色に染まる
暗がりの中
肌を刺す冷たさを紛らわすように
あなたの腕に絡みつく
地上の光も
夜空の光も
薄れ始めて
水平線の向こう側が
黒から濃い紫に変わり始めると
やがて温もりを覚える色が滲んでくる
肌に触れる空気は
今が1番の冷たさだけど
どこか心は温かくなってて
あなたの肩に寄り添おうとすると
あなたはするりと腕を抜いて
代わりに両手で私の頭を挟み込む
ちぎれそうな痛みを感じていた耳が
ふわっと温かくなってて
辺りの音が消えて
ただ目の前から昇る光だけが
私の中に射し込んでくる
あなたの顔が
私の耳元の横に来るのを感じる
同じ目線で見る景色
その時
あなたが耳元で何かを囁いた
耳を覆われている私は
それが何か聞き取れない
あなたを見ようとしても
頭が抑えられてて
振り向くこともできない
あなたは
聞こえてないことが分かってるように
水平線を重ね塗りするように広がっていく
オレンジと白の境界線を
じっと見つめたままでいる
囁いた言葉がなんだったのか
それは後で聞けばいい
今はただ
あなたと感じるこの景色を
私の中に射し込んでくる光を
受け止めていよう
この温もりがずっと共にあるよう
願いながら
囁かれた言葉は
決して教えてくれない、と
そう思うから
だから私も
この胸の中に浮かんでいる言葉は
あなたが教えてくれるまで
胸のうちに留めておこう