10話 追いかけっこ
「さぁて、コーローネ君。日本でやったこと覚えてるよなー?」
翌日、天界から帰宅し、別荘の食堂でくつろいでいたコロネに私が言えば、コロネが思いっきり顔をひきつらせた。
ちなみにリリはグラッドさんの家へ。
守護天使達は正式に天使になるためとかで天界で何やら儀式をおこなうらしく、どちらも不在だ。
「ええっと、その、申し訳ありません。日本で何をしたのか記憶をなくしたらしくて……」
と、目を泳がせて、コロネが見え見えな嘘をつく。
うん、これはもうダメな方のコロネだ。やったね!やっぱりこれじゃないと!
「そんな言い訳通じるとでも?」
「は、はい、それはその……」
あたふたしているコロネを壁際に追い込むと、思いっきり壁どんしてみせる。
「ね、猫様?」
「私も好きですよ……だっけ?」
にんまり言えば、コロネが頬をひきつらせた。
さーーって復讐のはじまりだ!!
漫画やアニメでみた思いっきり悶絶するくらいは恥ずかしいセリフを言いまくってやる!!!
真っ青になっているコロネの耳もとに顔を近づけると私はにんまりと勝利の笑を浮かべた。
ふっふっふ。これだよこれ!やっぱり私が優位じゃなくちゃ!
日本で私が味わった苦しみをたっぷりと味わうがいい!!
こうして私の復讐は幕をあけるのだった。
△▲△
「……一体お前たちは何をしているんだ?」
コロネの別荘に唐突に尋ねてきた、魔王におもいっきり呆れた顔で、つぶやかれた。
「い、いいところに!?魔王、助けてください!?」
と、私に両手首を抑えられ耳元に恥ずかしいセリフを囁かれ悶絶しまくってたコロネが助けを求める。
ええい!!魔王め!!
何もこんないいところで尋ねてくるとか空気よめ!!
まだ復讐ははじまったばかりなのに!?
あれから、私はコロネを無理やり押さえつけ、言った自分すら悶絶するくらいのクサイ愛の言葉を囁き続けたのだ。
コロネが面白いように、悶絶してくれるので、なかなか楽しんでいたのだけれど。
「見てわかるだろう!?」
私が言えば、魔王は呆れ顔で
「お前たちは男同士の体でそういうことをするのが趣味なのか?」
「ちょ!?なんでそういう結論なのかな!?」
「組み敷いて、愛の言葉を囁いている現場に遭遇して他にどういう感想を抱けというのだ?」
うん!そういえば魔王には詳しく日本であったこと説明してなかった!?
やべー確かにこれじゃあ単なるホモだ!?
これなら面倒がらず、昨日説明しておくべきだったかもしれない。
「わ、私は猫様なら男性でもいけます!むしろ哺乳類以外でも大丈夫です!」
何故か、変態コロネがとんでもないカミングアウトをしだす。
「ちょ!?待てや!!そこでそういうベクトルの変態になるのやめろ!!
マジ誤解されるから!?」
「………。
帰っていいか?」
「何か用があってきたんだろう!?」
思いっきりドン引きした魔王が帰ろうとするのを止める。
「お前がsionとカンナと同次元から転移したのかを調べたかったのだが……。
また後日にしよう。
まぁ、その……邪魔して悪かった」
と、目を伏せる。
「ちょ!?待て!?まるで本当にこれからやるみたいな感じで締めるのはやめろ!?」
「猫様、宜しくお願いします!」
「お前も、ノリノリで乗るんじゃない――っっ!?」
私の絶叫が屋敷中に響くのだった。
::::
「……にしても、お前もいつまでシステムが解除されているのを知っているのに知らない振りをしているつもりだ?」
カプセルのようなものに入って、眠った状態の猫・sion・カンナの三人を見つめながら魔王がコロネにつぶやいた。
コロネは椅子に座りコーヒーカップを口元に持っていっていた状態でそのまま止まる。
「何のことでしょう?」
ニコニコと笑顔で問うコロネに魔王はやれやれと、ため息をつき。
「隠せると思っているのか?
守護天使達のシステムを解除していた話をした時も眉一つ動かさなかったお前が気づいていないわけがない」
「……ああ、なるほど。それは失敗しました。
驚くべきでしたね」
言って、コーヒーを一口すする。
「猫様には黙っていてもらえると、とても助かるのですが」
「……お前たちは二人揃って同じような願いをしてくるのだな」
「猫様がそれをお望みなら、私はそれに従うまでです」
言って、愛おしそうに猫の入ったカプセルを見つめる。
「……わからん。何故このような面倒なのに惚れたのだ」
「わかっていただかないほうがありがたいです。
ライバルが増えても困りますから」
コロネが微笑めば、魔王はため息をついて
「安心しろ。私は魔王と巨人の魂も混濁しているせいで、趣味も趣向も違う。
あれに惚れるということはまずない」
「ああ、伝承では魔王は確か幼女趣味……まさかリリ様!?」
大仰に驚いてみせるコロネに
「死にたいか?というか死ぬか?」
魔王が殺気を放ちながら、問う。
「ああ、出来ればまだ死にたくはありません」
「なら二度と言うな。
ベースはお前と同じオリジナルのコロネなのだ。
幼女趣味に走るわけがないだろう」
「ええ、わかっていますよ」
言ってコロネは猫の眠るカプセルを見つめる。
本当にこの人は不思議な人で。
こちらが逃げれば全力で追いかけてくるのに、逆にこちらが追えば全力で逃げていく。
いつになったら私は貴方を捕まえる事ができるのでしょうか?
心の中で微笑むと、コロネはため息をついた。
待ちましょう――。あんたが心を開いてくれるその時まで。
読んでくださってありがとうございました!
また耐え切れず書いてある分全部連続投稿しました!
ストックは連投するためにあるものだと思う!
この先はストックはありませんので少し休憩します!
改正版と過去篇を同時進行で書いてはいるのですが、ラストまで目処がついたら投稿しようと思います!
カクヨムかなろうに投稿したいと思います!
VRMMO編も12話まで書きましたがラストに目処が立たなかったのでボツになりましたorz
完結できないのが一番嫌いなので、完結に目処がたたなかった場合そのまま両方ボツになるかもしれませんorz
こちらは以後、何か思いついたら、短編みたいな感じで更新していこうと思います!
まずは本編の終わりでみんなで日本に行ったお話とかの続きを書いてみたいです!
それではありがとうございました!