プロローグ
僕の名前はクリス・チェスター。
冒険者として名を上げたいと思っているどこにでもいる戦士だ。
でも普通の戦士と違うところがある。
それは魔力が高いということだ。
戦士の中にも魔力を持っている人は少なからずいることと思う。
そんな人たちと決定的に違うのはその魔力の量である。
この世界では銀は祝福されたものとされていて、銀の髪や瞳を持って生まれてくるとそれだけでけた外れの魔力を持って生まれてくるらしい。
瞳の色が銀色の僕も例にもれずけた外れの魔力を持って生まれてきた。
しかし僕の魔力は攻撃系ではなくどうやら回復系に特化しているようで、強力な攻撃魔法は使えないらしい。
そんな僕がどうして戦士なのかというと小さいころから戦士になるのが夢だったからなのだ。
ヒーラーや僧侶のほうが向いていると何度も言われたけどそれでも僕は戦士の道を選んだのである。
「ふう、今日は少し暑いなあ」
ほろ馬車を走らせながら空を見上げると木々の隙間から太陽がさんさんと輝いている。
春の陽気がうららかな今日この頃はまだ初夏でもないのに少し暑い。
防具を身に着けているとそれだけで熱を持ってしまうから余計に暑さを感じてしまう。
まあ防具と言っても中古で手に入れた革のアーマーなので新品のアーマーよりは涼しいほうなんじゃないかな。
戦士として欠かせない武器である剣のほうも同じく中古で手に入れた細身のロングソードが一本と、とにかく形だけでもそろえたといっても過言じゃないようなかなーりお粗末なものなんだ。
でも形だけと言ってもちゃんとモンスターを倒して経験値を稼いだりはしているよ?
と言っても戦いになると最初に考えてしまうのがどうやって逃げようかというおよそ戦士とは思えないことだ。
そんな戦士の風上にも置けないことを考えてしまう自分が情けなくてしょうがない。
だから戦士として冒険者になって二年もたつというのにレベルのほうはまだ四とかなーり低いままなんだよね。
はあ、なんて情けないんだろう。
最初のうちはレベルなんてポコポコ上がっていくのが普通なのに、逃げ回っている僕は未だに低いままなんである。
もっと努力精進しないといけないよなあ……
小さいころからの夢である戦士になれたのにこんな状態ではいつ冒険者カードを取り上げられてもおかしくはないので、ここは何か一旗揚げるような何かをしたいものだと思っている今日この頃なのだ。
僕はほろ馬車で旅をしているわけなんだけど、レベルが低いくせになんて贅沢なと思う人もいると思う。
このほろ馬車は普通の馬車ではないんだ。
馬は馬に似せて作られた木製でできたものに魔水晶というマジックアイテムを取り付けて動いているんだ。僕の魔力を動力にしてね。
だから僕の魔力が尽きない限りどこまでも走らせることができるというわけなんだ。
この魔水晶は旅に出る時に両親が持たせてくれたもので、二年たっても大切に使わせてもらっている。
家族と別れて早二年。父さんも母さんも元気にしているかな。時々手紙のやり取りをしているとはいえやっぱり直接会わないと本当のところは分からない。
みんな元気でありますように。それが今の僕の最大の願いだ。
二つ目の小説です。
頑張て書いていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。