来て、ちょっとな」

「空先輩! ボクにも淹れてください!」

「おう。いいぞ」

「私の多趣味さのおかげね」

「ハマったの、三日間だけだっただろ」

 そんなやりとりをしつつ全員に緑茶が行き渡ると、楓は『さて』と前置きして女子生徒の方を見る。女子生徒は茣蓙の上で正座をし、湯気立つ緑茶を一口すすって話始める。

「一昨日の出来事です。私の友人、仮に『A』としておきますね。……Aと私は陸上部なのですが、その日も練習を終えて着替えを済ませた後、更衣室から一番近くにある一階女子トイレに、Aが入って行ったんです。……その日のAはお腹の調子が悪くて、トイレに入っていた時間も、かなり長かったんです」

 女子生徒はつらつらと状況を話し始めるが、空はどうしても引っ掛かっている事があり内容が全然入ってこなかった。

 『え……そういう、怪談的な感じなの?』という疑問である。しかし楓と奏の二人は真面目な表情で静かに聞いていて、奏にいたってはメモまで取っている。そんな雰囲気の中で口を挟む気にはなれず、空も二人に合わせ、うんうんと時々頷きながら話を聞き続ける。

「その時でした。外で待っていた私の耳に、Aの叫び声が聞こえてきたんです‼ 私は急いでトイレの中に駆け込みました。するとそこには、恐怖で真っ青な顔をした、Aの姿があったのです……」

やけに臨場感のある話し方に空は『話し慣れてる人だなー』なんて思っていたが、ふと視線を感じて目をやると一瞬だけ楓と目が合う。楓はふいっと目線を女子生徒の方へ戻すが、なぜ自分を見ていたのかがわからず空は首をかしげる。そんな空をよそに女子生徒は話を続ける。

「Aの身体は何とも無かったのですが、『トイレの中で、巨大で変な蝙蝠を見た』と言ってすごく怖がっていて……それ以降、一人でトイレに行けなくなってしまったんです。毎回私が同行しないといけなくなっていて、二人とも練習に集中できなくなっちゃったんです。夏には大きな大会もあるのに、こんな形で全力が出せなかったら、私たちの三年間が無駄になっちゃいます。お願い……。助けて‼」

「っ……‼」

 空は、目の前の女子生徒の悲痛な叫びを聞いて、呑気だった自分を恥じた。この人は三年間の努力が全て水の泡になってしまう危機に直面しているのだ。本当に、藁にも縋る気持ちでこの部活に頼って来たのだろう。

「安心して」

 叫びを聞き終えた後、楓はコンマ数秒の間も無く女子生徒の両手を掴み、相手の目を真っ直ぐ見て言い放つ。

「その怪異、私達が蒐集するわ!」

***

「そんなわけで、やって来ました一階女子トイレ!」

「の、目の前な」

 部室で話を聞き終えてから数分後。部室と同じ階なのもあって真っ直ぐ一階女子トイレの目の前に来た怪異蒐集部はしかし、女子が一人しか居ない事もあり楓が単身で怪異に挑む羽目になってしまった。当の本人は『楽勝よ』と言っていたが。

「まあ仕方ないですよ。ボク達男子ですし」

「だな。……ま、あんだけカッコ良く啖呵切ったんだ。部長のお手並み拝見と行こうぜ」

「そんな事言って、本当は手助けできないのがもどかしいクセに」

「ち、ちち違うわい」

「わかりやすっ」

 何か緊急事態が起きた時の為に二人して外で待機している男子二人だったが、楓が突入してから五分が経過した頃にはすっかり暇を持て余して談笑に興じていた。傍から見れば女子トイレの目の前で男子とコスプレ衣装を着た女子(男子)が楽しそうに話している異様な風景だが、そもそも空は変人夫婦の片割れとして悪い意味で有名なので大して気にならなかった。

「しかし長いなぁ」

「長いですねぇ」

 付き合いの短い二人の数少ない話題も尽きかけた頃、女子トイレの中から物凄い悲鳴が聞こえる。二人はすかさず女子トイレのドアを開けて中へ入ろうとするが、丁度走って出て来た楓と空が激突する。楓の額が顎に直撃した空は数歩後ろに下がり、顎をおさえて呻き声をあげる。楓は額をおさえてその場にうずくまりプルプルと震える。誰も攻撃していないのに二名の負傷者が出た。

「えぇ……。楓先輩、大丈夫ですか? 怪異はどうしました?」

「わがんない、消えた……」

 流石の奏も困惑しつつ楓が無事そうなのを確かめながら訊ねると、楓はうずくまったままで何とか声を絞り出す。奏は一度ドアを開けてトイレ内を見回すと『うん』と頷く。

「痛て……。何してるんだ、奏?」

「少し、霊視をしていました」

「霊視……? ああそういえば、奏は簡単な除霊ができるんだっけ」

「ちょっとだけ、ですけどね」

「そっか。それで、何か視えたのか?」

「ええ。微かですが、良くないものが居た形跡があります」

 痛みが和らいできて、少し余裕が出て来た空が奏に質問すると、奏は真面目な表情で頷く。念のため自分もと女子トイレを覗き込んだ空には何も見えず、ドアを閉める。

 そして、こちらも少しはマシになったのか、身体を起こした楓は手を一度叩き、二人を自分に注目させて言う。

「戦略的撤退よ。部室で作戦を練りましょう」

 空と奏は顔を見合わせ、苦笑いしながら楓の言葉に従った。

「結論から言いますと、恐らくその怪異は『贖聴コウモリ』ですね」

「「「しょくちょうコウモリ?」」」

 部室に戻り、空の淹れた緑茶を飲んで気分を落ち着けた一同は、仕事が終わって暇になった叉夜も交えて話し合いをしていた。

「ええ。マイナーですが、そこそこ被害が報告されている怪異ですね」

「でも、私は何もされなかったわよ?」

「それは恐らく、楓先輩がコウモリから質問されるより早くトイレから逃げ出したからではないかと思われます」

 怪異に関して持っている知識を披露する奏に、自分が襲われはしなかった事を疑問に思った楓が質問する。奏は至って冷静に回答をするが、その答えに楓は少し恥ずかしそうにする。

 あれだけ恰好つけておきながら怪異が何かをする前に逃げ出した事を恥じているんだろうな。と空は思ったが、この場で言うと揉めそうなのでこらえた。

「話を戻しますね。贖聴コウモリという怪異は、トイレの個室に鍵をかけ、長い間居座ると現れる巨大なコウモリで、相手の罪を尋ねてくるとされており、現状、回避するには逃げ出すのが正しいと言われていますね」

「なら、楓部長やAさんの行動は正しかったって事か。他の対処法は無いのか?」

「そうですね……。眉唾ではありますが、通常のコウモリと同じように強い光を当てるとか、吸血鬼のようにニンニクを嫌うとか言われています」

「——『鳥なき里の蝙蝠』だな。蝙蝠にはハッカの匂いが効くんだぜ。伝承とかに頼るのも良いが、対処法なら、いっぺん科学的なものを調べてみても良いんじゃないか?」

「『鳥なき里の蝙蝠』……? なんだそれ」

「オウム返しすんなよ。あんまし面白く無いぞ、その反応」

「諺ですよね。『ある分野にちゃんとした知識を持っている人がいない時、その分野の権威のような顔をする人』の事だったかと。すみません。そんなつもりは無かったんですけど……」

不意に叉夜がそんな事を言い出す。今の今まで黙り込んでいたその駄目教師は、間違った方向に会話が進んで行きそうなのを察知してそう助言したのだが、返されたのは思っていたのとは違う反応だった。

「そんな風には思わなかったけどなぁ。叉夜先生、ちょっと穿った見方し過ぎじゃないか?」

「そうかぁ? まあ、礼装がそんなつもりじゃなかったって言うならそうか。すまん」

穿った見方をしている自覚自体はあったのかすんなり頭を下げる叉夜と、慌てて頭を上げさせようとする奏。そんな様子を見ていた空は、普段なら混ざって来そうな楓が静かな事に微かに嫌な予感を覚え楓の方に目を向けた。

「『鳥なき里の蝙蝠』……『オウム返し』……?」

 あ。と、楓を見た空は思った。引っ掛かった言葉を反芻して楓が出す結論は大抵ロクなものではないのだ。

小学四年生の頃かけっこをしようという楓の提案に空が乗り、『この勝負に勝ったら俺、好きな人に告白するんだ』という言葉を聞いた時、楓は『こくはく』と何度か繰り返しかけっこを急にやめた挙句、『調理人になりなさい。空!』と訳の分からない結論に達した事があったのだ。その結果空はかなり美味しい料理を作れるようになったのだが、それは別の話。

「楓。お前が今考えている事を一字一句言葉にしてから結論を出しても遅くはな——」

「オウムよ! オウムを持って行けば勝てるわ!」

「「え?」」

「そのオウムはどこから調達するつもりなんだ?」

 『オウムを持って行けば勝てる』という訳の分からなさ過ぎるセリフを言いながら立ち上がった楓を見て困惑している叉夜と奏を見てため息をつき、机に頬杖をつきながら空は尋ねる。今回はまだ理解できるな。と思えてしまう自分に心底恐怖しながら。

「……」

 空の問いに、返答は無かった。どうやらそこまでは考えていなかったらしい。しかしそこで立ち止まる楓ではなく、『何かを思いついた』と言わんばかりに右手で左手のひらを叩く。

「インコよ!」

「「???」」

「ああ、オウムが無理なら同じ鳥のインコをね。……ってバカ野郎! そのインコだってお前が飼ってるライトリしかいないだろ! お前まさか⁉」

「その『まさか』よ!」

 オウムが無理と分かるや否や、自身が飼っているインコを持って来ようとする発想に空が何とか食らいつき、止めようとしている後ろで、奏と叉夜は思考を放棄して遠い目をしている。

「おい、お前らも手伝え‼ この馬鹿女は自分のペットを怪異の退治に使おうっていうんだぞ⁉」

「いえまぁ、古来より鳥を使い魔にしていた例も、伝書鳩なんかもありますし……」

「一応インコも人間の言葉を真似できるしな……」

 駄目だ‼ ついて行けなさ過ぎて思考を放棄してやがる‼

「対策は立ったわね‼ それじゃあまた明日、授業が終わり次第集合よ‼」

 自信満々に『万事解決!』と言いたげな表情で言ってのけた楓は、鞄を手に取ると優雅に退室した。

「……どういう道筋で考えたらオウムを持って行くって結論になるんだ?」

「ボクもそれ、気になります」

「多分、だけど」

 取り残された三人の内、唯一楓の思考が何となく読めている空は、叉夜と奏に解説を求める視線を向けられて話始める。

「要は連想ゲームだよ。鳥なき里の蝙蝠って諺から『蝙蝠を撃退するには鳥』と考え、オウム返しから……」

「『オウムに、質問を返させれば撃退できる』って考えた訳か」

「でもオウムなんて用意しようが無いから、飼ってるインコで代用を……?」

「恐らくは。……けどアイツのああいう結論は、滅茶苦茶ではあっても完全に的外れって事はそうそう無いんだ。まあ付き合ってやろう。あとインコは何があっても助けよう」

 二人の表情が困惑顔からドン引き顔に変化したのを見て空は肩を落とすが、大きなため息を吐くと気合を入れ直して特に奏に向いて力強く言う。

「……はいっ‼」

「若い奴らの考える事は分からんな……。とにかく、今日はもう部室閉めちまって良いんだな?」

「そうですね。お願いします」

「あっ……すみません。ボク着替えなきゃなので待っててもらっても良いですか?」

「分かった分かった。じゃ、施錠終わったら職員室に鍵返しに来い」

「「はーい」」

 その後空は何となく部室の外で奏が着替え終わるまで待ち、鍵を職員室に返却して途中までは奏と一緒に下校した。

***

 翌日。授業後すぐの時間に、蒐集部の部員三名は一階女子トイレの目の前にあつまっていた。そしてそのメンバーはインコの入った鳥籠を持った美少女とコスプレ美少女(男)、そして万年ギリギリ赤点回避の面子である。

「二人はここで待機ね。私はコウモリをぶっ飛ばしてくるわ!」

「ブットバシテクルワ‼ ブットバシテクルワ‼」

「気合いで何とかなるのか……? 少なくとも、ライトリに怪我はさせんなよ?」

「もし何か不測の事態が起きたら大声上げてくださいね。ボクなら突入してもワンチャンセーフですからっ!」

「「いや、アウトだよ」」

「二人して否定っ⁉」

 奏が楓と空に打ち解けつつある会話をしつつ、楓は自分の立てた作戦のおさらいをする。といっても『インコと一緒にコウモリと対面して、インコにコウモリからの質問をオウム返ししてもらう』という、些か運要素が強く単純な作戦なのだが。

「それじゃあいってくるわ!」

「気を付けていけ」

「お気を付けて」

女子トイレ内に二人に決め顔で言い放つと勇ましく女子トイレの扉を閉め、楓は深呼吸する。昨日見たコウモリは目測でだいたい体長一・五メートル以上はあり、正直腰が抜けそうな程驚いたが、そこは外に後輩二人が居るので面目を保つために頑張って堪えたのだ。

「さぁて……かかって来なさい変態コウモリ」

「カカッテキナサイ‼」

 と、息まいて前回と同じ一番奥の個室に入ったのだが、そこから一〇分程度待つその時間は、ジッとしているのが苦手な楓にとっては苦痛の時間だった。しかし今回は愛しのインコであるライトリがおり、昨日よりはいくらか気が紛れて短く感じた。

「……よし。待ちますか」

 スマホで時計を見て呟くと、楓は腕を組んで仁王立ちして時間が経つのを待った。およそ一〇分が経過した頃、トイレの個室内に入り込む明かりの殆どが消え目の前に大きなコウモリが現れ、楓とライトリに顔を近づけてくる。猛烈な口臭である。

「ッ……‼」

 思わず顔をしかめる楓と、コウモリに向けて身体を膨らませて威嚇するライトリ。コウモリは一度大きく呼吸し、その威力絶大な臭いをまき散らす。楓は吐き気がするのを堪えつつもコウモリの質問を待った。

『……汝の、罪はなんだ?』

 来た。と思った楓は鳥かごを高く掲げてライトリにオウム返しをしてもらう事を期待する。だがライトリはコウモリに向けて威嚇の鳴き声を上げるだけで、楓の期待した返しはしてくれなかった。動物に期待する方が間抜けなのである。

『……』

 コウモリは楓の方を見て佇んでいる。襲い掛かって来る様子も無いが解放する気も無いようだ。といってもドアを開けてしまえば逃げられるのだが、目的を放り出して逃げる楓ではなかった。くっさい息と凶悪過ぎる顔面を前にしてガタガタ震えながらも息を吸い込み、涙目で叫ぶ。

「あっ……アンタの罪を先に教えなさい‼」

『ぬぅ⁉』

「人に質問する前に、自分の行動を省みてみたらどうなの⁉」

『ぐぬ……ぬ』

「アンタのせいで思い詰めている人が居るのよ! 人様に迷惑かけんじゃないわよ‼」

「カケンジャナイワヨ‼」

 苦し紛れに放った叫びはコウモリの何かに刺さったらしく、黙り込んだコウモリはダラダラと汗をかき答えに窮する。それを見た楓は、理由はともかく追撃のチャンスとばかりにたたみかけた。そこへライトリも加勢する。

 コウモリは目を泳がせてたじたじになり、口ごもってしまう。楓はコウモリに対する恐怖心がすっかり無くなって最後にダメ押しをかける。

「さあ答えてもらうわよ。……アンタの罪は何⁉」

「ツミハナニ‼」

『ぐううぅぅ……‼』

 楓とついでにライトリの問いに完全にとどめをさされたコウモリは個室から出て窓から飛び出して行く。

「はぁ……はぁ……。か、勝った‼」

「おい楓! 今の声は何だ⁉」

「無事ですか先輩!」

 コウモリがトイレを飛び出した直後、空と奏がトイレに突入して来るが既に事は終わっているのだった。

「大勝利に決まってるじゃない!」


***


 後日。相談者の女子生徒とAさんが部室へやって来て、『叉夜先生から、例のコウモリを撃退してくれたと聞きました』と言って、清々しい表情でお礼を言ってくれた。

 楓は尊大な態度をとっていたが、今回に限っては空も文句を言わなかった。そして空は『怪異蒐集部 活動記録帳』の記念すべき一頁目に、『贖聴コウモリ』の項目を加えた。

***

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ