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ショートストーリー

キョンシーの全盛期、とある月刊誌の付録だった『おふだ』

作者: 語部マサユキ

このネタが分かるそこの貴方! 同世代だな!!

「うわ懐かしい!」


 長年住み続けて来た実家だが、いよいよリフォームの為に一時中身を空にする段階になり、俺は何十年間も溜め込んでいた私物を掘り返していたのだが……出て来た『お札』に思わず声を上げていた。

 それは一時期一世風靡した中国系ホラーの一種『キョンシー』で出て来たアイテム。

 とある月刊誌でその映画にあやかり付録としてついて来た代物で、映画の中では黄色い紙に鶏の血で書くとか物騒な設定があったが、それはまごう事なき印刷物。

 映画では今でいうところの感染系のゾンビみたいなキョンシーだが、このお札を額に貼ると動きを止めるというアイテムで……当時日本中でこんな小道具を使って“霊幻道士ゴッコ”をしていたのではないだろうか。

 かくいうこの俺も……。


「……そう言えばあの子と最後に遊んだのは、そんなゴッコ遊びだったか」


 ふと思い出したのは幼い頃一番仲の良かった友達。

 丁度キョンシーの映画が流行っている頃で、俺たちは道士役とキョンシー役に分かれて遊んでいたものだが、ある日突然その友達は行方不明になったのだ。

 当然当時は大事件になり、その友達の親御さんたちはありとあらゆる手段で探し回り、当時は警察による大捜索も行われていたけど……結局友達の足取りは一つも無く、捜索は打ち切られる事になった。

 捜索の中で事件性は終ぞ見つけられず、友達の足取りはまるで神隠しにでもあったかのようにある日突然パッタリと無くなってしまったのだ。

 数年後には『ここにいると思い出してつらいから』と引っ越してしまい、今の今まで俺自身思い出す事も無かったが……。


「今更だけど無事だと良いけど………………え!?」


 再び私物の撤去を始めようと積み重なった段ボールを動かした瞬間、俺の背筋は凍り付いた。

 そして思い出す…………そう言えばあの日、友達と最後に遊んだのは自分だったからと、警察にも親にも何度も色々聞かれた事を。

 ゴッコ遊びの時、俺が道士役で友達がキョンシー役だった事を……。

 今日この日まで動かす事の無かった段ボールの影……友達はそこに黙って立っていた。

 まるで時を止めたように当時と同じ子供の姿のまま、肌の色つやも良く、額にお札を張り付けた状態で……。


 映画の設定はお札を張り付けたキョンシーは動きを止めるけど、剥がされると……。

 俺は流れ落ちる大量の汗を拭う事もせず……震える手で額に張り付いたお札を……。








ここまでお読みいただき誠にありがとうございます。

少しでも面白いと思って頂けたら、感想評価何卒宜しくお願いします。


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[一言] わ~~懐かしいW 主人公の次の行動W 足の裏のツボを線香で焼いて言うことを聞かせるように処理。 失敗。 ツボは覚えてません。 大量の油で唐揚げにして殺す。 …
[良い点] わぁ〜懐かし〜同世代です!って呑気に読み始めたのですが、がっつりホラーでヒエ~ってなりました(TT) 付録のお札にそんな威力があったなんて…
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