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若葉のカムイ  作者: ☀シグ☀
第一章:東へ
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六十一話:おいしい食べ方

 遅ればせながらではありますがブックマークと評価、ありがとうございます!


 ビルがマットとヨアンってヒトにやさしく怒られたあと、街のヒト達が様子を見に来て、そのあとにヨミちゃんが包帯みたいな布でぐるぐる巻きになった男のヒトを抱えて、門から出て行った。


 ヨアンはお肉屋さん!

 お肉が食べたい時は顔を出してって、言ってくれたし、とってもいいヒト!

 お肉たのしみ!


 様子を見に来たヒト達は、僕を一度見たあとに怒られているビルを見て、「ああー」って言って帰っていった。

 前にも爆発したことがあるのかも。


 ヨミちゃんは、メロンの……じゃなくて、メルンの大樹林って言うところに行くみたい。

 ここから東にあって、とっても、とーっても大きい森なんだって!

 今度僕も行ってみたいな!


 って、今はそんなことよりもお肉。

 キャノンボアのお肉!

 ビルが焼いて、爆発させたお肉!!

 とってもおいしそうな香りがしているお肉!!!


 目の前には、すこし厚めに切りわけられたお肉。

 ビルが焼き上がったお肉についた皮を剥いで、切りわけてくれたもの。


 キャノンボアのお肉は、見た目通り猪さんのお肉に近くて、赤身と脂身がしっかりわかれているところが多いみたい。

 食べ応えがありそう!


 はやく食べたい。

 でも、まだみんなにお肉が配られていないから、待っていないと。

 でもでも、食べたい。


 まだかなー。


 すこし目の前のお肉から視線を外して、ビルを見る。

 ビルは、マットが持ってきた銀色のテーブルの上で、お肉を切りわけて、テオ達に配っている。


 メラニー、マルタ、テオのさんにんに、アベルとギルス、マットとビルでななにん。

 ほかのヒトはお屋敷の中にいるか、門から出ていっちゃった。


 メラニーのお皿にお肉が山盛りになっている。

 すこし重たそう。

 でもメラニーはいっぱい食べて大きくならないと、だもんね。


 マルタが自分のお肉になにかをかけている。

 黒くて丸い……前に食べていた木の実を潰しているみたい。

 なんの木の実なんだろうね。


 あ、アベルがビルからお肉をもらって、あとはギルス。


 待つのはあともうすこしだけ。

 そのもうすこしが、とっても長い。


 ぐーぐぐぐ〜


 だれかのお腹が鳴った。


 なんだかうずうずして、前足を交互に上げ下げしてみる。

 まだかなー。


「ワカバ、よだれ垂れてるよ」


 お肉が山盛りになったお皿を持ってきたメラニーが、僕の見てクスリと笑う。


 慌てて舌で口の周りをなめると、メラニーはまたクスリと笑った。


「はやく食べたいね」


『うん!』


 僕の左隣りにメラニーがしゃがむ。

 持ったお皿の上のお肉が落ちないかとすこしヒヤヒヤした。


 お肉を配り終えたビルが周囲を見回す。


「配り損ねた者は……いないな。では新たな筋肉との出逢いに感謝して、食べるとしよう」


「「『いただきます!』」」


 示し合わせていないのに、みんなとあいさつがぴったり合う。

 なんだかうれしい。


 うれしい気持ちをそのままに、お肉の一枚にかじり付く。

 うん! やっぱりしっかりした歯応え。

 コロッケばかりだった歯がびっくりしているかも。

 ゆっくり噛もう。


 あぐあぐとお肉を噛みながら隣りを見ると、お肉を頬張ったメラニーのうれしそうな顔。

 テオ達も、みんなとってもうれしそうにお肉を食べている。


「おいしいね!」


『うん! おいしい!』


 お口いっぱいのお肉を飲み込んだメラニーのニカッとした笑顔。


 やっぱりみんなで食べるとおいしいし、うれしいね。

 よーし! どんどん食べるよ!


 どんどん増えていくうれしい気持ちで、またお肉にかじり付く。


「でも、流石にちょっと多いかも。夜もお祭りでしょ? 夜ご飯食べられるかな……」


『お祭り?』


「うん、お祭り。緊急避難の協力への感謝と、ワカバが仲間になった事のお祝い? なんだって。費用は全部ギルド長持ちだから、街のみんなの分も入れてお酒もお肉もたくさん買ってくるって、アベルさんとギルスが張り切ってた」


『そうなんだ!』


 夜は街のみんなとお祭り……!

 今ここにいるみんなとでもこんなにお肉がおいしいのに、街のみんなが加わったら、どんなにおいしいのかな!

 わー! たのしみ!


 ぐーぐ、ぐーぐー


 まただれかのお腹が鳴る。


 それを聞いたメラニーがクスッと笑う。


「食べながらお腹を鳴らしているなんて食いしん坊だね!」


 え? あ! 僕のお腹の音だった!


『えへへ』




――ッドオォォォォォォォォォォォン!!!!!




 近くで雷が落ちたような大きな音。

 地面が細かく揺れる。

 ぶわりと吹いた風には、嫌な熱が込められていて、体にはりつく。


 空を見渡しても、雷雲どころか雲もない。

 みんなは一様に、風の吹いた方――東を見ていた。


「怒り心頭だな」


「……これだけ離れていて、こんな来るんすか。マジでヤバい奴ってホントにいるんすね」


「そいつがわかったなら、今度から何かする時は、必ず俺に確認してからにしろよ。特に酒飲む時はな」


「ちょ、兄貴、まだ酒の事根に持ってんすか!?」


 アベルとギルスの会話で、みんなの固くなっていた表情が綻んでいく。

 すごいな。


 僕もみんなを笑顔にしたい。

 暗そうな顔になってほしくない。

 でも、どうすればいいんだろう。


 広場を走り回ってみる?

 それとも、透明な壁を使っていろいろしてみる?

 うーん、砂埃がすごそう。

 お肉に砂がかかっちゃうかも。


 うーん……。

 考えながら、お肉を食べる。


 おいしい。

 すごくおいしい……じゃなくて!


 堪えるような笑い声が一つ、二つ聞こえる。

 テオとメラニーが僕を見て笑ってくれていた。


「あ、ごめんね。うーうー唸りながら食べていたのがおもしろくって、笑っちゃった」


 メラニーはそう言うと、パクパクッとお肉を頬張った。


 やった! 僕も笑顔に出来た!

 よーし!


 もっとみんなに笑ってほしくて、お肉を食べる。

 すると、メラニーも負けじとお肉を頬張る。


「んぐっ!?」


 突然、メラニー苦しそうな声を上げた。

 トントンと自分の胸の辺りをこぶしで叩いている。


 たいへん!

 喉を詰まらせたんだ!


 急いで背中の方に回る。

 魔力を鼻先にあつめて、ぐっとしてぽん。

 生み出された透明な壁に向かって跳んで、壁を足場にしてさらに跳ぶ。

 そして、メラニーのすこし丸くなった背中へ、右前足を叩き込んだ!


 ぽふん、ごっくん。


「う~、助かったぁ……」


 ゼーゼーと粗く息を吸って、疲れたように前へと体をかたむけたメラニーの目元は、涙で滲んでいる。


 でも、これで安心だね!


「たっく、慌てさせやがって」


 いつの間にか近くに来ていたアベルが、メラニーの頭をガシガシなでる。

 その隣りには、ギルスとマットと……あれ?


 テオもマルタもビルも近くに来ていた。

 みんなメラニーが心配だったんだね。


竜連(リュウレン)みてえにデカいヤツを丸呑みにすると、海大蛇(シーサーペント)でも消化しきれずに死んじまう事があるらしい。ましてやお前は蛇じゃねえし、ちっこいんだから、よく噛まねえとな!」


「う~わかったけど、ちっこいって言わないで!」


「こりゃわかってねえな!」


 わっとアベルとギルス、テオが笑う。

 マルタは口元に手を添えて「ふふふ」と声をもらし、マットは微笑む。

 ビルは、みんなをやさしく見守っていた。


 メラニーはすこしの間、口を尖らせていたけれど、アベルになでられていて、機嫌がなおったみたい。


 とってもあったかい関係。

 いいなぁ。


 みんなの笑顔を見ながら、最後の一つをパクリ。

 うん、とってもおいしい!

 ごちそうさま!


 読んでいただきありがとうございます。

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