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9話 おかえり

「ネコおかえり!!」


 私が元の世界に帰ると、まっ先に飛びついてきたのはリリだった。

 魔法陣の上のようなものに乗った状態で私たちは戻ってきたのだ。

 身体はもちろんイケメン男性姿の猫まっしぐらの姿である。


 うん。たった3ヶ月なのに物凄く懐かしい!

 っていうか、よく考えたらこの世界にいたのだって実質2ヶ月くらいだったし。

 異世界にいた時間より長くいたのだからそりゃ長くも感じるわ。

 

「リリ、元気にしてたか?」


 私が問えばリリはにっこり笑って


「ネコ、日本の方がよくなって戻ってこないんじゃないかって心配した!

 戻ってきてよかった!」


 と、スリスリしてくる。

 いや、やっぱりリリちゃんマジ天使。可愛すぎる。


 そのほか守護天使達も私を心配していてくれていたみたいで、部屋でまっていてくれた。

 sionとカンナちゃんは元の世界に帰る前に調べる事があるとかで、魔王が連行していたらしい。

 にしても、私がいなかった時間はこっちの日数でいくとたった1日しかたってないとのことなのだ。

 やべぇ、感動してるの私だけなのかもしれない。


 レイスリーネは大歓迎してくれたが、アルファーとファルティナはおかえりなさいくらいの感覚なのでちょっと離れていた程度の感覚なのだろう。

 ミカエルはまだカンナちゃんの護衛命令が続行中なのでカンナちゃんと一緒らしい。


 一通りおかえりの挨拶と会話をかわしたあと、コロネが手土産を渡すとリリは美味しそうにそれを食べ始める。

 うん、まっ先にお菓子を食べ始めるところが流石リリちゃん。

 可愛いお洋服とか、好きな漫画のおもちゃも大分喜んでくれた。


 そんな中、立ち去ろうとする魔王に私は話しかけた。


「に、しても大分急いでいたみたいだけど、何かあったのか?」


 と、尋ねれば


「ああ、あの次元は本来お前のいるべき次元ではないのだ。

 たまたまあの次元の楓は異世界に転移した次元だったからよかったものの。

 神というのはどうしてああもいい加減なのだ」

 

 と、魔王がいまいましげに舌打ちする。


「何か問題でもあるのか?」


 私が聞けば、魔王は大きくため息をついて


「あるに決まっているだろう。

 下手をすればお前が同時に地球に二人存在していたのだぞ?

 私の力で歴史の改変はある程度は修正できるが、さすがに同じ場所に二人存在している状態は修正できぬ。

 同じ世界の同じ場所に存在してしまえば、お互い干渉しあって消滅する。



 ……あの次元ではお前はこちらの世界で死んでいた。

 その為存在しなかったからよかったものを……」


「……は?」


「歴史は数え切れない数の未来と過去が存在しているのだ。

 その中にはお前が命を落としたがクリファを倒し、そして平和になった時代もある。

 先ほどワープしてしまったのがその過去だ。


 場合によっては……こちらに召喚される事なく、あのままお前の親族に強盗目的で部屋押しいられ殺されてしまった過去も存在する」


 魔王の言葉に私は息を呑んだ。

 いや、やべぇ。私もろやばかったんじゃん。

 宝くじ当てると不幸になるってこういうことなのね。マジで。

 そして許せん。てか、あいつら人殺しまでやちゃうような奴らなのか。

 魔王が関わるなって言った意味がやっとわかった。



「とにかく、sionやカンナを戻すにしてもきちんと準備をしておかねばならぬ。

 二人を待たせてしまっている。これで失礼する」


 言って、去ろうとする、魔王を私は止めた。


「……なんだ?」


「コロネにシステムが切れてる事はまだ言ってないよな?」


「ああ、だがそれがどうした?」


「うん。できれば秘密の方向で」


 私の言葉に魔王が眉根を寄せた。


「構わぬが……理由は?」


「勝てないから」


「……は?」


「あいつシステムないと強すぎるんだよ!勝てないんだよ!」


「……一体何の話だ?」


「とにかく秘密の方向で」


 私が力強く言えば、魔王ははぁっと大きくため息をつき


「分からぬが、わかった。理由を聞く気にもならん」


 と、すたすたと行ってしまう。

 うん、本当魔王は詮索しないから助かるよ。ってか興味がないだけかもしれないけど。


 さーって。状況は整えた。

 あとは……。


 私はお土産をあけて喜んでいるリリをニコニコ眺めているコロネを見てにやりと笑う。


 男の姿に戻ったし、リベンジのはじまりだ!



 ::::::::


「待たせたな」


 管のようなものにつながれた状態で、スヤスヤと寝ているカンナと暇そうに本を読んでいるsionに魔王は声をかけた。

 その下ではミカエルも丸くなりながら昼寝をしている。


「猫さん帰ってきましたか?」


 sionが心配そうに聞くと、魔王は短くああと答え、sionを見る。


「一つ聞きたい」


「はい?なんですか?」


「お前たちの世界では、夫婦になるのにどちらが主導権を握るかはそれほど重要な事なのか?」


 魔王に問われ、sionは、考え込む。


「いえ、特にそこまでこだわる事はないと思いますけど。

 いや、気にする人は気にするのかな?

 人それぞれとしかいいようがないです」


「……そうか」

 

 魔王はそう言って作業に戻る。

 好きあっているのならとっととくっつけばいいと思うのはこちらの世界の考え方なのだろうか。

 なぜああも、張り合うのか意味がわからん。と魔王はため息をつくのだった。



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