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異世界転生なのです、お姉さん!  作者: 乃平 悠鼓
第2章
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第1部 理想郷のダンジョン《2》

『おねーえしゃーん、たんじょん、いこー♪』


 今日も元気いっぱいに、向こうにあるお姉さんの家の玄関を開けましたとも!

 私が現代風の服を着て、向こうの世界を歩き回っても、たぶん問題はない。外国から旅行中の子供かしら? くらいにしか思われないだろう。

 でも私とは反対に、お姉さんがこちらの世界を歩き回るのはけっこう大変。まず、黒髪黒目の人がいない。かりに他国からの旅行者だとごまかすにしても、他国からの一人旅がまずありえない。

 お屋敷にお姉さんを招待したいと思っても、お姉さん一人だととても不自然で、使用人達が怪しむだろう。こちらの言葉が喋れれば何とかごまかせるかも知れないけど……。

 と言うことで、私は向こうの世界のお店なんかに連れて行ってもらってるけど、お姉さんはこちら世界を出歩けてない。

 こちらの世界にきて、納屋の近くから大河を挟んで向こうにある隣国を(なが)めたり、こっそり(うまや)に行ってお馬さん達を撫でたり、向こうの世界のことを知っている料理(クック)長のお家を見せてもらったりしただけ。

 そんな中、どこかにいこー♪と、まるで近所にお散歩いこー♪くらいの感じで言った私の言葉に、近くのスーパーにいこー♪くらいに言われたと思ったのか、お姉さんはすぐに


『いいわよー』


 と言った。そして私の詳しい話を聞いて


『えぇー! ()()()()()ーーー!!』


 と叫んだ。

 お祖父様の話によると、向こうの世界で何をするにしても、向こうの世界のお金が必要になる。しかも、向こうで買ってきた物も、こちらの世界の物でうまく作れていない。それを、なぜかダンジョンマスターに相談したらしいお祖父様。

 なんでダンジョンマスター? って言うか、聞きました皆さん! この世界、ダンジョンマスターがいるんですよ! ダンジョンマスターが!

 大事なことなので二度言いました! もう、びっくりです。

 で、そのダンジョンマスターが相談にのるから、向こうの世界の人も一緒に連れてこいと言ったらしい。

 と言うことで、お祖父様と私とお姉さんで、ダンジョンに入ると言うか、お屋敷からダンジョンにつながる秘密の通路を通って、ダンジョンの一番奥にあるダンジョンマスターのお部屋に行くことになったのです。








『どうして、指紋認証(しもんにんしょう)?』


 お姉さんの言葉に、私も?と、首を傾ける。

 お姉さんを連れて物置に入ってから納屋を出ると、使用人達に見つからないようにトルキーソに先導してもらい、お屋敷の裏口のようなところから階段をおりて地下へ。

 そこで待っていたお祖父様と合流したんだけど、目の前の扉は現代風の指紋認証で開く扉だった。なんで?

 お祖父様の指紋認証のあと、ガチャン!と鍵が開く音がして、扉が少し開いた。

 お祖父様がその扉を開けると、見るからに

 “核シェルターなのか!” って言うくらい、分厚い扉だった。

 そこからは、お祖父様を先頭に私とお姉さんが手を繋いで、三人で地下の道を進みましたよ!

 地下はコンクリートで固められ、トンネルみたい。しかも、道の両端の壁には一定の間隔をおいて、北欧スタイルの四角いアンティーク調の壁照明が……って、ここどこよ。

 お屋敷の地下の扉からこっちが、向こうの世界っぽいんですけど!


『ねぇ、グーちゃん。なんだかここ、向こうの世界に近いような気がするんだけど』

『あい。むこーの、あんちぃーく、みちゃい』


 お姉さんとボソボソと呟きあいながら、長い長い道を進みます。どれくらい進んだのか、またしても扉が。しかも


虹彩認証(こうさいにんしょう)


 今度は虹彩認証ですよ! アイリス認証とも言われる生体認証の一種です。

 いやいや、ここ作ったの向こうの世界の人でしょ、きっと。 “ポン” と音がして、扉が開きました。


「ダンジョンマスター、アンブルです」


 そう言って、お祖父様は扉を開けて中に足を踏み入れた。私とお姉さんも、お互いの顔を見やってからそーと中に入る。すると


「よっ、よくきたなアンブル」


 と声がした。私とお姉さんは、意を決してダンジョンマスターを見た。

 そう、見た。まぁ、みたよ……ミ…タ…。


『ハ、ハリネズミーーー!!』

『はりねじゅみーーー!!』


『ハリネズミじゃねぇーーー!!』


『日本語!!』

『にほんごー!!』


 そう、そこにいたのは、バスケットボールくらいの大きさの()()()()()だった。


 中央に大きなハリネズミがいて、その後ろに魔物達が控えていたよ。


『やっぱり、思ったとおり日本人だったか。この領地が異世界の、それも日本に繋がっていたとはな』

『はりねじゅみ、しゃんは、にほん、しってゆ』


 私はお祖父様の足元に近寄って、その後ろからそーと様子をうかがうように顔を出して聞いてみた。すると


『俺は、グルナと同じ転生者だ。こんな格好だけどな』


 と言った。

 ハリネズミさん、もとい、ダンジョンマスターさんの前世は日本人。でも、聞いた話だと、日本は日本でも、私のいた日本とも、お姉さんのいる日本とも少し違う。どうも平行世界の日本は、いくつかあるみたい。だいたいの時間軸は同じなんだけど、微妙に歴史上の人物の名前が違うんだよね。

 ダンジョンマスターさんは、前世で28歳の時に飛行機事故で亡くなったらしい。そして気がついたら、地下深くにダンジョンの核として存在していたらしいの。そしてびっくりなのがダンジョンマスターさん、この世界に転生してからすでに310年なんだって。

 ダンジョンの核はだいたい700年くらいの寿命らしいから、御年(おんとし) 310歳のダンジョンマスターは、まだまだ小童(こわっぱ)らしい。


『たんじょん、まちゅたー、おにゃまえは』

『あっ?』

『私、御木本(みきもと)瑠璃(るり)って言います。ダンジョンマスターさんお名前は』

『あぁ、名前か。ダンジョンの核に名前なんかない、好きに呼んでくれ』

『ぐうな、でしゅ。よろちく、おねがい、しましゅ』


 ペコリと頭を下げた私に


『ん、よろしくな。やっぱチビッ子は可愛いな』


 と、うんうん一人頷くハリネズミ姿のダンジョンマスター。子供好きらしい。

 その後、ダンジョンマスターを囲んで話し合い。その前に、ダンジョンマスターが


『瑠璃、でいいか。年下だしな。コレつけとけ、こっちの世界の言葉がわかるようになる。瑠璃の言葉は、こっちの世界の人間にはこっちの言葉に聞こえるし、こっち世界の言葉は、瑠璃には日本語に聞こえるようになる』


 とお姉さんに、ピンク色を放ち火炎模様まで見えそうな美しいコンクパールを、涙の雫(ティアドロップ)型にしたようなペンダントを差し出した。ハリネズミの、その小さな手で。

 “ふぉぉぉ! なに、それー!” コンクパールの高級度合いもさることながら、その不思議アイテムの出現に、私は両手をパタパタさせてお姉さんを見つめた。

 さっそく受け取ったペンダントを身につけたお姉さんに


「おねえしゃん、わかゆ」


 とこちらの言葉で呟けば


「グーちゃん、今の日本語?」


 ふぉ! お姉さんの声がこっち言葉できこえるー! すごーい♪


「にほんご、ない」

「私の言葉がわかるかい」


 お祖父様の言葉を聞いて、お姉さんは初めて自覚したようで


「チートだわ」


 と驚いたように、その目をぱちくりとさせ言った。


「しゅごい」


 すごいよ! 本当にすごいよダンジョンマスター! 尊敬の眼差しで見ちゃう、ハリネズミだけど。私がキラキラした瞳で見つめていることに気づいたらしいダンジョンマスターは


「いいか、グルナ、瑠璃。この世界のすべてのチートは、ここダンジョンにある。どんな物でも俺が考え望めば、ダンジョンのドロップ品やボス部屋の宝箱として、この世界にあった形で手に入れることができるかも知れない。だがそれには、正確さが求められる。向こうの世界の物を利用するにしても、俺は長くこっちにいすぎた。正確には思い出せないこともある。だから、瑠璃に来てもらった。俺とグルナと瑠璃、三人がいればなんとかなることもあるかも知れない」


 と言った。おぉー、なんかすごく前進したような気がする。じゃこれから皆で作戦会議ですね! 会議終わったら、後ろの魔物さん達も紹介して下さいね。

次回投稿は18日か19日が目標です。

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