No.2 二度目の朝
「早く起きてよ」
近くで声が聞こえる。誰の声だろうかと体を起こすと
そこには小さなぬいぐるみのような“何か”がいた。
こんなところにぬいぐるみを置いておいた記憶はない。
紬姫は顔を近づける。
するとその“何か”は突然動き出し、紬姫は「ひゃっ」と変な声を出てしまった。
紬姫が起きたことに気づくとその“何か”は姿勢を正して話し始めた。
「生と申します。」
「あなたにチャンスを与えるためにここに来ました。」
「早速あなたのお望み通り時間を巻き戻したのですが、少し巻き戻し過ぎてしまいました。」
「ごめんなさい。」
あっけらかんと説明し、頭がテーブルに付くくらいにペコっとお辞儀した。
紬姫は状況が全くつかめない。
霊感だって無かったのに突然目の前に小人のような小さな“何か”が居て、
さも当たり前かの様に話しかけてきた。
それに時間を巻き戻した?
何を言っているのかさっぱりだ。
それより今日は一限から授業がある。
早く学校にも行かなければならない。
いろんな考えが頭の中で駆け巡ってぐるぐる回っている。
そんな紬姫を見てつられたのか、その“何か”もあたふたと右往左往している。
よく見るとなんだかかわいい気もする。
そんなことよりとりあえず今は学校に行かなきゃ!
紬姫はベッドから起き上がった瞬間、異変に気付いた。
部屋の配置が違う。
目覚まし時計のカレンダーはちゃんと今日の日付を示しているが、曜日が違う。
よく考えると部屋の配置は昔の状態に戻っている。
ようやく紬姫は、その“何か”の言っていることが少しずつつながってきた。