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異世界兵站(ロジスティクス)株式会社  作者: 門松一里
第3章 火の上級魔術師と二刀流の剣聖
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13.討伐(1)(R)

13.討伐(1)


 およそ人間であれば罪の意識がある。宗教であれば「原罪」などと表現され、文化としても「罪と罰」はよく題材にされる。


 水蛇の死体を前にしたカナイルナイは、唐突にリムリスを理解した。


(このには罪がないんだ……)


 知の本質が悪なら、そこに罪の意識が内包するのがふつうだが、リムリスはその罪を感じることがなかった。


 罪の意識がないなら、罰することはできない。


 そもそも罪悪感がないから悩まない。


   *


 半日前、カナイルナイとリムリスの二人は他愛もないことを話しながら、食事を楽しんでいた。


 貴族のカナイルナイが銀食器以外で食べるのは初めてだった。


 食器に銀を使う理由は毒を盛られたら曇るからだ。ふだんでも銀は曇りやすく暇さえあれば磨くのが執事の役目で、曇った銀食器を見せるなどあってはならないことだった。


 カナイルナイが二つ月教会の作法にのっとって祈りを捧げると、リムリスが茶化した。


 毒の検知もしていると言うと黙ったが。


 リムリスはあらゆる毒が効かない体質だったから、まったく気にしなかった。しびれ毒はおろか、眠り薬も効果がない。いたって健康で秒で眠れたし、かすかな物音で目覚めた。


「唯一困ったことがあるの」


「薬が効かない? または、お酒が飲めない?」


「治癒魔法は効くけれど、薬はダメ。お酒は飲めるけれど、まったく酔わない。――すぐに答えられると腹が立つ」


 リムリスがカナイルナイの頬をつねった。


「痛い痛い」


 かなり伸びる。


 ケーキまで食べると組合ギルドに戻ることにした。


 料金は約束通りリムリスが銀貨を四枚払ってお釣りも受け取っていた。


(一人当たり二日分の日当ですか……)


 庶民としては高級料理店なのだろう。


「さて、行きますか」


   *


 受付のアダリリス嬢が冒険者組合(ギルド)カードを承認した。生体情報が記録されているので、本人以外使えない。


「最初の討伐は、コレにしましょう」


 掲示板の端にあったのは粗くなめした羊皮紙で、美しい字で「水蛇一頭(九頭分)」と書かれていた。継続した依頼なのだろうか、薄汚れて色褪せていた。


(どうして一頭で九頭分なのかしら……)


 注意書きがあったが、細かい字は消えてしまっている。


「また水蛇? 大丈夫? リムリス」


「私に毒は効かない。知っているでしょう? アダリリス」


「でも心配はしているわ」


「ありがとう。行くわよ、カナイルナイ」


「あっはい。毒対策は」


「毒消しを一本」


「はい」


 投げられた銀貨一枚をアダリリスが二本指で受け取り、薬の瓶を受付に置いた。


「え?」


「飲みなよ。私の奢りだから」


「はあ……(うげっ)」


 下級の毒消し薬はとてつもなく苦い。


 リムリスが腹を抱えて笑っていた。


 顔を強ばらせて我慢がまんしていたカナイルナイに、アダリリスが「ビールと割って飲むのよ」と教えてくれたが、既に飲み終えていた。


   *


 リムリスがアダリリスから渡された蛇のマークのメダルを見せると、地下道の出入口を警備していた兵士二名が素直に通してくれた。


 通行手形のようなものがあることから、水蛇は定期的に発生するようだ。


 水蛇は汚水を浄化させて生きている。下水が横を通る地下道があまり臭わないのも水蛇の影響力だ。汚物を食べてきれいな水にする浄化装置という訳だ。


 もっとも増えると溜めていた毒を吐き出す。


 定期的な駆除が必須でコレがいい稼ぎになる。


「ここら辺かな……トイレ休憩して」


「はあ?」


 カナイルナイがもう一度「はあ?」と言った。


「トイレ休憩。さっき食べたから、出るでしょ?」


「いやあの」


 カナイルナイは知識として「水蛇は汚水を浄化させて生きている」ことは知っていた。


「何のために奢ったと思っているの?」


 リムリスが頭を傾けた。


「仕事」


 囮役だった。餌と言ってもいい。


「……誰もいないでしょうね?」


 貴族はバカにされている表現には敏感だった。


「私とあなた以外は」


「あのう……こっちを見ないで欲しいんですが」


「私に仕事するなと言うの? 可愛いお尻食べられちゃうわよ?」


 リムリスが両剣を手にした。


 カナイルナイはいろいろ諦めた。


 女の子同士トイレに行くことはあっても、実際に見られたことはない。


(これがプレイ……)


 いろいろ間違っているが、カナイルナイは自分で訂正できなかった。


「アレ?」


 急にお腹が痛くなった。グルグルいっていた。


「あのお……リムリスさん?」


「なあに?」


「わたし毒盛られました?」


「いいえ。誰も盛っていない。あなた以外は」


「……毒消しって?」


「『毒を中和させ、並びに身体から毒を排出させます』」


 リムリスが添付文書の言葉を引用した。


「ですよねえ……」


 全部出た。


「ひょえええ」


 水蛇の九つの舌が、カナイルナイの大切なところを洗浄した。


「あっ……」


 リムリスが串刺しにすると、一刀両断した。


「もういいわよ」


 九頭分を刺したまま肩に担いだ。


 カナイルナイのスカートのフリルが大変なことになっていた。



ヒロイン→ゲロインではなく、ヒロ○ンコ♩

#ヒロ○ンコビロ○ンコ


なお、作者はそうしたプレイを好みません。#blackjoke

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