表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生なのです、お姉さん!  作者: 乃平 悠鼓
第2章
41/63

第6部 理想郷のお別れ《2》

 今日も元気に朝の日課、お散歩をしていますよ!

 メンバーはいつものごとく、私とプチスライムのスィリーと子羊のサフォとマイポニーのクーちゃんです♪

 朝の点呼を終え、整列してお散歩していると、


「お嬢様、おはようございます。お散歩ですかな」


 と、庭師のシィリンゴが声をかけてくれました。


「あい! おはよーごじゃいましゅ!」


 と元気に返事をして近寄れば、シィリンゴと従僕(フットマン)のグレーノが、大きなカボチャを収穫していました。


「おっきな、かぼちゃー♪」

「お嬢様が持ってきて下さった肥料のおかげで、立派なカボチャが育ちました」

「本当に、今年のカボチャは大きくて美味しそうですね」


 ふむふむ、さすがはあちらの世界、日本の肥料! こちらの世界でも、いい仕事をしてくれていますよ。素晴らしいー!

 庭の奥の畑は、もっぱら庭師のシィリンゴの仕事だけど、人手がたりない時は農家出身のグレーノがよく手伝いをしています。きっと美味しいカボチャの煮物やコロッケができるなぁーと、一人ニマニマしていると


「もっと、ここで仕事がしたかったな」


 と、グレーノがぽっりと呟いた。


「う?」


 と、私が首を傾けると


「旦那様と奥様には昨日話をさせていただきましたが、お嬢様にはまだでしたね。実は俺、ここを辞めて家に帰ることになったんです。帰って、親父のあとをついで農家になります」


 と、どこか寂しげに言った。


「にゃ、にゃんでー!!」


 グレーノと言えば、このお屋敷にきた時の子供部屋の家具の配置から、夏場のファミリープールやユニコーンの浮き輪の空気入まで、ほとんどの力仕事は私についてやってくれていたのだ。

 詳しくは知らないけど、ここから西の方にある小さな村の農家の三男坊で、この仕事につけたのは夢みたいな幸運だったって言ってたよって、聞いたことがある。


 この世界は、基本土地も建物もすべてが領主の持ち物で、平民が耕す畑や家や工場などは、全部領主からの借り物。畑や家や工場などは、すべて毎月お金を払って借りている状態。前世の日本のように、自分の土地とか持ち家はありえない。

 この世界では(いくさ)や自然災害も多く、何かが起こって家や工場が壊れたりしたら、ほぼ貯蓄がない平民には再建は不可能。

 だから、領主が土地や建物を貸す。平民はお金を出して土地や建物を借りて働く。そして戦など戦火が迫れば、身を守るために家や畑はそのままに、自らの財産である家財道具だけを持って逃げるのだ。

 領主は、平民がいなければ収入が減るので、それなりの家や工場、畑や農機具を用意して領民を集めなければならない。

 平民は働かなくては領主に家賃を払えないので、年をとるとその子供が働いて領主に家賃を払う。だが、家はそう広くはないので、子供は成人したら長男か長女以外は家を出て、自分の力で生きていかなければならないのだ。


 グレーノの実家は、確か野菜農家。領主から家と畑を借りて暮らしている。長男が両親と一緒に暮らしていて、グレーノはこのコーメンツ伯領で骨を(うず)めると言っていた。

 貴族の屋敷で働くと言うことは、長時間労働の低賃金ではあるけれど、三食食べられて寝床もある上に、定年までしっかり働けば、老後に住む家と年金を与えられ、老後はとりあえず安泰。

 だが、農家は違う。毎年必ず、必要量の収穫があるとも限らない。不安定な生活だ。

 貴族の屋敷で働けると言うことは、本当ににすごく幸運なことになるのだ。


「上の兄二人が戦死して、それでも伯爵様のお屋敷で働けるなんて普通はないことだからと、両親はここで働くように言ってくれたのですが、親父が身体を壊して働けなくなって、このままでは領主様に納めるお金を用意できないんです。だから、家に帰って働かないと」


 何度も言うけど、お屋敷の使用人のお給料は安い! 実家に仕送りできる金額など、あろうはずがない。

 グレーノは、自分のことだけを考えるなら、夢のような幸運な職場から、不安定な職場に変わらなければいけないのだ。


「いちゅ、かえゆ」

「来月のはじめには……」


 これは、出来る限りのことをしてあげないと!

 グレーノは働き者で、従僕の仕事も畑仕事も本当によく動いて働いていた。私の突拍子もない行動にも、笑顔でついてきてくれた。私つきの従僕、と言っても過言じゃない!

 世知辛この世界だけど、このお屋敷で働けて良かったと思えるように、私に出来ることをしようじゃないか!


「ちゅぃりー、ちゃふぉ、クーちゃん、きょーのおしゃんぽは、おわりでしゅ! かえりましゅよー」


 私はクーちゃんを放牧地に戻しお屋敷に戻ると、ぺルルを連れてお姉さんのお家にお邪魔した。









 今月の、あちらの世界のお店に行く日がやってきました! 今日は、お祖父様とお祖母様、キャメリアが一緒です。

 いつものように、まずは100均から。今日はグレーノに持たせる品物を買いにきました。できる物は向こうの錬金術の研究所でも作っているけどまだまだだし、100均で買った方が今は安いからね!

 グレーノは今、両親のためにお屋敷のレジンなんかを使いたい放題にしている部屋に置いてある、100均の編み機でネックウォーマーを作っている。けっこう上手に作っているから、これから冬に向けて色々作れるように、何種類かの編み機と毛糸を渡すつもり。

 アームウォーマーやニット帽もあれば、冬の畑仕事の助けにもなると思うし。あと、ハンドクリームやボディークリーム、ご両親には老眼鏡も必要だろう。

 他に、靴下やタオルなんかと一緒に、野菜作りに使える肥料も買っておく。一人の使用人だけにお金をかけるわけにもいかないから、できるだけ100均で揃えるの。

 その後、皆でファミレスでお昼を食べて、次に行ったホームセンターではお祖父様が農機具をいくつか購入し、最後にスーパーへ。私はお姉さんと一緒に、スーパーの中に入っているドラッグストアーへ行く。


「口コミを見た感じだと、これかな」


 お姉さんが見せてくれたのは、グレーノの話を聞いたあと、お姉さんのお家にお邪魔して調べてもらった薬。


「あと、ちっぷ!」


 グレーノのお父さんは腰を悪くしているようだから、飲み薬と一緒に湿布もいくつか買っておく。他に風邪薬と栄養ドリンクも買っておこうかな。

 こちらの世界と違って、向こうの世界は風邪一つで命を落とすこともあるくらいだ、薬は必要。疲れた時の栄養ドリンクもね。

 グレーノのお父さんが少しでも良くなって、家族で協力しあって暮らしていけるといいけど。


「グルナ、買えたかい」

「あい!」

「私達では、こちらの商品はわからないものね」


 お祖父様とお祖母様も、グレーノにできるだけ品物を持って帰らせるつもりだったらしく、お姉さんの車の中で話し合って買う物を決めてましたよ!

 こちらの商品はわからないと言いながらも、ショッピングカートの中にはお祖父様とお祖母様が選んだ商品がいっぱい。お姉さんに何度か連れてきてもらううちに、皆それぞれお気に入りの商品や、次に来たら買ってみたいと思う商品があって、迷いなくカートに入れています。


「おかち!」


 グレーノのお買い物は終わったので、私もお菓子が欲しいです! さっそく皆を連れて、お菓子コーナーに行くのですよ!

 子供用の手提げカゴを持って、ルンルンで歩いて行きますとも! お菓子を買ってパンコーナーで菓子パンを買って、他にプリンなんかもカゴに入れて、ご満悦です!


 うん、今日もいい買い物をしたよ私!

一口メモ


エスペラント語 → 日本語


グレーノ → 穀物



次回投稿は15日か16日が目標です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ