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死神A  作者: お塩
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神の擬態

「久しぶりだな!竜神イフト!」


「何年ぶりかはわからんが、元気そうではないか!まだ創造神のクソ野郎の下で働いておるのか!フハハハハ!」


「しかし、どうだ?俺が拾ってきた新しい神は。」


「クソ面白いにも程があるぞ!あやつ、本心では創造神のクソ野郎をバカだと見下しておる!それでありながら、ワシに対しては侮辱を訂正しろ!二度目はないぞ!だとよ!いやホント、困惑の連続であったわ!」


ザリエルが竜神との再開を喜んでいる。



…よし、俺の任務は達成した。

仕事の続きだ。

人間の魂の選別は終わっていたので、後は動物と虫の魂の浄化だけだ。

動物と言えばこの間、人間になりたいという意思を持つ魂がいた「おいおいおいおい!アザナミよ!どこへ行くと言うのだ。これから飲みに行くというのに!まさか、仕事を再開するわけではあるまい?」


俺の思考を遮り、声をかけてきたのは死神ザリエル。


マジかよ…

いや、ない。

俺には仕事が残っている。

魂を待たせるわけにはいかないのだ。


「俺は仕事を片付け次第、参加する。いつもの場所だろ?」


「おいおい!バックレるつもりだろう?そうはいかんな!今すぐだ!今すぐ例の酒場へ行くんだ!さもなくば神々にあのことをバラすからな!ガハハ!」


「今までの記録はしっかり保存しておるからな!逃げられると思うでないぞ!フフハーッハハ!」


…心の中でバックレようかと思った瞬間にこれだ。

呆れる。

ただサボりたいだけだろうと心の中で思うのも野暮だ。

まあ、魂に意識は存在しないのだ。

クレームなど一切ない。

ありがたく付き合わさせてもらおう。

と思ったが、目立たないだろうか?

二人ともご機嫌になって、騒ぎ回らないだろうか?

心配だ。


「二人とも、再開で嬉しいのはわかるが、あまり目立たないようにしてくれよ。じゃないと人間に干渉されるからな。」


「わかっておる!早くしろとにかく!」


ザリエルが二つ返事で急かす。

どんだけ飲みたいんだよこいつ…




赤。

液体。

俺はワインに口をつける。

その横には、竜神と死神。

仲良くビールをかっ食らう。


「それがどうだ!こやつ、ワシをまるで殺神狂のように扱うのだ!ワシはただ、創造神に一泡ふかせてやると言っただけなのに!その言葉に一番揺らいでたのはこやつだと言うのにも関わらずだ!ワシを…ワシを…!!」


「ガーーーーッハッハッハァ!落ち着け落ち着け!暴力沙汰は無しだぞ!」

今にも俺に殴りかかりそうなのをザリエルが止めている。

要するに基本的に俺への悪口で盛り上がっていた。

ある特定の人物への悪口とか、愚痴って、本来は本人がいない所で行うべきだと思っている。

まあ、神々にはそういう配慮は無いんだろう。

確かに全面的に俺が悪い。

誤解してたんだ。

俺を自分の欲望の為に利用しようとしてたんじゃないかって。

よくあることだ。

初対面だし。

大体、神ってろくな奴はいないし。


…そう思ってる途中で、異様な胸騒ぎを覚える。

これは、油断できない神がこの近くに降臨したと言うことだ。

決して本心をさらけ出してはいけない神。


俺は自身を洗脳する。

心の底から創造神を崇拝するように…


死神ザリエル、竜神イフトは阻害魔法をより一層強くする。


だが、膨大な魔力の持ち主は、ありがたいことにこちらの酒場へと近づいてくる。

俺は両手の指を交差させるように組み、その対象へと祈りを捧げる。


やがて、カランと入り口を開ける音が聞こえた。


入ってきたのは、恋神リリム様。

偉大なる創造神様のご子息である。


透き通るような金色のロングヘアーに、甘美さすらも感じられる程の美貌。

その瞳には、見た者を永遠の記憶として刻まれる。

まるで吸い寄せられる神々しさには、様々な神が虜になるであろう。

俺もその一人である。

会うのは二度目だ。

一度きりの神生で二度も会えるとは、幸運なことである。

日頃の行いが良かったのかもしれない。

涙が出てくる。

一度目は死神ザリエル様に認められ、神となったときに、偉大なる創造神様と面会を行ったときである。

その隣にいたのが恋神リリム様。

そのリリム様が自分で創造神様の娘だと名乗っていたため、そういうことなのだろう。


それがなんとなんと、とてもありがたいことに、俺ら三人で仲良く酒を飲んでいる…?

ときに降臨なされたのだ!

一体なんのご用なのだろうか!

気になる!


「こんにちは。ザリエル様、アザナミ様。お元気そうでなによりですわ。」


声!

美声!

やばい!

透き通る様な声である。

恋神リリム様のお声を一度聞けば幸せになれると噂されていたのだ。

だがやはり聞いてみると、なんたること!

心が洗われるようである。


俺はうっとりしすぎて、返事をするのを忘れていた。

俺は慌てて、リリム様へ挨拶を返す。


「こ、こんにちは。リ、リリム様も、お元気そうで、なによりです。」


俺は照れるのを必死に隠し、リリム様へ返す。


後は親友ザリエル様におまかせである。


ザリエル様は上位の死神様なので、偉大なるリリム様と対等にお話をされるのであろう。


俺はしばらく黙っていることにする。

あと、創造神様への祈りを忘れずに。

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