50.地球中心説 対 太陽中心説(6)(R)
50.地球中心説 対 太陽中心説(6)
二つ月の夜の天空で、火の上級魔術師のカナイルナイが収納魔法で懐からコートを出して袖を通した。
(寒い……)
リヒト子爵ルロルテロルが言っていたように、かなり冷たく空気が薄かった。
高く上がれるだけ昇ると、大地が湾曲したことに気づいた。
(確かに丸い……)
視界の端から端までゆるやかな弧になっていた。
そして、気づいた。
(他にも自分が知らないことがある?)
それが何か、今は分からないが、隠されているという実感だけはあった。
*
ロルテ邸に戻ると、昔鳥が先に眠ったとリヒト子爵ルロルテロルから伝えられ、一杯だけご相伴したあと、勇者上月邸にある自室で眠った。
*
冷たくして眠ったからか、翌朝風邪を引いていた。
「大地って丸いのよ」
朝食時に上月たちにそう言うと、不思議な顔をされた。
「当たり前だろう」
眉が八の字になっていた。
「知らなかったの?」
二刀流の剣聖(Master of the Swords)リムリス嬢でさえ知っていた。
「知らない冒険者なんていないわよ?」
他にも〝見えない曲がる風〟があるらしい。真北に矢を放つと、東にズレるのだ。風を使うものなら知っていて当然の常識だった。
昼休みに、その〝見えない曲がる風〟を昔鳥に聞いてみるとコリオリの力というらしい。
「コリオリの力が分かるほどなら、たいした弓使いだね」
「どうしてですか?」
「ふつうは感じないからさ。よほど強力か、速度が速くないとコリオリの力を実感できないから」
「そうなんですか……」
そういうと、討伐の準備をチェックした。
午後から本格討伐だった。




