7話 雪
店から出ると、外は雪が降っていた。
通りで寒いと思った。吐く息も真っ白だ。それにしても雪とか何だこのお約束の展開!?
やばいコロネがまた図にのったらどうしよう!?
と、私がコロネを見やれば、コロネは物凄く珍しそうに雪を見ていた。
「あれ、コロネってもしかして雪初体験?」
私が聞けば、コロネははっとして
「ああ、そうですね。すみません。こちらの世界では雪は降りませんから」
と、微笑んだ。
「ってそうだっけ?ゲーム中では降っていたような気がするんだけど。
クリスマスイベントとか普通にあったし」
「ああ、そうなのでしょうか?ではゲーム化から解放されると同時に雪が降らなくなったのでしょうか?
あとで魔王に聞いてみます」
と、にっこり微笑む。
「それじゃあ、そろそろ家に戻ろうかな。寒くなってきたし」
私が言うとコロネが微笑んで
「では、お送りしますよ」
と、私に手を差し出す。
まさか、手をつなげとな!?
いやいやいや。恥ずかしすぎて無理なんですけど!?
私が固まっているとコロネがそれに気づいたのか、おかしそうに微笑むと、私の手から荷物をそっと取り上げる。
あああああああああ。荷物をもってくれると言うことだったのかぁぁぁ。
やばい勘違いまじ恥ずかしいんですけど!?
私が赤くなっていると
「女性の猫様は表情が本当に可愛らしいですね」
と、笑われる。
うーくそー。勝てない。まさかのコロネに勝てない。
私が項垂れていると
「あれー。楓ちゃんじゃん!ってもしかして隣って彼氏?」
と、突然声をかけられる。そちらに振り返れば……見知らぬカップルが立っていた。
「えっと、久しぶり?」
と、和かな笑顔で返してみたが、やばい。マジで誰か思い出せない。
金髪のわりとチャラチャラした格好の女性は私たちをジロジロ見たあと
「楓ちゃんの彼氏?」
と、聞かれる。私は慌てて否定しようとしたが
「はい。楓がお世話になっています」
と、先にコロネがにこやかに肯定してしまった。うぉい!何言ってるし!
ジロリと睨めば、コロネは涼しい顔でこちらに微笑み返す。
「楓ちゃんすごい!こんなカッコイイ彼氏がいるなんて!紹介してよ!」
と、女性。いや、てか女性の隣では恐らく彼氏なのだろう……男の人が物凄く微妙な顔をしている。
てか、彼氏のいる隣でそういう話はよくないと思うのですが……。
私の仲のよかった友達にこんな無神経な人はいない。きっと同じ学校の別クラスだったとかいうくらいの関係の人なのだろう。
ああ、もう本当なんだか異世界生活が馴染んでしまったせいか、こういう日本のリアルのやりとりが物凄くうっとおしく感じる。
まぁ、引きこもり生活が長かったせいもあるけど。
「ねぇねぇ、久しぶりに会ったんだし、一緒に食事とかどう?」
とか、明らかに視線をコロネに誘ってくるが、
「申し訳ありません。これから予定がありますので」
と、コロネがばっさりシャットアウトし、私の肩を抱き寄せる。
明らかに女性の方はむっとするが、コロネはニコニコ顔で私を見て
「さぁ、行きましょうか」
と、微笑んだ。
ちくしょう、なんだよ。やることがイチイチイケメンすぎて、逆にムカツク!!
絶対見返してやる!!絶対照れさせてやる!!絶対勝ってやるぅぅぅ!!
△▲△
はい。絶対勝ってやるとか思っていた時期もありました。
……が、倍になってかえってくるカウンター攻撃が怖くて、結局手出しはできず、大人しく家まで送られる羽目に。
どうせ、ヘタレだよ。何もできないよ。
くっそー、身体が男だったときなら手出しされる心配がなかったから、強気にでれたけど!!
身体が女だとどうしても自衛本能が働いてしまう。
や、コロネが無理に手をだしてくるなんてこれっぽっちも思ってないけどさ。
コロネと二人で家の前につくと、コロネが懐中時計で時間を確認するので
「誰かと待ち合わせしてるの?」と尋ねれば
「はい。魔王がくるのが21時頃と聞いていいます」
「てか、くる日が同じなら何もコロネが先に来る事もなかったんじゃないの?」
私がちょっとふてくされていう。
本当だよ。なんだよ。この負けっぱなし状態。
恥ずかしくて悶え死ぬところだったんだけど。
「本当はもう少しはやく到着するはずだったのですが……
本来なら、12月24日は12時〜16時前には絶対に家に近づかないように言われていました。
こちらに到着したのがその指定された日だったので焦りましたが」
「は!?なにそれ!?
何故そんな大事な事黙っていたし!?」
「既に猫様とお会いしたのが12時すぎでしたから……
猫様にお話すれば、絶対家に帰ると駄々をこねると思いましたので」
くそー。よくわかっていらしゃる。てかもう丁度21時じゃないか。
コロネとブラブラしすぎてた!!
私が慌てて、自分の部屋の前に行けば、そこには玄関前にコロネが立っていた。
……もちろん、私の隣にもコロネはいる。
「魔王?」
私が尋ねれば、
「ああ、戻ったか」
と、魔王コロネが私とコロネを交互に見ていう。
「部屋に戻るなってどういうこと?」
「中をみればわかる」
言われて、あわててドアノブに手をかけて気づく。鍵が空いていると言うことに。
慌てて、ドアを開ければ……そこには荒らされた自分の部屋があるのだった。






