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異世界転生なのです、お姉さん!  作者: 乃平 悠鼓
第3章
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第6部 理想郷の街《2》

 クーちゃんを連れて、この街で一番大きな公園にやってきましたよ。公園中央の後方に大きな池があり、夏にはここで花火大会が行われます。

 この街で行われる主な催し物は三つを予定。春のフラワーマーケット、夏のナイトマーケット、冬のエンジェルマーケット。今年は “街びらき” だけど、来年のこの時期はフラワーマーケットになる予定なの。

 名前の通り、春は花の形のアクセサリーやお菓子など花に関する商品を置いた屋台や露店が並び、ホースショーのお馬さんも花飾りをつけたりお馬さんの障害の飛越が花の形をしたりして、街を花で飾る。夏はこれが金魚の形や花火の形になり、冬は羽のついた動物の形に変わるんだ。

 中央広場にも屋台が出て、中央広場に面した奥の役所の横にある舞台でもさまざまなイベントが開催される予定なの。各店舗にも、この時期しか手に入らない商品が並ぶ。


「じゅんび、ばんたんなの」


 公園の右手には、お祭りの時だけ出現する移動遊園地が設置されている。メリーゴーランドにコーヒーカップ、回転ブランコに小さめのバイキング海賊船、小さめの観覧車にキッズコースター。一昨日プレオープンして、領地の人達に乗ってもらったの。

 どれも見たことない物だから最初は誰も乗ってくれなくて、仕方なくあっちの世界の遊園地経験済みの皆でできるだけ楽しそうに乗ったよ! その後は皆乗って遊んでくれたけどね。

 とは言え、プレオープンの時と “街びらき” では乗る人数が違うから、最終確認は念入りにしないといけないのだ!

 池の前から左手前方には屋台や露店が並び、後方ではホースショーと障害馬術が行われる。また、公園の周りの一部と森の一部を使ってクロスカントリーが開催されるのだ。


「マージェさ〜ん!」

「は〜い、いますよお嬢様」


 マージェさんがひょいっと、メリーゴーランドの操作室から顔を出す。今はメティイストさん、チャルペンティストさん達、あっちの世界の遊園地経験者のメンバーで最終確認を終え各操作室を施錠中らしい。


「あっ、お嬢様。見ましたか、門の外すごいことになってますよ」

「そうですよ! びっくりしました」


 そう言いながらやってきたのはメティイストさんとチャルペンティストさん。“何が?” と、首を傾けていると


「点検をかねて観覧車に乗ったんですけどね、上から門の外を見たらすごい行列ができてて」

「俺も話を聞いて観覧車に乗って見たら、門の外にテントを張ってるやつや、商団の大型馬車やらもいてびっくりですよ」


 “はぁーっ、何だってー!!” とりあえずメリーゴーランドの操作室の鍵をかけ、マージェさんと観覧車に乗りに行ったよ。


「なにこれー!!」

「いやいや、しょうがないでしょうお嬢様。税の免除のために、どれだけ珍しい品物の数々を王家に献上したと思ってるんですか。」


 ハッとして、マージェさんを見る。観覧車の窓から見える門の外の行列、いったいどこまで。


「村の方の宿屋もいっぱいで、一部騎士団の空いてる部屋も貸し出したって昨日言ってましたよ」


 マジかぁー! 村の方は全体をフェンスで囲っているし、騎士団の一部が常駐しているから大丈夫かな。でも、村の宿屋がいっぱいって。

 村も街と同じ造りで建物は2×4(ツーバイフォー)。違うのは、村は平屋が多いと言うこと。村長のお家と騎士団の駐在所、宿屋がかろうじて三階建てなくらい。村は半年前に “村びらき” をして、出入りができるからね。

 でも、こちらは “街びらき” をしていないから、何らかの取引のある商人しか今は街に入ることはできない。だから、明日まで皆外で待つきなの?


「きっと各領主がこぞってここに押し寄せることができないから、使用人とか出入りの商人をこちらに買い付けによこしてるんですよ。皆主人のために、少しでも早く商品を手に入れようと並んでるんですよ」

「ふぉ、たいへんなの! しょうひんたりないかも! よやくでんぴょうをよういするの!!」


 地上についた観覧車からポーンと降りて、急いでクーちゃんに飛び乗りましたとも!


「クーちゃん、コルポールティスしょうかいにいくの!」


 コルポールティス商会に行って、予約伝票を買えるだけ買わせてもらって、外に行列ができていることを伝える。マージェさんいわく、王家に献上した商品を買いに来る貴族が多いだろうと言うことで、レジンアクセサリー、ドレス、ぬいぐるみ、ローズウィンドウ、化粧品、薬など、王家に献上した商品を取り扱っているお店を中心に予約伝票を配り、あらかじめ窓に張り紙を貼っておくことを伝える。


『商品売り切れの場合は、ご予約を承ります』


 明日、門で入場の際にも伝えてもらおう。“商品は多数ご用意しておりますが、売り切れの場合はご予約になります” と。


「ロリエー!」

「お嬢様、どうなさいました」


 ロリエはお屋敷を辞めて、街でドレス店を開きます。王様と王妃様に献上した夜会服は、ロリエとシェーヌと私が一緒に作ったもの。きっとお客様が押し寄せるよ!“明日、お屋敷から手伝いをよこすからね!” ロリエに予約伝票を渡して、ぺルルのお店へ。

 ぺルルもお屋敷を辞めて、街でレジンのアクセサリー店を開くの。ぺルルにも “明日お屋敷から手伝いをよこすねー” と伝え、行列が出来そうなお店に予約伝票を配っ行く。そして


「フミラ! パシオ!」

「お嬢様? どうされたんですか」


 ここは住宅街に近い、見た目は二階建てのアパート。お店を出したいけど予算的に無理だったり、いきなりお店を持つのは不安と言う人達のために、お試し感覚で使ってもらおうとアパートの一室一室を格安の値段で貸し出している。

 一階にある三室は孤児院に貸し出していて、一部屋は毛糸のセレクトショップ。毛糸と編みぐるみ、100均の編み機を使った商品が置かれている。

 去年、王弟殿下ご夫妻にお子様が生まれたので、そのお祝いに大きなウサギのぬいぐるみと小さなウサギのぬいぐる、そして木の飾り箱に入ったさまざまな編みぐるみを贈らせていただいた。この時、王妃様にもクマの大きなぬいぐるみと編みぐるみを献上させていただいたのだ。

 この時の編みぐるみと飾り箱は孤児院で作った物。私が3歳の誕生日にもらった物とよく似たやつ。だからきっと、明日は行列ができるかも。

 毛糸のセレクトショップは編みぐるみ作りが上手なフミラが担当だし、隣の木材を使った小物類はDIYが上手なパシオが担当。ここにはリブロが描いた絵も置いてある。

 その隣はお年寄り達が作った野菜が置かれていけど、販売は孤児院の年長さんがする予定。とりあえず皆に予約伝票を渡して説明し、明日はお年寄り達も一緒にお店に来てもらうに伝える。


「あっ、シェーヌ!」


 年長さん達と話していると、シェーヌがやってきた。シェーヌが持っている住宅街に近いお店と言うのが、このアパートの二階の一室。

 シェーヌが作った花のモチーフの髪飾りやロリエと一緒に作ったドレスの献上品があるから、シェーヌにも説明して予約伝票を渡しておく。そして、王妃様に献上した物の中には料理(クック)長が作った料理もあるから、お店にいっぱいお客さんがくるかも! とも言っておく。


 明日の “街びらき” は大変だよ、きっと。さて、皆に説明もしたし予約伝票も渡したからお母様の所に行こうっと。


「クーちゃん、コテージいこうか」


 はぁ〜、王妃様や王弟殿下ご夫妻に会うとか。前世一般庶民の私はドキドキだよ! 今日はお祖父様もお祖母様もお母様も、王妃様と王弟殿下ご夫妻のお相手で忙しいのだ。

 本当は私も一緒にって言われたけど、私じゃなきゃ対処できないこともあるかも知れないから、用事が終わったらコテージに行くことになっているの。

 あぁー、緊張する。クーちゃん、私を癒しておくれ。




一口メモ


エスペラント語 → 日本語


フミラ → 謙虚

パシオ → 情熱



次回更新は26日か27日が目標です。更新時間が遅れるかもしれません。

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