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死神A  作者: お塩
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先神の誇り

「お主…それは無謀というものだろう…」


竜神が呆気に取られてから数秒立っての言葉。

予測もつかないことを言われて動揺したのだろう。

だからと言って、俺は他神に頼りたくないもないし、あてにしたくもないのだ。

俺は人じゃないから。


人は、一人では何もできないのだ。

どれだけ能力があろうと、どれだけ大層な理想を抱いても、事を成すことはできない。

周りの人間がそれに影響され、その人の力になりたいと思わせなければ何もできないのだ。


今は違う。

俺は神なのだから、一人でできるのだ。

ひとりでできるもん。

つまりこういうことである。


俺は竜神に背を向け、本日の仕事を再開しようとする。


「おいおいおい!アザナミとやら!それはないだろう。先神からの助け船を、こ、こうも蹴るとは…お主、転生者による蹂躙を恐れているのであろう?阻止したいなら、創造神のクソ野郎をなんとかするしかないのはわかっておるのか?」


俺は背を向けて歩いてると、前に回り込まれ、俺を説得する。

竜神の目的も大体わかっている。

所詮娯楽にしか考えていないのだろう。

ただ、創造神を再び倒すだけじゃつまらないとか考えてそう。

まあ年寄りの考えてることなんかわからないし、どうでもいいが。


「竜神イフト。あなたはさっきから何を言っているのかわかりません。ただ、創造神様を冒涜したことは見過ごすべきものではありません。ただちに訂正をお願い致します。二度はありませんよ。」


俺は竜神に本心を読まれてることも気にせず、あくまで創造神に忠誠を誓うことを口にする。


「何を言っておる!お主もあのクソ野郎を心の中で見下していたではないか!ワシの目は誤魔化されんぞ!何が冒涜だ!この際言っておくが、ワシはお前をずっと監視しておったぞ!地球から流れてくる魂を送り返していたな!ワシは見ていたぞ!それこそ創造神への冒涜もいいところだ!記録魔法も使っておる!録画も録音もしておるぞ!神々に言いふらすこともできるぞ!よいのか!?え!?」


竜神は目を見開き、声を荒くして俺を脅す。

その瞬間、俺の思考は停止する。

俺は機転が利く能力は持ち合わせていないのだ。


…こいつ…ザリエルの言うとおり、確かに面白い性格のようだ…

だが、俺の身には余る。


困ったことがあれば、上司、いや、上神に報告だ。

俺はすかさず念話でザリエルに報告…すぐに繋げたので竜神イフトのことを話す。


『もしもし、アザナミ。今竜神イフトと思わしき人物が目の前にいる。創造神様の殺害を企てているので、大至急来てくれ。』

《ハハ!ガーッハッハ!!!わかったわかった、ちょっとだけ時間を稼いでくれ。》


…よし、報告は終えた。

あとは、こいつをどう引き留めておくかだ。


「…おい、お主。誰に報告したのだ?ザリエルか?ザリエルだな?よりによってザリエルにか?そうか!お主を神にしたのはザリエルだったのか!なら合点はいく。お主のその掴み所のない、わけのわからない発想…それに時折見せるバカっぽい考え方。なるほどな!納得したわ!フハーッハッハッハァ!」


言いたいことを言って、なんか一人で納得した竜神イフト。

何はともあれ、とにかく助かった。


…一つ気になったので、竜神に聞いてみる。


「いつから俺を監視してたのですか?もしや、誰かの指示で動いていたのですか?」


「お主がこの孤島の担当になってからであるぞ?創造神のクソ野郎の制裁を受けてからずっと暇であったからな。のらりくらりと人になりすましながら美味しいものを食べたり、冒険者になり魔物を倒したり、労働とやらもしてみた。それはそれで楽しかったぞ!すぐに飽きたがな。かれこれ数千年は経ったか。ふと、前担当だった小島を見上げると、魂休所が再び現れ始めたではないか。そこからじゃな。お主の監視を始めたのは。」


お主への監視は独断じゃよ。

と付け加える。


そこからじゃな。お主の監視を始めたのは。

とか言われても、普通に気持ち悪い。

言えよ。

そのときに。

前担当の竜神イフトですって。

それで丸く収まるだろ。

いや丸く収まるかどうかはわからんが。

今さらになって白々しく挨拶されても反応に困るんだよ!

てか、なんで監視してたんだよ!

ただのストーカーじゃねえか。


俺は深くため息をつく。


「それで、創造神様から制裁を加えられた腹いせに、数千年の間、創造神様を殺害…いや、魂の消滅を企てていたと?それで都合のいいことに俺が現れて、心の隙につけこもうとされていらっしゃったんですか?甘いですね。ショートケーキよりも甘くていらっしゃる。」


俺は最初の竜神の言葉を輪にかける。


「神の話を聞け!お主は酷く何かを勘違いしておる!別にワシはあのクソ野郎をいかに殺すかで喜びを抱いてるわけでは決して、無い!なんかワシに対してあたかも殺神狂である想像をしていたようだが、無礼であるぞ!」


そんなやりとりをしている間に、ザリエルがここに到着した。

詳しい話はここから聞くことにしよう。

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