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お姉さんと私  作者: ゆりかも
第1章 お姉さんと私
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第9話 続、クリスマスパーリーナイト!

カラフルな紙吹雪が土間にむかってフワフワと舞い落ちる。それを見届け、玄関へと足を踏み入れた。


「お父さん!サプライズ成功ね!」

「あっはっは!大成功だよ母さん。」と目の前でキャッキャウフフしている両親を尻目に、少し呆れの籠ったため息を吐く。


「メグさん、騒がしい家族ですみません。」と小声で告げ、申し訳なさと、恥ずかしさで一杯になった。


彼女は、ふるふると首を横に振り「家族皆仲が良いのね…。」と目を真ん丸にして驚きを見せていた。メグさんに引かれていなかった事に安堵した。

「それより!美緒ちゃん!」

ぱしぱしと優しく私の肩を叩く彼女に顔を向ける。


「何で誕生日の事を教えてくれなかったの!?」と、ぷくっと頬を膨らまし拗ねている彼女を宥めるように頭を優しく撫でた。

「気を遣わせたくなかったんです。」というのも勿論だが、本音を言うと…クリスマスの日実は私の誕生日なんですと言うと、何だかプレゼントをねだっているように見える気がしてならなかったからだ。


勿論メグさんからプレゼントをもらえたら家宝にする程嬉しいが、彼女が隣にいる事が私にとって一番のプレゼントなのだ。


「あらあら、貴女が恵美さんね!娘から聞いていたけれど、本当に美人さんね!」

「本当になぁ!一瞬芸能人でも連れてきたのかと思ったよ!あっはっは!」と、豪快に笑う父と嬉しそうに微笑む母。その隣には、先程までニヤニヤとした笑みを向けていた筈の弟が、口をポカンと開けたまま突っ立っていた。


不思議に思い、弟の肩を小突いた。

「あんた、何ボーッとしてるの?メグさんの前でアホ面晒さないでよ!」と、小声で咎める。

我に返ったのか一瞬肩をびくつかせ、目をぱちぱちと瞬かせる。


「い、いや…。何でもない。」と歯切れの悪い弟に少し心配する。

いつもだったら「姉ちゃんのアホ面には負けるけどね!」などと、すかさず私を馬鹿にする筈が、心此処に在らずといった様子だ。


「もう、あんた達ふざけてないで!恵美さん、外寒かったでしょ?早く中入って、ご飯の準備もできてるから。」と、母が促した。そしてすぐに私達は、リビングへと向かった。


リビングへ入ると、壁にはHAPPY BIRTHDAY DEAR MIO !!と、書かれた画用紙が張られていて、その周りには靴下や星等、クリスマスの飾りつけがされていた。ダイニングテーブルのすぐ横には、150cm程のクリスマスツリーがイルミネーションによって輝いている。


「今年も飾り付け頑張ったんだね…。」

「当たり前でしょ?一年に一度しかない美緒が生まれた大切な日なんだから。」

「いやー、年々老いを感じてきてさ、誕生日が来る度にグルコサミンサプリを飲むことを検討してるんだけどさー…。」

慈愛に満ちた瞳で微笑みかける母に照れ臭くなり、それを誤魔化すようにおどけてみせた。


「じゃあ、今夜の主役である美緒と恵美さんは此処に座って待っててね?お父さんと優太はご飯の準備手伝ってくれる?。」

「「はーい。」」


母を筆頭に、キッチンへと向かうのを見送る。隣に座るメグさんの方へ視線を向けると、キョロキョロと辺りを見回していた。


「メグさん、どうしたんですか?」

「え!?あ、えっと…。私の家では、あまりこういう風に祝ったりしなかったから凄く新鮮で…。」と、少し寂しそうに顔を俯けた。


「あのー、メグさんに1つ提案があるんですけど…。」

「提案…?」不思議そうに首を傾け、私の次の言葉をじっと待つ。


「次のメグさんの誕生日、私に祝わせてくれませんか…?」

「……っ!!!」

先程まで寂しそうにしていたのが一変し、驚きと嬉しさが合わさったように瞳を輝かせた。


「えっと…。ここまで豪勢に出来るかは分かりませんけど、大好きなメグさんが生まれてきてくれた日を一緒に祝いたいなぁって…。ダメですか?」

「…ありがとう。楽しみにしてるね?」

気恥ずかしそうに顔を赤らめる彼女を眺めながら、料理が運ばれてくるのを待った。


「熱々ですね…。」背後から耳元へ囁くようにいきなり声が掛かり、驚きとともに後ろへ振り向くと、ゴツンッと私のおでこに激痛が走った。


「いってぇー!!!」と、そこには顎を押さえながら床にしゃがみこむ弟がいた。


「ちょっと!驚かせないでよね!」ふんっと鼻を鳴らし、おでこを擦りながら見下ろす。少し涙目になりながら此方を見上げ「今の衝撃でケツ顎になったらどうしてくれんだよ!」と、訳の分からない事を訴える弟に少し安心感を覚える。玄関で会った時、少し挙動不審だったのが気掛かりしていたからだ。それも杞憂だったらしい。


「はぁ…何だかんだ2人ともラブラぶふぇっあ!?「あー、大丈夫?吐きそうなの?ほら、姉ちゃんの肩に掴まって!トイレまで運んであげるから。メグさん、ちょっと席はずしますね。」

勢い良く弟の口を塞ぎ、次に出る言葉を飲み込ませる。心配そうにするメグさんに見守られながら、弟を引き摺るようにしてリビングを後にした。


「ぷっはぁっ!ちょっ、姉ちゃん何すんだよ!」と、苦しそうに肩を上下させ、呼吸を整える。

「どうしたも何も、あんたが変なこと言おうとするからでしょ?」

「は?変なことって…見たまんまの事を言ったまでですけど?」と嘲るように煽られると、流石の私でも頭に血が上り血管が切れそうになる。


「本当に何なの!?あんた今日、可笑しいんじゃない?」

「別に?何時もと変わらないけど?そう言う姉ちゃんこそ、デレデレ鼻の下伸ばしちゃってさ、気持ち悪いよ。」


何時もより刺のある物言いに、はらわたが煮えくりかえる。わなわなと震える肩を必死に押さえ、深呼吸をする。

「ふぅー…。ねえ、優太。どうしたの?何か嫌なことでもあった?姉ちゃんが聞いてあげるから言ってごらん?」

弟の頭をぽんぽんと優しく撫でる。そうすると罰が悪そうな表情をし、そっと手を振り払われた。

「…ごめん姉ちゃん。折角の誕生日に気分悪くさせて。俺、食欲無いから先に寝るわ…。ごめん。」そう言い残し、自分の部屋へと向かって行った弟の後ろ姿は、今にも消え入りそうな程小さく見えた。


弟を見送りリビングへと戻ると、食卓には沢山の料理が並んでいた。


「ちょっと美緒!遅いじゃない!ご飯が冷めちゃうわよ!」

「いや…。優太が調子悪そうだったからさ…。」

「優太は今何処にいるんだ?」

「食欲無いから先に寝るって言って部屋に戻ったよ。」

私の少し沈んだ様子を察した母が「そう、それじゃあ、優太の分まで美緒の誕生日を祝わなきゃね!」と明るく声をかけた。


***

※恵美視点


夕食を食べ終えると、皆で片付けを始めた。

美緒ちゃんとお父さんは、壁の飾りつけた物とツリーを片付けることに。お母さんと私が食器などを片付ける事になった。


「恵美さん、今日は来てくれてありがとうね?美緒も喜んでるわ。」

「美緒ちゃんが喜んでくれたなら来て良かったです。」

キッチンに二人して並んで皿洗いをしていると、何だか家族の一員にしてもらえている気がして、少しくすぐったい気持ちになる。


「あのこ、誕生日とクリスマスが重なってるでしょ?だから今まで友達に気を遣ってか知らないけど、友達を誘ってこなかったのよ。」と、優しい眼差しで美緒ちゃんを見つめた。


「でも、恵美さんには我が儘を言ってまで来てほしかったみたいね。」うふふっと微笑み「何でだろうね?」と聞かれ、私は美緒ちゃんの方へと視線を向ける。

その視線に気付いたのか此方に笑顔を向けられると、胸が温かい気持ちで一杯に満たされた。


「何だかこうやって一緒に皿洗いをしてるとね。不思議と娘がもう一人増えた気がして、何だか嬉しいわ。」そう言うお母さんの後ろから、ひょこっと美緒ちゃんが顔をだした。


「何々?何の話してるの?」と興味津々に聞いてくる。

「ん?恵美さんが私の家の娘にならないかな?と思ってね?」そう言うお母さんに、どう言うこと?といった表情で私達を交互に見る美緒ちゃんがとても可愛らしく思えたのだった。






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