表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界終了のお死らせです  作者: 透坂雨音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/35

第23話 最後の共闘



 気まずい雰囲気で終わる形になった作戦会議の後だ。「紅蓮、これ」里留が小さな布きれを手渡してきた。眼帯だった。「んだこれ?」何でこんなもん持ってんだよ。「ローランさんが、顔が凶器……だからって」ケンカ売ってんのか、あいつは。誰がつけるか。しまおうとすると。「しないの?」里留が不思議そうに聞いてきた。凶器……。気になって尋ねれば里留からは、「つけた方がいいと思うか」そんな言葉と頷きが返ってきた。「うん」そうらしい。マジかよ。


 そんなやり取りがあった後に、二回目の挑戦が始まった。

 人数が増えたおかげか、フロア攻略は順調だった。


 さっきみたいに楽勝という程ではなかったが、急ごしらえの集団にしてはそれなりにうまく連携が取れている方だった。

 これといったトラブルもなく、飛び回るビットを番号順に壊していく。


 アレンとベティ―が中心となって、その補助をローランと俺が行う。


 人間離れした身のこなしで駆けまわるアレンに、ベティーは目を丸くしながらも鞭ではたき落とすなりして、よくついていっている。


 一方ローランは「だりぃ」とか「面倒くせー」とか発言するばかりで積極的に動こうとはしない。たまに近くに次の番号のビットがいた時だけ、手持ちの槍で突いたりするが。


 だがそんなローランよりも役たたずがいる。俺だ。里留と二人で壁の華だ。一応非戦闘員である子供の護衛をしてはいる。が、それだけだった。


 ローランを護衛にするよりはマシだが。ほとんど出番がない。まったく役に立っていない。面白くない。面白さなんて求めてはないが、気に食わない。


 魔法が使えないから拳の届く範囲しか攻撃できないので、必然的に活躍の場もなくなってくるのだ。


「ったく、シェリーの奴」


 お前が裏切ったりしなければこんな面倒な事せずに済んだんだよ。


「シェリーさんは……良い人だもん」

「あ?」

「だって、里留達のこと……殺そうとしなかった。迷子になった時に会った、怖いおじさんは、里留の事殺そうとしてた……」


 嫌な事を思いださせてしまった。最初の頃で俺が馬鹿やった時の事だ。間に合わなかったらホントヤバかったやつ。


「あいつならやろうと思えば、背中からぐっさり行くぐらいはできただろうな……」


 改めて多少冷静になった頭で考えてみるが、本当にそうだろう。何せ、裏切られたと思うくらいにはそいつの事を仲間だと思っていたのだから。

 こっとの隙なんて探すべくもなかったただろう。


 暇なのを良い事に里留と喋ってたら、ローランの声で事態が動いたのを知った。


「おい、クソ魔術師!」


「だれがクソだ。テメェ」反射的に睨み返す。


 覚えてろよグータラ野郎。だが状況はそれどころではない。

 滞空するビットがあからさまに増えている。番号のない物が射出されている様だ。まぎらわしい。


 そのビットが「ああ? おいおいマジかよ」はかった様にこちらに殺到してくる所だった。


 それだけならなんとか対処できただろう。

 だが、やはりというか簡単に攻略できるほど甘くはなかった。


 その集団の中に、番号のついたのまで交ざって、こっちに向かってくるからだ。

 ヘタに攻撃したら巻き込む。今までチマチマ番号順に潰してきた苦労がパァだ。これでは魔法が使えない。どうすればいい。


 考えていると、「このもやしが!」ローランが叫びながらこちらに走ってくる。口が悪いなお前。


 だが、あのグータラ野郎が分かりやすく労働していた。


 槍を振り回して、近づくビットをさばく。その手裁きはウィンドウに高レベルと表示されるだけあって、まったく無駄がない。ひょっとしてこいつ、危機にならないと動かないタイプか。面倒くさがりは面倒な性格だな、まったく。


 俺は、やってきたビットを「誰がもやしだ……よっ」殴る。殴る。蹴り飛ばす。


 見て。殴る。見て。殴る。いちいち確認を挟まなければならないのが苦痛だ。

 うっとおしい。本気でうざい。手あたりしだいに殴れたら楽だろうに。


 里留は頭を抱えて、「わっ、わっ」しゃがみ込んでいる。


 おいやめろ。視界から消えるな。踏んづけちまうだろうが。


 離れていた所でアレンがこっちに聞こえる様叫ぶ。「47だ」ビットの番号だ。もうそこまで行ったのか。つーか、一回目の時より増えてんじゃねぇか。ひょっとしてリトライするたびに増えんのかよ。性格悪ぃ。


「ちっ、だりぃな」


 ローランの声。槍がビットを貫いた。48だ。しっかりアレンの声を聞いていたようだ。


 同じく遠くにいたベティーがビットを鞭で破壊。案じる声とともに番号を知らせる。「チビちゃんは大丈夫だろうね、49だよ」


 ローランが「面倒くせぇ」ふりまわす槍の柄で破砕、50だ。紅蓮が「てめぇ動けんじゃねぇか」拳で51を見つけて粉砕する。最初からそうしろよ、ったく。


 そのまま番号が60になるまで続いた。これで、ちょうど一回目の倍だ。終わりか?


 俺の方を見て「脳筋が判断すんな、ボケ魔術師」ローランだ。言いたい放題じゃねーか、ビットの襲来は止まない、まだなのか。まだ番号があるのか。どこだ。どこに?


 ずっとしゃがみ込んでいる里留に注意する。


「里留、立て。踏んづけちまうだろ」

「やっ……」

「や、じゃねー。おわ、あぶねっ」


 言ってる傍から服の裾を踏んづけて、転び掛けた。「うぅ……」里留は大人しく立ち上がった。「大丈夫……大きな虫さんだと思えば」いや、そっちの方が恐ぇよ。


 そんな事を言いながら群れるビットを壊し、押しのける。アレン達が戻ってきて、群れの外から駆除し始めてからは楽になった。気を抜きかけていた。


 この場所を考えた奴は悪辣だ。そんでもっていい性格している。

 ここまでくるまでに俺達は否応なくそれを見せつけられてきた。

 だから気付いたのだろう。

 視界の端に違和感を覚えた。


 残骸となったビットが浮かび上がる。

 90だ。番無しの個体に番号が浮かび上がる。


 どうなってるのかそいつは、自らの身を割って、中から小さな砲塔をせり出させた。標準は里留。狙いを付ける。


 敗者復活してんじゃねぇ。紅蓮は杖を伸ばした。「させっか!」覚悟は良いな。最後くらい活躍させろ。


 素手では絶妙に届かない位置にいるそいつを、これまでにたまったフラストレーションを発散させるように、盛大に杖でブッ叩いた。



 五層目のフロア攻略はこれで終了した。

 ローランとベティー。二人の助力で。


 だが、その二人と共闘したのはそれが最後だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ