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お姉さんと私  作者: ゆりかも
第1章 お姉さんと私
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第1話 お姉さんとの出会い

初めての小説投稿です。よろしくお願いします。

1、お姉さんとの出会い


「綺麗・・・。」小さく溢れ出た声は、目の前で私が買おうとしている商品をレジ打ちしているお姉さんには届かなかった。


胸元まである黒く艶やかな髪を左側にまとめ、時折顔にかかる後れ毛を、白くしなやかな指先で耳に掻ける姿は、女の私でも思わず見とれてしまうほど美しかった。


最後の商品を買い物カゴに入れ終え、下を向いていた彼女の顔が上がる。先程まで伏し目がちだったそれが、私の目をとらえた瞬間ドクンと心臓が大きく脈打つのを感じた。奥二重で切れ長な目、クールビューティーという言葉は、彼女のために在るのではないかと思う。


普段、あまり人と目を合わせて会話をすることが苦手な私だが、彼女から目が離せなかった。というより、離したくなかった。


「5846円になります。」唐突に聞こえたリアルな数字に一気に現実に戻された。あわてて財布からお金を取り出し、トレーに乗せる。流れるようにお会計が済まされ、お釣りを受け取ろうとしたとき、私が差し出した右手は彼女の両手に包まれた。実際には、お金が落ちないように私の手に添え、お釣りを渡してくれただけなのだが、急に近くなった距離に心臓がドコンドコンとお祭り騒ぎだったのは、いうまでもない。


「またのご来店お待ちしております。」と笑顔でいう彼女は、もはや女神様にしか見えなくなっていた。

浄化され、清らかになった心の中で彼女に合掌し、必ずまた明日も来ようと誓ったのだった。




そんなこんなで、美人なお姉さんとの一方的な出会いを果たした私は、自宅へ帰路に着く道中、先程までの至福の一時を幾度も思い出してはにやけ顔を止めることが出来なかった。


私が住んでいるのは、先程までいたスギノキ薬局から徒歩10分ほどにあるマンションに住んでいる。1Kと、少し小さいかもしれないが、独り暮らしなのと、あまり家具を沢山置かずにシンプルな必要最低限の物しか置いていないため、そこまで狭さを感じさせない。


ルンルンとした気分で玄関の扉を明け、キッチンの前を通り、買ってきた荷物を部屋の中央にある、木とアイアンで出来ているヴィンテージ風のローテーブルの上に乗せ、傍らの二人掛けソファに座り一息着く。


先程まで高鳴っていた鼓動が落ち着きを取り戻した頃、ある重要なことを忘れていたことに気が付いた。

「お姉さんの名前確認しとくの忘れてた!!」


現在知っている情報といえば、近所の薬局で働いているということと、物凄く美人でクールビューティーで、色白で、陶器のような滑らかそうな肌に切れ長な澄んだ瞳と長い睫、血色の良い艶のある唇、perfect body(まあ、まとめると控えめに言って女神様。)ということだけだ。


つまり、私達の関係といえば、店員(女神様)と客(超庶民)。悲しいことにただの他人でしかなかった。まあ、今日初めて会ったので当たり前のことなのだが、現実を思い知り落胆していると、ピロリンとケータイの着信音が鳴った。


ケータイを覗くと、画面には優太と表示されていた。優太は私の2つ下の弟で、家族の中でも一番仲が良く、良き相談相手でもある。


ケータイを手に取り通話の方へ画面をスライドさせる。少し落ち込んだ声で「もしもし。」としゃべると、「え…姉ちゃんどうした?」と、声の暗さに気づき、心配したように声をかけられた。


私としては、心配されてむず痒い気持ちと、急に電話をかけてきた弟の方がどうした?って感じなのだが、おそらく私の話を先にしないと用件を話さないだろうと思い、今日のことを包み隠さずに伝えた。


「えーっと…つまり姉ちゃんは、その美人なお姉さんとどうなりたいわけ?」

「どっどどどどうって!そんな!べ、別に、あわよくばお友達になりたいとか!そ、それ以上の関係にとか!そ、そんな事思ってるはずないじゃないですか!」

優太の質問で初めて自分があのお姉さんとどうなりたいのかを考えた瞬間、激しい鼓動と急激に熱が顔に集中するのを感じた。その理由を考えると、1つの答えしか導かれなかった。(ま、まさか女の人に一目惚れするだなんて…。)


「姉ちゃん、どもりすぎだし何故に敬語?意識してるのバレバレだよ…」と、優太は少し呆れてため息混じりにそう言った。


「まあ、働いてる場所は知ってるなら会いに行ってナンパでもして友達になれば良いんじゃない?」

「ばっ!おまっ!そんな事出来る鋼メンタル保持者なら既にしてるから!」

「あ…そっか、姉ちゃんお豆腐メンタルだったね…。」

「くっ!せめて厚焼き豆腐位のメンタルがあれば!」

「うん、一回豆腐から離れよっか。」

恥ずかしさを隠すためにふざけたのがすぐにバレたのか、話を元に戻される。


「姉ちゃんでも出来る事…って言ったら、毎日会いに行って常連さんになることじゃない?そしたら、必然的に顔も覚えられるだろうし。」

「まあ、そうするしかないかー…」

「何事も地道にコツコツと続けることが重要だよ!姉ちゃん!」


物凄く明るく言う優太に少し元気をもらい、先程まで落ちていた気分も少し上がってきた。


「そうだね!明日から頑張って顔見知り位にはなれるように頑張る!」

「う、うん。物凄く目標が低いけど、頑張れ!」


明日からの作戦(まあ、買い物をしに行くだけなのだが、)を考えるためにすぐさま通話を終了させると、そういえばまだ本題を話していないことに気付き、急いで電話をかけ直す。


「いきなり通話切られたからビックリした…」

「ごめーん!それで今日電話かけてきた本題は?」











これからゆっくり投稿していきたいと思います。

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