第04話 ステータスが……
だいたいあれから小一時間かかった、俺達が今もまだ迷路の中だ。
ただ歩くのも暇だったので、あのクソ野郎仕様のステータスウィンドウを覗いてみる事にした。
自分のものはこんな感じだ。
名前 橘 紅蓮
レベル 99
クラス メイジ
スキル 灼熱陽光 絶対氷結
んで、りるのものはこんな感じ
名前 乙部 里留
レベル 1
クラス 一般人
スキル ―
感想、なんじゃこゃあっ!! だ。
俺は、はっきり言って魔法使って後ろから攻撃するより、前で肉弾戦してる方が得意なのに。
しかも何でメイジなんだよ。
それにレベル99って……チートすぎんだろ。
嫌味か。
あえて不得意な分野で戦わざるを得なくするとか、嫌味だろ。
しかも、里留はレベル1って…。
どういう理屈だ。
つーか、ここって戦闘とか必要な世界だったりすんのか。危険かよ。
進んでチビに戦わせようとは思えわねぇけど、そりゃあんまりだろうが。
『願いを叶えさせてあげるんだから、これくらい大目にみてよねー。きゃはははっ。私の機嫌損ねたいのー?』
そんな事を考えてると、まるで心を読んでましたみたいな、タイミングでそんな反応が返ってきた。
里留には聞こえてない。無反応だ。周囲には怯えているが。
土俵に上げてやったんだから、不利な条件でも呑めってか!?
俺らは遊び道具か何かよ。
『何かじゃなくて、玩具そのものなんだけどー』
「クソっ!」
虫唾が走った。勢いよく壁に拳を叩きつける。
普段だったら、迷わず殴り飛ばしてやってるくらいのウザさ憎らしさだったが、それは敵わない。
世界の命運を握っていて、かつ姿の見えない敵なんて、どうやったって殴り様がないからだ。
「……」
そこで、ふと近くにいるはずの少女の存在に思い至った。今ので怖がらせたかもしれない。
しかし、
「あぁ……?」
周囲を見回すものの、それらしい影は一つもなかった。いない。いなくなってる!!
問題発生だ。
いやただの問題じゃない、大問題が……だ。
「おいっ! どこだ!」
返事が聞こえない。
まずい。いつからだ。いつからいなくなってたんだ。さっきはいただろ。まったく気づかなかった。
何でいなくなってんだ。おいおい。冗談じゃねぇ。現実かよ。現実だ。冗談でもなんでもない。まぎれもない現実。馬鹿な俺。馬鹿だろ、ホント。
「返事しろ! チビ……じゃなくて、里留っ!!」
慌てて、元来た道を走りだす。
しばらく走ってから、壁から手を離している事に気付いた。
振り出しだ。迷路攻略。今までの一時間、パァだ。
それより、チビ……いや里留だろ。今はどうでもいい。そんな事気にしてられっか。