FPS配信でイキりたい
味を占めてしまった。占めてしまったので、私は昨日に引き続き今日もvtuberとして配信を開始しちゃっていた。
現在も配信画面の右下には自作した3Dモデル――金髪ロングの巨乳美人がPCに向かう私の動きをトレースして微妙に動いている。
『わこつ』
『今日も右下にいるじゃん』
『わこー』
『なにこのキャラ』
『ばんわー』
昨日の配信を通して私のvtuberとしての姿に慣れてしまったのか、視聴者たちの反応は若干薄い。反応してくれるだけでも嬉しいが、作成した苦労を思えばもうちょっとリアクションが欲しい思いだった。
「はい、こんばんはー、じゃあ今日もアペックスやっていきますか」
だが内心愚痴っていてもしょうがないので早速ゲームでもすることにする。ジャンルはFPSだ。恐らく視聴者もそれを望んでやってきているはずなので。
『エーペックスだろ』
『エイペックスな』
『今日もFPSか』
『三日連続じゃん』
そう、今コメントしている数年来の固定視聴者層ではなく、昨日の配信が話題になったことで生まれたであろう新規層。本日は彼らを狙い撃ちにした配信を行うのだ。
昼にエゴサをしたときにプチバズっていたのは、ほとんどがvtuberの3Dモデルについてだった。だが配信の内容、つまりは私のゲームプレイについても、少ないながらに話題となっていた。いわく、『上手すぎ』、『神エイム』、『立ち回り完璧』など、ゲームのプレイング面での評価が見受けられた。
何しろ今世の私は天才だ。常人の数百倍の思考速度に完全記憶能力を持つ世紀の大天才である。そんな私にかかればゲームのスーパープレイなどお茶の子さいさいであった。現にy○utubeに投稿している動画のほとんどはゲームのスーパープレイであり、わりと視聴数を稼いでいる。それがチャンネル登録者数とライブ配信の視聴者数に結びついていないのは残念であるが。
「まーまー、同じジャンルが連続しても偶にはいいじゃないですか」
『別に嫌とは言ってないが?』
『勘違いしてもらっては困るな』
なんだこいつら……、と思っている時だった。最新のコメントに求めていた文字を見つける。
『初見です』
「おお!」
新規層がやはり来ていた。しかもコメントまで残してくれている。嬉しく思ってユーザー名を記憶に残そうと思って見てみると――
「見慣れた名前ですけど!」
『草』
『草』
『金髪美人がキャラ崩壊してるが』
『w』
『特定こわ』
『w』
「うぐぐっ」
笑われていることに若干腹が立つ。だが私を見て笑ってくれているということに自己顕示欲を満たされることもあって歯がゆい思いだ。
「いいです、普通にゲームをします」
そう言いつつ配信ページの視聴者数を確認すると300人弱いた。普段は150人前後なので明確に人が増えている。
「へへへへ」
やはりvtuber化とプチバズりの集客効果はあったらしい。目に見える変化に笑いが漏れる
『え、怖い』
『いきなり笑い出したぞ』
『悪霊退散』
『母さん、さようなら……』
「やめろやめろ、視聴者数が減っちゃってるじゃないですか! はい! 雑談終わり! アペックスやります!」
『エーペックスな』
『エイペックスだから』
そうしてようやくアペックスを始める。このゲームは最近流行りの三人一組となり生き残りを目指すバトルロイヤル系FPSで、配信者たるもの触ってないといけないようなメジャータイトルだ。
かく言う私もかなりやり込んでおり、天才の能力を最大限に活用してマップや武器のスペックを始めとした諸々の情報はすべて記憶している。そこに天才の思考能力、瞬間的な判断力、情報の活用力、経験に基づく指先の動作管理能力、及び全体の流れを読む力があればこのように、
『すっご』
『ゲームだけは上手いな』
『無駄に参考になる』
『すげぇ』
『エイム神』
『やりますね』
視聴者に私を賞賛させることなどたわいもないのだ。
「ふふふ、私は世紀の大天才ですからね、世界で一番上手いですよ、プロから誘いが来たこともありますもん、だからこんなの余裕ですよ余裕」
ああ、賞賛が気持ちいい。この瞬間のために配信をやっているといっても過言ではない。
『ダウト』
『はい虚言』
『でたな』
『大言壮語がすぎる』
『ノルマ達成』
『ゲームが上手いだけの虚言癖女』
賞賛コメントが気持ちよすぎてこの反応にすら気持ちよくなれてしまう私がいる。
「へへへ、どうです、やりましたよ?」
そうこうしてコメントと雑談しながらゲームを進行させること十数分。私は最後の一人になっていた。仲間は終盤にやられてしまったのでラストは天才パワーでごり押した。
『卑しい顔してて草』
『参考になりました』
『高貴な雰囲気が吹っ飛んだぞw』
『実際凄い』
『顔見れるとおもろいな』
『おめでとうございます』
「えへへへ」
コメント欄の流れが速くなっている。おそらくは新規層もコメントしてくれるようになっているのだろう。それを裏付けるように素直な賞賛コメントが増えていた。更にはその中に色の変わった特徴的なコメントが混じってもいる。
『初見です。面白かったです:250円』
「えへへ、初見さん、投げ銭ありがとうござ――」
そこまで言ってコメントのユーザー名を確認すると、そこには見慣れた名前が。
さっきの見慣れた名前じゃねぇか!
と無性にツッコミたくなった。なったが、私はぐっと我慢する。
「あ、ありがとうございます」
そう言って笑顔で答えた。
『え、こわ』
『笑顔は本来うんぬん』
『マジで何だこの技術』
『そいつさっきのやつだぞ』
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〈朗報〉新人vtuberさんFPSがめちゃくちゃうまい
1 名無しのまとめ
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何やこいつチート使ってるだろ
4 名無しのまとめ
エイムヤバくて草
5 名無しのまとめ
ふーん、やるじゃん
8 名無しのまとめ
胸揺れエッッッッ
9 名無しのまとめ
こいつ絶対チート使ってるわ
人の動きじゃねーもん
11 名無しのまとめ
何このキャラ?アニメ?
14 名無しのまとめ
>11
最近流行ってるvtuberってやつ
ただ1が言ってるのは二次元の皮をかぶってるだけの女配信者っぽい
17 名無しのまとめ
こんなん見る18禁じゃん
18 名無しのまとめ
こいつ絶対チート使ってるから運営に報告しといたわ
21 名無しのまとめ
はー、技術の進歩を感じるH
26 名無しのまとめ
そいつ自己主張強いヤバい奴だから触んない方がええで
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本日のエゴサ。
また私がまとめサイトにまとめられていた。




