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異世界転生なのです、お姉さん!  作者: 乃平 悠鼓
第3章
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第1部 理想郷のスタンピード《2》

 徹夜、したにょ……。3歳児、頑張った……にょ。


「ふりゃ、ふりゃ……」


 スタンピードが起こる時には、三週間前からダンジョンがある地で予兆が発生するらしい。だが、ダンジョンマスタークラスになると、近くにあるダンジョンの崩壊のわずかな兆し、魔素の揺らぎがもっと前からわかるらしい。

 ダンジョンマスターが言った、崩壊・壊滅・対価の言葉がぐるぐる頭の中を回り、パソコンを見る自分からは変なアドレナリンが分泌され、ハイテンションで作業できてしまったよ! まだ3歳なのに!

 一番は、これがお屋敷や領民を救う、唯一の行動だと思ったからかも知れないけど。


「お嬢様、大丈夫ですか?」


 後ろから、フラフラ歩く私にキャメリアが声をかけてくるけど、もう内容もわからないの。


「グルナ、大丈夫か!」


 お屋敷に入ったとたん、バッタリ会ったお祖父様が、びっくりした様子で駆け寄ってきた! ような…気がする……。


「おちぃ…しゃま……。こえ…、たんじょん…まちゅたーに……」


 手に持っていた100均のファイルを、お祖父様に差し出す。前世の私が会社に提出するプレゼンの資料並に分厚いそれは、徹夜で作り上げたもの。

 だけどね、差し出しながら眠くて倒れちゃったよ。近くでお祖父様やキャメリアが騒ぐ声がするけど、とりあえず気にしないー。おやすみなさい……、ぐぅー。









 ふかふかなお布団の上で、温かいぬくもりに囲まれて “ふみゅふみゅ” と寝言を呟いて、ふと意識が覚醒して、飛び起きました!


「いま、にゃんじー!!」


 辺りを見回せば、自分の部屋の自分のベッドの上。私の両横に陣取ったスィリーとサフォが、不思議そうに首を傾けいた。って言うか、首あるの?

 いやいやそれよりも、全部夢だったってことはないよね!っと、枕元に置いてあったポシェットの中をチェーック!


「あっちゃ……」


 あったよ、もう一つ作っておいたプレゼンの資料。


「ゆめじゃ…にゃい……」


 ぜんーぶ、夢ならよかったのに。“よいちょ” とベッドから降りて、とぼとぼ歩いて食堂へ。


「おにゃか、ちゅいたの」


 食堂に入ると、朝御飯中だったらしく


「グルナ!」

「まぁグルナ、大丈夫なの!」


 と、お祖父様やお母様、お祖母様が駆け寄ってきた。丸一日中、ずっーと眠っていたらしい。

 おにゃか、いや、お腹すいたにょ。違った、お腹すいたの。朝御飯、食べたいにょ。ポンコツ感が漂っているけど、気にしないー。

 料理(クック)長が作ってくれた柔らかいロールパンとコーンスープ、サラダをパクパクと食べて、ご満悦です♪


「おいちかったでしゅ!!」


 満面の笑みで、復活しましたとも! さぁー、ダンジョン行こー!!




「きたよー!」


 ダンジョンの扉を開け、元気に手を上げて挨拶すれば、バスケットボールと同じくらいの大きさのハリネズミのダンジョンマスターが、ちょっと呆れたような表情でこっちを見た。


「グルナ。気持ちはわかるが、3歳児の徹夜はダメだ」

「あい」


 スミマセン、と頭を下げつつ中に入れば、天使達が “いらっしゃ〜い♪” と出迎えてくれる。いつものようにソファーに座ったところで


「この、プレゼンの資料のようなファイルは、全部読ませてもらった」

「おぉー」

「で、グルナは水堀を作りたいのか」


 と、ダンジョンマスターは言った。


「あい」

「考えとしては悪くない。だが、予算も時間もないだろう。小型のショベルカーじゃ、一日で掘れる大きさなんてたかが知れてる。本気で防衛を考えるなら、城のお堀程度の幅と深さが必要だ。いや、それでも不安なくらいだ」


 そーなんですよ、ダンジョンマスター! 私は、両手を合わせ祈るようにダンジョンマスターを見た。それはそれは、キラキラした期待に満ちた瞳で!

 ダンジョンマスターは、ハァ〜と息を吐き出すと


「わかった。チートの大盤振る舞い、してやるよ」


 と、言った。“わぁ〜い♪ やった〜!!” と大喜びして、私がそこらを駆け回ったのは言うまでもない。


「だが、それでもあっちの世界の物だ。せいぜい小型のショベルカーが中型になるくらいだし、数も三台が限界だ。それに、一台は必ず本物のショベルカーがいる。準備、できるか?」

「おねえしゃんに、メーユで、きいてみゆ」


 そう、そこなの。これはもう、お姉さんにメールで相談してみるしかないの! だって、ショベルカー高いんだもん。

 少しでも安く手に入れようと思うと、中古しかないんだけど、取りに行かないといけないの。


「水堀を作っても、そこを突破してきた魔物には、ウォータースクリーンを使うことで屋敷を守るんだな。うまく屋敷全体を、ウォータースクリーンで囲えるといいが」

「あい。やにぇにも、ちゅぷりんくりゃー、つけゆの」


 魔石が埋まった大河の水で魔物が消え去るなら、横に山ほど大河の水があるんだから、それを作ったお堀に流したり、屋敷を守るウォータースクリーンやスプリンクラーに使えばいいんじゃないかな、と思った。

 大河の水だから、ただで使いたい放題だよ!


「問題は、業者をあっちの世界から呼ぶことはできないから、本格的な物は手に入らない。あくまでも、ウォータースクリーンに使えそうな物を買ってきて、こっちで作るしかない」


 そうなんですよ、そこはもうマージェさんをはじめとする、錬金術の箱の研究所の皆さんに頑張ってもらうしかないと思うんです。


「あとは、ミニログハウスにしたのか。すべて終わって瓦礫(がれき)の山になれば、仮設住宅が必要だからな。段ボールベッドに、テントもだったか」


 災害後には、仮設住宅が絶対必要になる。本当はプレハブ小屋を買おうと思ったんだけど、プレハブがけっこう高い。

 値段がかわらないんだったら、見た目ミニログハウスの方が、この世界の風景にはあうからね。


「とにかく、明後日主なやつらを集めて計画をねる。その時にこの資料を採用するかどうかは、ショベルカーを手に入れられるかどうかにかかってるぞ」

「あい。おねえしゃんのおうち、いってきまちゅ」


 私は “よいちょ” とソファーを降りると、さっそくお姉さんのお家に向かった。




 お姉さんには、今の状況を包み隠さず書いてメールを送った。午前中にメールを送っていたからか、午後には返事がきて電話までかけてきてくれたの。お姉さんがいる所とは、時差が数時間しかないからね。

 すぐにショベルカーを買うようにと連絡が入り、お姉さんの知り合いの人がショベルカーを取りに行ってくれることになった。三日後の夕方には、お姉さんのお家の玄関前、駐車スペースに置いて行ってくれるらしい。


 私は今日もお姉さんのお家にお泊まりして、パソコンとにらめっこ。

 ダンジョンマスターから頼まれた資料と、ミニログハウスやその他必要な物を購入なの。お姉さんが用意してくれた宅配ボックスが、威力を発揮するのですよ。

 ミニログハウスの材料は、お姉さんのお家の駐車スペースに置いて行ってもらう。その後、ショベルカーもミニログハウスも、お祖父様のマジックバッグに入れて向こうに持って行くんだ。

 昨日同様、ぺルルが夕方を持ってきてくれたけど、お屋敷の方はけっこうバタバタしているみたい。

 昨日お祖父様がファターロと、コーメンツからファターロに行く間にある村々にスタンピード発生の手紙を送ったらしく、近くの村からはすでに問い合わせがきているようなの。いずれ、ファターロからもくるだろう。


「お嬢様、今日はちゃんと寝ましょうね。お布団の用意をいたしますから」

「あい!」


 またバッタリ倒れたら、皆に迷惑をかけるからね! 私も倒れるより、しっかり仕事したいから大丈夫!! 皆を守るぞー! おー!!

次回投稿は27日か28日が目標です。

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