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世界終了のお死らせです  作者: 透坂雨音


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第07話 友達



 遥か昔にやっておくべき自己紹介を消化。

 ついでにステータスウィンドウの見方とかも教えて。

 里留に現在の状況を伝えた。


「ここの……てっぺんに行けば、お母さんに……」


 そうだ。願壁(がんぺき)の頂上にたどり着けば願いが叶う。

 里留は視線を天井へ、その先にある最上階へと向けている。

 ずっと不安そうにするばかりだったが、目的意識ができたことにより一時的に気が紛れている様だった。


 で、肝心の向こうから見た俺の立ち位置だが、「……紅蓮は、友達?」里留の中ではそういう分類になるらしい。


「なんでそうなんだよ」


 当然抗議だ。友達にするにしては、色々違いすぎるだろ。


「共犯者、せめては協力者か仲間にしろよ」


 相棒はないな。頼りなさすぎる。百歩ぐらい譲って仲間がいいところだ。迷路の攻略法を教えられたし。情けないが里留がいなかったら、紅蓮はきっとトラウマにイライラしながら今も迷宮の壁を殴っていただろう。


 そう、だから。

 間違っても友達とかにカテゴライズされるような関係じゃないはず。


 しかし、提案されたお友達希望者である里瑠は首を傾げている。


「きょうはん……しゃ……って?」


 駄目だ。ガキには難しすぎた。


「ったく、何でこんな事に……」


 何で?

 決まってる。


 肝心な事を話していないからだ。あの事だ。人殺しめ。

 俺の選択について。


 里留には俺を罵る権利がある。事情を知って、紅蓮に罵声を浴びせる権利があるというのに。ここまで来て何やってんだか。


 姿が変わっているせいでか、里留は俺をあの時の人物として認識できていない。

 目の前にいる人間が、自分の母親を殺した人間だとは知らないのだ。

 俺が話していないから。話せなかったから。


 里留の中での橘紅蓮は、巻き込まれて居合わせたらしい同じ世界の人間、なのだろう。

 一度決めた事だというのに、いざ話そうとなるとこれだ。馬鹿だ。橘紅蓮という人間はやっぱり馬鹿なのだ。それも救いようのない類の。


 仕方ねぇだろが。仕方ねぇんだよ。

 誰が好き好んで、人の仇になりたがる。人殺しの汚名なんか、死んでも御免なんだよ。

 それに、里留。あいつは一度、俺から逃げてる。これ以上信用を無くすような事はしたくない。あの時はたまたま間に合った。けれど次もそうだという保証はない。あんな思いは二度と御免だ。


『この子を、お願いします』


 俺はあいつの母親にお願いされて、託されたんだ。そんで俺は、里留を……こいつを選んだ。

 それってあれだろ。馬鹿な俺でも分かる。約束したって事だろ。里留を守るって。死んだ人間と、だが……約束は約束だ。これまで誰かと交わした重要な約束なんて、一度だって守れなかった馬鹿な俺が。これだけは守らなればならないと思う約束。


『何でもだ。……この世界を元に戻す為なら何だってしてやる』


 それに加えても……。

 ただでさえ、ちょっとやそっとじゃ叶いそうにねぇ誓いだってあるのに。これ以上事態を複雑にしてたまるか。

 ロクデナシ人間に(なに)背負わせてんだよ。まったく


 なんて、「はぁ……」誤魔化してばっかだな。俺は。


 視界の隅ではこっちの心境にも気づかずに、里留が小さく拳をつくって、「これで……二人目の友達……」そんなことを呟いている。


 二人目かよ。

 お前根暗そうだし、臆病そうだし、いなかったんだな。友達。


 提案したのはお友達とやらが、純粋に欲しかったのかもしれない。

 だがだからといって俺が大歓迎しては、問題になる事なんだろうが。

 まあ、それでも良かったか。それで少女の気が済むのなら。

 そんくらいには思っている。



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