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異世界兵站(ロジスティクス)株式会社  作者: 門松一里
第3章 火の上級魔術師と二刀流の剣聖
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23.コカトリス討伐(5)(R)

23.コカトリス討伐(5)


 魔術を知られることはある意味手の内を明かすことになる。


 剣を持っていれば剣士だろうし、槍もそう。


 魔術師はその色で判断できた。


 火を使うなら暖色系を好み、水を使うなら寒色系だ。


 例外もあるが、誕生した季節が好きといったように、先天的なものだろう。


 ファーウ(カナイルナイ)の大きな帽子は格好の的だった。


 戦闘において致命的だが、それだけに防御力も高い。


 片目のユックリリナの襲撃は昼に一度あったきりだった。


 荒れ野(ヒース)の食事を邪魔されたパリチチスは犯人三名の下半身を瞬間冷凍した。


「どうして昼に?」


 尋問すると、一人が口を開いた。


「この先に罠を仕掛けてある。お前さんた――」


 最後まで言わせずに凍らせると、収納魔術でしまった。


「まっ待ってくれ、殺さないでくれ」


「情報を」


「俺が先に話す」


「誰に雇われた?」


「カンダスミンダスだ。魔法騎士の」


「魔法騎士? 魔術騎士ではなく?」


 男はそれ以上話せなかった。


 名前を出した瞬間、血を出して死んでしまった。


 呪術の一種だろう。血が赤い霧になった。


 パリチチスが「くだらない」と言いつつ、血霧を凍らせて、男をたたんだ。新聞紙をたたむように。


 男の身体が握り拳ほどになると、収納魔術で出した正立方体のはこに入れて封をした。


「余計な手間を……」


 二つ月教会に寄付をして、解呪してもらう必要があった。かなり高度な術式だった。


 ファーウ(カナイルナイ)の火で灰も残さなければ、解呪するまでもないが証拠として必要だった。


 剣ではなく、魔術を使った証拠として。


「アンタはどうするの?」


 リムリスが聞くと、残った一人が愛想笑いをした。


「気持ち悪いなあ……え?」


 首が落ちた。手が落ちて、それぞれに指が生え、向かってきた。


「消します」


 ファーウ(カナイルナイ)が魔術で燃やした。


 パリチチスの氷の魔術と反応して爆発するが、内部に向けて収縮していく。


 外ではなく内に向けて火力を高めた。


 風の魔術の応用だった。


 一つの火柱となり、その円柱の円周が縮んでいった。


 男がいた痕跡は全くなかった。


 いや、地面が少し抉れていたくらいか。


 燃やすという行為は酸化だから、水の魔術とも考えられなくはないが、ファーウ(カナイルナイ)はそこまで意識していない。


 どの魔術も物質を変化させているので本質は同じだが、そうしたことを考えるだけの知識がまだない。


 リムリスがバックパックの開けていたポケットを閉じた。ファーウ(カナイルナイ)が失敗したときのための用心だった。


   *


 隣村につくと、先行していたカランドリスの一行が泊まっていた。


 カランドリスはしきりに指を動かしていた。


 例に漏れずコカトリスの石化で小一時間麻痺になったらしい。


 意識があるのに動かないのは辛い。


「ほう……」


 とパリチチスが居酒屋の奥を気にした。


 もちろんコカトリスを狩ったので、今日一日はそのお相伴にあずかれる。大枚をはたいてもその価値はあった。


 肉は貴重なのでハムや燻製にされる。


 翼は武具に、爪もそう。


 目は一つ割れていた。カランドリスを助けるためだったのだろう。



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