第一話 道、踏み外してみた
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1話は地の文主体です。2話から主人公視点になります。
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曰く、外野 道也は外道である。
人並外れた洞察力をフル活用して、すべてのテストでカンニングを行い、学年上位の成績を修め続けてきた。
曰く、外野 道也は鬼畜である。
体育祭の徒競走で運悪くこけた同じ組の人の身体の上を全力で駆け抜け、圧倒的なスピードで一位を獲得した。
曰く、外野 道也はカスである。
避難訓練で皆が「押さない・駆けない・走らない」の「お・か・し」を守りながら避難する中、道也は「生き延びるのは俺だけでいい・天上天下俺我独尊・コーナーで差をつけろ・絶対俺政」の「生きてこうぜ」を掲げ、爆速でグラウンドに避難した。
この行いから、高校の生徒からも、先生からも恐れられており、ついたあだ名が「極悪外道鬼畜カス」という早くこの世からいなくなった方が喜ぶ人が多いのではないだろうか、と思われるようなものであった。
そんな地元の不良でも手を出さない彼にも、怖いものが一つだけあった。
そう。「死」である。
どれだけ優れた人間でも必ず死ぬと知ったときの絶望たるや計り知れないものであった。
そんな死に対するリスクをほぼゼロにしている道也でも、不慮の事故には敵わない。
ある金曜の夜中にコンビニへエロ本を買いに行った帰り道、酔いつぶれたサラリーマンがフラフラと歩道を歩いているのが見えた。
それを一瞥して、こうはなりたくねえ、死ぬまで会社の犬として働き続けるのなんてまっぴらごめんだ、なんて思いながら購入したエロ本に思いを走らせていると、先ほどのサラリーマンがトラックの走っている車道にフラッと飛び出していくのが見えた。
「あ、あいつ死んだな」なんて思いながらぼーっとしてると、そのトラックは驚くべき運転技術でそのサラリーマンを回避して道也の方へ突っ込んでくるではないか!!
「ふざけんな」なんて思いながら、走馬灯を見る間もなく道也は“運よく”トラックにはねられて死んでしまったのである。




