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異世界転生なのです、お姉さん!  作者: 乃平 悠鼓
第3章
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第5部 理想郷の産業《1》

 スタンピードから一ヶ月。新しい年を迎え、なんとなく皆の顔も明るくなってきましたよ。仮設住宅(ミニログハウス)がすべて完成し、領民全員がテント暮らしから仮設住宅(ミニログハウス)に移り住んだからかもしれません。

 仮設住宅(ミニログハウス)は正方形に近い形で、段ボールベッドを三つ並べてトイレとシンクだけの小さな流し台を置けば、あとは玄関スペースしかない大きさです。まぁ、一家に一枚はマジックバッグがあるし段ボールベッドは収納としても使えるから、こちらの世界の住宅としては十分な大きさ。

 仮設住宅(ミニログハウス)は災害時に再利用するから出来るだけ綺麗に使ってもらうようにしているし、家の中では靴を脱いでもらうことになっている。家の中の玄関スペースには小さな靴箱も置いているの。

 今残っているテントは、お風呂用の男女別のテントと食堂用のテントと教室として使うためのテントのみです。食事は全員分をテントで出しているからね、仮設住宅(ミニログハウス)ではお茶を飲むくらいしかしてないのよ皆。

 その他に、近くにコルポールティス商会さんが隣国から連れてきた料理人と大工見習いの人達が住む二階建てのプレハブと、国内から復興の仕事を求めてやってきた出稼ぎの人達が住む二階建てのプレハブもあるけどね。

 見た目は周りに合わせた茶色のプレハブなんだけど、中は誰も見たことがないカプセルホテルと言う不思議空間。でも、評判いいんですよコレ! 普通は空き家をあたえられて雑魚寝ですからね、雑魚寝!


 おっと、色々と考えていたら目的の場所についたみたいです。


「グレーノ、あみもののちぇんちぇいしてー!」


 私はパタパタと走りより使用人の部屋の扉の一つを開け、叫びましたとも!


「お嬢様、いったいどうなさったんですか」

「ちぇんちぇいなの!」


 グレーノは “また何をする気なんだろう?” 的な目で見てるけど、私は胸を張って “先生なの!” と叫ぶ。今月から私は、テントを使って職業訓練の一環として様々な教室を開くのだ。

 大人の男性陣は外に出て、畑や牧場を造る組と2×4(ツーバイフォー)でお家を建てて街を造る組に別れて働いているので、仮設住宅(ミニログハウス)に残っている子供達と女性達に教室に参加してもらう予定なの。もちろん、お休みの日に参加したい男性陣がいれば一緒に参加してもらう。

 午前中は子供達に勉強や折り紙、簡単なDIY,お絵かき、万華鏡作りなどを教え、午後は大人達に日替わりで料理、編み物、レジン、つまみ細工、水引、ロゼット、洋裁、石鹸、ローズウィンドウ作りなどを教える予定。あと、接客講座なんかも開きたい。

 一応子供と大人に分けてるけど、希望があればどちらにも参加できるようにしたいと思ってる。で、教えるには “ちぇんちぇい” じゃなかった、 “先生” が必要なの!

 この領地の主な産業になるものも多いから、仕事にするにしても自宅で趣味として作るにしても、基礎は大事! 基礎ができてれば、正社員でもバイトでも雇いやすいからね。

 でも、である。残念ながら、先生になって教えてくれる人が少ないのだ。まぁ、ほとんどあっちの世界から持ってきた物だからね。使える人は誰でも使うのです!

 全部できるのは私しかいないから、うちの使用人さん達や孤児院の子供達とお爺さんやお婆さん達、100均の商品に慣れ親しんでいる人達の中から先生役を引き受けてもらうのだ。


「で、俺がその編み機を使った編み物の先生になると」

「あい!」


 習う領民の人数も多いから、教える先生の方もけっこういるのよ。


「そう言うことなら、うちの母さんも編み機使えますよ。ね、母さん」

「ほんちょ!」


 私はぴょ〜んと跳んで、グレーノのお母さんコトノをキラキラした目で見た。コトノは “えっ、私ですか?” とびっくりした様子だったけど、“お嬢様にはお世話になっていますから” と引き受けてくれたよ。よかったよかった。

 勉強の方は、100均のドリルなんかを使って騎士団や錬金術の研究所の皆さんにお願いしている。街ができてたくさんのお店ができれば、すべてが役に立つからね!


 スィリーとサフォを後ろに引き連れて、“他に何かあったかなぁー” と考えながら歩いていると


「あっ、いたいた。お嬢様!」


 と声をかけられましたよ。振り返って見ると


「ソール」


 そこにいたのは料理長の息子さんのソール。料理長と言えば、隣国のコルポールティス商会の服飾担当で一緒に子供服やドレスを作った仲のシェーヌがいるけど、ソールはシェーヌのお兄さんなの。ソールも隣国のコルポールティス商会で料理を学んでいたらしいけど、二人共この領地の一大事に慌てて戻ってきたらしい。

 まぁ、ソールとしてはこの領地にはない料理を勉強したくて隣国に修行に出たわけだけど、なんと料理長の方が珍しい見たこともない料理を作っているという。なんと言っても、料理長が作っているのはほとんどあっちの世界の料理だからね!

 今ソールは、やる気満々であっちの世界の料理を学んでいるのだ。お料理教室では、ソールにも頑張ってもらうつもりなの。


「なにー」

「お嬢様、料理長とこんな物を作ってみたんですが、味見してもらえますか」


 “?” コテンと首を傾けながらソールを見つめると、ソールはウエストにつけたマジックバッグから()()を差し出した。


「ふぉぉ!!」


 現れた()()に、私の目は釘付け! ()()を見せられたまま “おいでおいで” って言われたら、思わずついて行っちゃうかも知れない!


「見た目はどうですか」

「かんぺきなの!」


 思わずクンクン。懐かしい匂い〜。


「どうぞ。熱いから気をつけて下さいね」

「あい!」


 あつあつの()()を手に乗せてもらい、私はフウフウしてから “アム” っと一口。あぁー、美味しい〜!! 私は、その場で足をパタパタしたよ!


「おいちぃー!! しあわせのあじなの!!」

 

 私の両手に乗るサイズの白くふかふかな()()。つぶ餡の甘味が、幸せな気持ちにしてくれます〜。


 寒さがまし、もう少ししたら雪が降るかもと思うと “あっちゃかいアンマンがたべたいの” 食堂のテントで、思わずそう呟いていた。それをたまたま聞いていたソールが


「アンマンって何ですか?」


 って聞いてきて


「あっちゃかくて、ふわふわ、あまあまなの!」


 って、ソールが聞いても訳のわからないことを言ったんだけど、料理長に聞いて教えてもらったみたい。料理長のお家にはあっちの世界の料理本やパソコンからダウンロードしたレシピがいっぱいあるからね。


 料理長はいつも季節ごとの料理を作ってくれるから、アンマンや肉まんも機会があれば作ってみようと思ってたみたいで、今日作ってくれたらしいの。


「お嬢様のOKがもらえたら、明日のお昼に皆さんにお出ししますね。こっちも食べてみて下さい」

「にくまん!」


 はい、アンマンも肉まんも大変美味しゅうございました!! 明日のお昼はアンマンと肉まんに決定です!


「お嬢様、また何か珍しいことをしてるんですか」


 そう言って近づいてきたのは、フィーロさんじゃないですか。フィーロさん、私がいつも珍しいことをしてると思ったら大間違いですよ? 私はいつも、そんな変わったことはしてませんからね!


「ソール、アンマンとにくまんまだある?」

「はい、ありますよ」

「にこじゅちゅください。フィーロさん、おいしいものあげましゅ!」


 私はそう言って、フィーロさんをニッコリしながら見た。コルポールティス商会さんには色々お世話になってますからね。スタンピード後こちらに来てからずっとここで復興計画を助けてもらってますし。

 フィーディーさんはお祖父様達と一緒に一時隣国に帰っていたけど、その時まとめてきてくれた投資の額といったらそれは大きな金額で。フィーディーさんが窓口となって色々取りまとめてきてくれたらしいです。

 もうね、私はコルポールティス商会さんにお店を一軒用意して、そこを通して隣国に商品を売ったらどうかと思うの。街が出来上がる前に、フィーディーさんと話し合いだね。


「あい! どーじょ」

「これが、美味しいものですか?」


 私が差し出したアンマンと肉まんを見て、フィーロさんが首を傾けていますよ。まぁ、見た目には特徴はない食べ物ですけど、美味しいんですってば! そのふわふわな触感と具材の美味しさをご賞味あれ。

 “えへん!” と胸を張る見送られつつ、フィーロさんはアンマンと肉まんをもらってフィーディーさんの所に行ったよ。ふっふふ、お世話になっているコルポールティス商会さんにささやかなプレゼントですよ。

 何気に、今日もいい仕事してるね、私!

次回投稿は10日か11日が目標です。投稿時間が遅れるかもしれません。

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