高校で暴れてたら、喧嘩最強のヤツ発掘したっすよ!
高校入学。それは、4月。それから、二ヶ月。ちゅーかんテストっー奴が終わった頃だ。そして、きまつテストっーのが始まるんだ。
俺は、髪を金髪に染め、ピアスも付けた。紺のブレザーと、チェック柄のズボンもだらしなく、下品に着た。
ズボンは、腰パン。ブレザーの下には、黒色のパーカー。タバコも吸う。
「…ヘッ……思う存分に暴れてやんぞ!ヤロー共ぉぉぉぉ!!!!!!!!」
仲間も集めた。やっちゃいけないを俺等は今からする。本当のやっちゃいけないを。
釘が刺さったバットを学校の椅子を手に持ち、その手を上に上げると同時に、目の前の窓に目を向けると、一気に振り下ろす。窓が割れ、俺の頬を切る。
───────これが、悪かよ!?単純じゃねーか!
そう思った。この時、廊下の窓を壊してると女の黄色く小さい声が聞こえた。
「水ちゃん!」
その女の目線の先には教室に向けられていた。 何だ? そっ、と教室に目を向けると、星のヘアピンをした黒髪の女が出てきた。──────片手に椅子を持って。
「……女が何でしゃばってんだよ?遊んで欲しいのか?」
仲間の一人、廉明寺 雪佐。赤髪に染めていて、目に緑のカラコンをつけている。手元には、ボロボロに殴られた男子生徒。口からも血が出ている。
「…嗚呼、遊んでもらおうかな?…僕が満足するまでさ。」
と、女が片手で椅子を掲げた瞬間。女の横らへんにあった窓ガラスが突然割れ、驚いて目を見開いていると雪佐が吹っ飛んだ。パッと、雪佐の顔を咄嗟に見ると顔面が小さな拳の跡で真っ赤になっていた。
俺は、我に帰ると女の方を向いた。女は、黄色く不気味に光る目を男子生徒に向けて、床に膝をつくと問いかけた。
「ボロボロだな。大丈夫か?」
椅子を持った手をだらんと下げていた。
「あ、ああ。」
男子生徒は、女を見ると少しだけ安心した様な顔をした。
その顔が自棄に苛立った。俺は、無意識の内にそいつらに釘バットで襲い掛かっていた。
「あああ!!!!!」
「よせ!止めろ!御神!!」
雪佐の驚嘆の叫びすら、聞こえなかった。
「御神 出歩。お前は、俺の青春を壊そうとした罪で罰祭する。」
スッと軽々と後ろへと避けられた。
「は、この、女…っ!!やっぱ、つぇ!」
歓喜の声を荒らげた雪佐は、女の黄色い目に睨まれ、怯む。
「廉明寺 雪佐。この男子生徒を傷つけた罪で、後顔面五発殴る。」
ぐっと握りしめた拳を前に真っ直ぐ突き出し、そして言い放った。
「テメェ等には、この拳だけで充分だ!!」
コイツ……俺等を舐めやがった!
怒りがふつふつと溜まり出した。
「来いよ。」
掌を己の方へ向け、指先を前後に軽く揺らした。
雪佐が殴り掛かると、ハッとしたかの様な顔になり、少し後ろに避け、ぐるんと一回転をした。一回転中に椅子が女の動きにそいながら、円状に床をそった。
「河原 阿形。器物損壊の罪で、成敗する。確認を忘れていたよ。」
頭に手を置きながら、呆れた顔をした。
河原 阿形。青のメッシュを所々にして、ピアスも開けた俺の仲間。釘バットを持っている。
「……てっめぇ……!!」
また、突っかかりに行くと、今度は手首を掴まれ、とても強い力で床に寝転がらされた。
「……この力……剣道か何かか?それとも、テニスか?」
と言いながら、雪佐と阿形の顔面が殴られた。
─────────これが、最初で初めての喧嘩での敗北。そして、俺の青春の始まり。
「あー、何でこんな事なってんの?イッズー!!」
頭の後ろで両手を組み、後ろの席にいる俺を見る廉明寺。イッズーとは、俺のあだ名。
「つかさぁ!アイツ名前なんつーの?!」
「水しか、分かんねーな。」
俺達は、今、絶賛補習中。もちろんのこと3人だ。
「嫌ー、しっかし、ここの校則ゆっるーい。」
阿形は、シャーペンを補習のプリント上で泳がせながら、言った。
「あ、阿形おまっ!何真面目にやってんだよ?!」
廉明寺が河原の頭を思いっきり叩いた。
「いってーなぁ!!プリント位いいだろーが!!」
「今、こっちはあの女の話してんだよ!!入れ!」
「じゃあ、もう、静かにあだ名でも決めてろよ!!」
あだ名……?
「……あの女のあだ名?」
俺と廉明寺は、見つめ合った。
「「ウォーターで良くね?!」」
「うわー、クソワロ太鼓ドンドーン。」
阿形は、俺達に一切、目もくれず。課題に打ち込んでいた。
俺達も、そろそろ少しは真面目にやろうとプリントに目を向けた瞬間。ガチャと扉が開く音が聞こえた。
俺は恐る恐る、目を向けると────あの女が居た。
「「「ああああ!!お前、あん時の!!」」」
今、女は喧嘩の時のような殺意を目に宿してなく、首を傾げた。
そして、口を開くと「アント〇オ猪木?」と言った。
「誰がアント〇オ猪木だよッ!」
廉明寺は、机をドンと思いっきり叩くと女に向かって行ってしまった。
「此処での…喧嘩は、避けた方が……」
ん?ちょっと待った。
「なぁ、ちょっと待ってくれないか?シロ。」
シロとは、廉明寺のあだ名。雪は白いからキタらしい。
「…どうしたんだよ、イッズー。」
「…少しだが様子が変なんだよ。その女の。」
そう言いながら、俺は女を指さす。
「……女って名前じゃない。」
ドンと、強い足の音が響く。
「水潮 結良だ。後、もう一度言うぞ。ここでの喧嘩は避けろ。」
嫌、様子は可笑しくなかった。前言撤回しよう。
「…水潮 結良って、ウォーターじゃねぇの?!」
廉明寺、寧ろその名前であるってガチで信じてたのか…っ!!
「……って、テメェ等、補習か?同じだなぁ、何やってんだよ?」
阿形のプリントを取ると、見つめた。
「す、数学だ。悪いかよッ!!」
バッと水潮からプリントを取り上げると、急いで阿形はプリントを終わらせようと必死になった。
「……同じじゃん。」
「は?」
「でも、点数は僕の方が上かな?」
「な、何点なんだよ?」
「27点。」
「うっわ!何それ、惜しい!後、1点さえあれば補習免れてんじゃん!!」
此処の高校では、27点以上が補習を免れれる。
「…名前と、点数。言ってくんない?」
「河原阿形!!17点!!」
良くも、そんなのを大声で言えんなおい。
「って、阿形!!何仲良くなってんだよ!!」
廉明寺が二人に近寄った瞬間、廉明寺のプリントが水潮の手に渡った。
「……現社……まあ、ムズイよね。点数は?そして、名前。」
「……チッ……廉明寺雪佐。25点。」
「へぇー、惜しいね?」
「これでも、赤点1個しか取ってねぇよ。」
「……つまり、阿形と御神は、赤点幾つ取ったんだ?」
水潮の目線が俺と阿形に向けられる。
「「……5つです。」」
「…………こりゃ、また、たいそーな。」
プリントをそっと机に置くと、水潮は俺達言った。
「ま、頑張りなよ。」
小さく手を振りながら、教卓に向かい始めた。そして、腰を曲げて、教卓の中を探り始めた。
「……プリント、プリント……あ、あったあった。」
1枚の紙を取り出すと、スクール鞄を教卓の上に置き、鞄から青色のファイルを取り出した。
「何してんだよ?」
シロが教卓に向かった。
「……これ、宿題のプリント。僕だけ貰えてなかったからさ。」
「…へー、……ん?」
「どうした?」
「ウォーター、お前!俺等と同じクラスなのか?!」
「……え、まあ、そうだけど?気付かなかったの?御神のすぐ後ろの席なんだけど。後、ウォーターじゃない。」
「は?!」
うおー、全く気づかなかったー!!
そうして、ファイルを鞄にしまい終るとドアの方へ向かい始めた水潮。
「…ま、待ってくれよ!」
俺は咄嗟に御神の腕を掴んだ。
「何?用件をどうぞ。」
「……あ、いやその!」
「…………不良の癖に、怯むな!!
…………ああ、そうだ。俺、テメェ等とやり合った喧嘩が初めての喧嘩だから。」
「え、あ、はぁぁぁぁあ?!」
シロは、開いた口が塞がらない状態。
そう言い残して、水潮は教室を去った。
「……マジかよぉ……」
その日から、俺とシロと阿形は水潮に絡む様になった。
「水ちゃん!」
あれ?この女子。 あの喧嘩の時の黄色い声の女子。
「……どうしたの、リサ。」
「有理沙って、呼んでよ!水ちゃん!」
「ヤダ。じゃあ、鳳城 有理沙で良い?」
「もっと、やだ!!」
と、鳳城は席に座っている水潮に後ろから抱きつく。サイドテールっー髪型らしい。
「…じゃー、有理沙ちゃんって呼ぶわ!!」
「有難う御座います!!廉明寺さん!!」
「シロ!シロで良いぜ!」
シロ、お前適応性高いな!?
「イッズーも、お出でよ!!」
「来るなら来いよ!」
シロと阿形が、俺を呼ぶ。
「あ、ああ、今行く!!」
俺は、小走りで水潮達の所へ、行った。
「何の話してんだ?」
「あだ名の話だぜ!」
シロが前のめりになりながら、俺に言った。
「あだ名? 俺で言うと、イッズーみたいなもんか?」
「そうそう!」
「じゃあ、リサは横〇アリーナ?」
「無駄に大きいよ!!水ちゃん!」
それを聞いたシロが鳳城に言った。
「アリスじゃね?」
「へ?!」
「あ、ごめっ、何でもねーわ!!」
シロは、頭を掻きながら、誤魔化した。
「……じゃあ、水潮は────」
俺があだ名を着けようとしたら、阿形が水を指してきた。
「ウォーターじゃないの?」
「ウォーター?それって、やっぱ、水だから?」
水潮は、現社のノートをめくりながら、有理沙の隣にいるシロを見つめた。
「……そ、そうじゃないのか?!」
そう言って、シロは俺を見た。
その目は、酷く怯えていた。
「なぁ、何か変な解釈してないか?コイツ等。」
「さぁ?次の時間何?」
阿形は、すっかり、水潮に懐いてしまったらしく。朝は、阿形と一緒に校門で水潮を待っている。
そして、毎回言われるのは、「毎日、ご苦労さん。疲れないか?早起き。」だ。その時の御神は、少し気だるけに眠たそうにしている。
「別に問題ないよー!!それより、昨日の電話面白かったね♪」
阿形は、ちゃっかり水潮の隣に並びながら、笑顔でそう答えていた。
「へー、あれが?」
「そっ!あれが!」
……この2人の会話には入れいる隙はない。
その日の放課後、俺達は補習を受けていた時だった。
俺は聞いてしまった。ついポロッと、出てしまったのだ。
「阿形。お前さ、水潮の事…好きなのか?」
「…あれ?イッズーには言ってなかったっけ?勿論、そうに決まってんじゃん!!」
「…え、あ、そう…なの、か…。」
俺は、無意識の内に俯いていた。隣にいた阿形は、プリントに集中していた為、その事には気づかずに居てくれた。
「どうしたんだ?」
でも、流石に俺の後ろに居たシロは気づいた。
「……何でも…ねーよ…」
何で、俺は落ちこんでるんだよ。嬉しい事じゃねーか。友達の恋が実りそうで。
「………あ、イッズー。ウォーターのLINI居るか?」
「え、シロも持ってんの?!」
「ああ、時々、明日の日課などを聞いている。そして、お前にウォーターのLINIをあげようと思ってな。…前置きはしてあるから、そう俯くな。」
パシッとシロは俺の肩を叩くと携帯を出し、LINIを開いた。LINIは、所謂チャットみたいなもので、電話なども出来る。ビデオ通話もだ。
「よしっ、入った!ありがとな、シロ。」
すると、シロは俺に小声でこう言ってきた。
「…そろそろ自覚し合え。
阿形!俺は帰るから、後頼むぞ!!」
「任せといて!!シロ!!」
ああ、聞かなければよかったのかな。 そう思いながら、補習プリントを済ませた。済ませた後、阿形は職員室に鍵を返しに行った。「先に帰ってて」と言われたので、下駄箱に一足先に来た。
「あ、」「…?」校舎の出入り口に水潮がちょこんと座っていた。
「え、あ、お前何で…?」
「ああ、聞かされてないのか。阿形に待てるなら待っててと言われたんだ。いやぁ、一時間半ってのは長くも遅いねぇ。」
「寒くないか?」
「……寒いに決まってるだろう。」
「そんな中、其処で待ってたのかよ?!馬鹿か!!」
「お前よりかは良いぞ。」
「そうだろうな!」
と言い合いながら、俺は自分のブレザーを水潮に羽織らせた。
「これ、お前の…」
「良いから、着てろ!風邪ひくぞ!?」
「……風邪は馬鹿しかひかん。」
「なっ、」
「騙されやすいだろ。御神って。」
「ああ、そうだぞ。騙されやすいぞ!」
俺は、パーカーのポケットに手を突っ込みながら、言った。
「んな、胸張られても、威張ることじゃない。」
「いっ、威張ってねーよ!!」
「威張ってる。理由もなくな。」
「…あーあ、そーですか。……つか、阿形おせぇなぁ。」
「……あ、帰るぞ。」
水潮は、携帯をスカートのポケットにしまうと俺にそう告げて、スタスタと歩いて行った。
「え、ちょっまっ!阿形は、待たねぇのかよ!!」
「先に帰ってて、だってよ。だから、帰るぞ。」
俺は急いで、水潮を追いかけた。
「なぁ、水潮って好きな奴いねーのかよ?」
「……当ててみろよ。案外、簡単だから。」
「はー!? んー、シロ?」
「違う」
「阿形!」
「違うな。」
「…先生?」
「嫌もうそれ、何かの壁を超えてるぞ。」
「……じゃあ、誰だよー?」
急に水潮は止まり、俺の顔を見つめた。
「お前だよ」
そう言うと、俺の隣をすっと通りすがった。
「先行ってるぞ。」
先に歩いていってしまう水潮を、他所に俺はその場に座り込み、口元を両手で覆った。
「アイツ…俺の顔を赤くする方法知ってやがんなッ!!!」
俺は、暫く立ち上がれずに居ると、後ろから阿形が呆れた顔をして、近寄ってきた。
「良かったじゃん。実ってさ。」
「あ、阿形…?!!」
それだけを言って、阿形は足早に俺の隣を通った。
「…阿形……」
ああ、聞かなければよかったな。また、そう思う。
チラッと腕時計を見た。時間は、6時5分。
「電車が来る時間は、6時11分。……ああああ!!間に合えぇぇぇ!!!!」
走って駅まで走った。 俺は、駅まで走って気づいた。学校から駅まで歩いても3分しかかからない事を。
俺、何してんだろ。
翌日、夜更かしをしてしまった。嫌、正式には眠れなかっただな。
「ふわぁ〜…ねみぃ。」
それは、学校に着いても収まらず。
昼休みでやっと少し収まった位だ。だから、5,6時間目は何とか授業を聞いていた。
そして、今日も放課後は補習。阿形も、シロも何故か今日はすぐに帰った。何であいつら、今日早いんだよ!
水潮は、帰る支度が遅い為、補習の時間にも少し入り浸る。
「……なあ、もう、すぐさ。帰んのか?」
「…………だったら?」
と、鞄を肩にかけ始めた。
「え、あ、待っ────」
水潮は、ダッシュで教室を出て、廊下を駆け抜けた。
「……やっぱ、スピードはぇ!」
俺は後ろから来た先生の気配に気付かなかった。
「御神、席つけ。補習しろ。」
「ウィッス、…ウィッス。」
そして、一時間半後。俺は渋りながら、下駄箱に向かっていると、「おい…は…」小さかったから余り聞こえなかったが、水潮の声がした。
「……水潮……?!」
俺は、スリッパをパコパコと音を立てながら、走った。するとそこには、男子生徒に手首を掴まれている水潮が居た。
「おい!離せ!!」
水潮が珍しく焦っていた。
俺は、その場であたふたしていた。
うん、何の役にも立たないな!…って、本当にそんな事思ってる場合じゃねー!!!
俺は、頭を抱えてそう思った。 好きな子が男に絡まれてんだぞ?!ぶっ殺すのがいいか?!ああ、もう、それで良くないけどそれで行く!
「ウオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーッッッッッッッッッッッッッッ!!」
俺は、とある顔文字(\( 'ω')/←これ)の様なポーズを取って、男子生徒に向かって飛び上がると、男子生徒と水潮が気付き、水潮が掴まれていた手首の男子生徒の手を持つと、俺に投げつけてきた。
こっちの方がウオアーッ!!じゃねーか!!!
「遅いぞ!御神!!」
気絶している男子生徒の下敷きになっている俺は禿げた男子生徒の頭を掴み飛ばすと、水潮に駆け寄った。
「大丈夫か?気持ち悪いか?」
「……お前がな。」
「お前がなって、俺…全部、本気だぞ?お前の事だって、不良になった事だって!」
「ワルの割りには、悪知恵もないし、力もないよな?」
「そ、そこを突かれると…胸が痛みます。」
苦い顔をしながら、胸元の服を軽く握りしめていると、そっと水潮が胸元の当たりを触ってきた。
「え、」
「痛いのはここか?」
「……はい。」
すると、クスクスと笑い始めた。
「めっちゃドクドク言ってんぞ?」
「そ、それは…!!水潮!!!お前の所為だ!!!ばーか!ばーか!」
「その言葉、そっくりそんまんま返してやるよ。」
「なっ、何───」
そこで、水潮が俺の口を手で塞いできた。
「でさ、さっきの『水潮!!お前の所為だ!!!』って言葉さ。良い返事として受け取っていい?」
「も、ふぁい……」
俺は口が水潮により塞がれている為、『はい』が『ふぁい』になった。
「……じゃあ」と言うと、後ろに下がる。それと同時に、口から手が離れ、まともに話せるようになった。
「これから、宜しくな?」
と、水潮は笑顔を向けてきた。
「……あのさぁ、その笑顔………俺以外に向けんなよ?」
ポンと頭に手を置いた。
「そんなの言われなくたって向けねーよ。」
「か、カッコよかったのに、全部それで持ってくな!!」
「あーごめんごめん。〝出歩〟。」
「…っ、ゆ、許す!今回だけだぞ!〝結良〟!!」
結良は少しだけ少しだけ頬を赤らめると、「ありがとな」と言った。
そして、俺達は帰りながら、こんな会話をした。
「そういえば、あのダッシュの後、ずっと待ってたのか?」
「そうだぞ。」
「え、マジか!ごめん!」
「嫌、別にいい。僕が勝手にやった事だし。」
「ありがとーなぁ!?」
「嫌、発音おかしい。どっから出してんだよ?」
「え、そりゃ、喉から。」
「手術が必要だな。」
「ウェ?!」
俺は、結良に弄られながら帰った。
そんな会話を二階の教室から見てた奴等がいた。
シロと阿形だ。
「…阿形、お前も中々やるなぁ?役者か?」
シロは腕を組み、窓に背を向けて、顔だけを御神達に向けていた。
そのシロの右に、肘を付いて御神達を見る阿形が居た。
「役者じゃねーもん。……役者じゃねー…もん…でも、俺さ、嬉しいな。」
「何がだ?」
「リア充が出来たこと」
「おう、カップルって言えよ。」