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世界終了のお死らせです  作者: 透坂雨音


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第22話 共闘相手



 予想の後ろ斜めから変化が起きた。

 それは次の機械に向けて、作戦を考えている最中だった。

 端的に言えばまず、人が増えた。


 後方から人間二人がやってきて、そして、試練の内容を提供するかわりにと協力を申し出たのだ。


 ここいらで話の通じる人間が増えてきた気がする。あくまでも表面上では、だが。このフロアのテーマが連携だからか。気付いたんだろう。敵を排除するだけではここは攻略できない、と。気づくまえに、いったん武器置けよって思うがな。


 で、シェリーが抜けた穴は予想以上に大きかった。

 飛び道具がないと、このフロアの攻略はキツイからだ。

 実はその二人が来るまで作戦会議は行き詰まっていた。


 俺の魔法は、一つを選べるような繊細なものではないし、本来の用途を考えても杖は何かを殴るものじない。かといって拳で飛んでる的を相手にするのは分が悪すぎる。


 アレンは、並外れた身体能力があるが、一番は剣だ。さすがに飛行能力なんてものはもっていない。手の届かない距離に、飛んで逃げられたらそれで終わりだ。


 そんな時に二人も戦力が増える。普通なら良い事だ。そのはずだが、手放しじゃ喜べない。


 減るよか増えるほうがいいに決まっているが、シエリーの件もある。またそいつらが裏切らないとお限らない。最新の注意を払って用心しなければならなかった。


 といってもその、そのメンバーの一人が、疑うべくもなく不審なのはどうかと思うが。


 そいつは「ああ、だりぃ」やたら面倒くさそうにしている、ローランという名前の男だ。


 何かにつけて面倒くさいだの、だるいだの言って、楽をしようとする。

 ちょといや、結構問題だろ。

 待て、少し前の俺ってこんなじゃなかったか?

 学校はさぼるは、勉強はしないわ。物は良く考えないわ……それは今もだが。


 作戦会議もそっちのけで、胡坐をかいて座り込んでいる。「少しは案だせよ」文句を言ったら。横になって「ぐぉぉぉぉ、ぐがぁぁぁ」わざとらしく寝息を立てやがった。すさまじく殴りたかったが、何とかこらえた。度重なるオリガヌの理不尽おかげで、成長しちまったじゃねぇか。


 そんなローランのスキルはこんな感じだ





 名前 ローラン


 レベル 90


 クラス 槍使い


 スキル -





 レベルはシェリーよりも高いが、まったくといっていいほど強そうに見えない。

 スキル欄が空白だ。またシェリーの時のようなインチキじゃないだろうな。そう思うが、単に地のような気もしなくもない。

 

「チビちゃん可愛いね。飴なめるかい?」


 そしてもう一人はやたら子供好きなベティーという女だ。

 里留の存在に気づくやいなや、その側から離れようとせず常にご機嫌とりしている状態だった。


 ベティーのステータスはこうだ。





 名前 ベティー


 レベル 95


 クラス 鞭使い


 スキル ー





 スキル欄を見て思った。ベティーもかよ。無ぇのか改竄してんのか、どっちだよ。ステータス見れる分、気になるじゃねぇか。


 眉間に皺をよせていると、里留を構い倒そうとしているベティーと目があった。そして「紅蓮って言ったね、確か。可愛い顔立ちしてるのに、随分と印象とは正反対の性格してるんじゃないか。凶暴さが引き立ってるよ」ズケズケと人の外見について発言してくれる。ケンカ売ってんのか。正確には俺の外見じゃねぇけどな。「褒めてるんだよ。そういう危ない曲がり方した人間、嫌いじゃないからね。こんなとこにいるんだ、色々あったんだろう?」ベティーの中での俺は一体、どんな目に合ってるいるのか。協力者は欲しかったが、妙な仲間意識を持たれるのは気持ち悪い。


 しかし、と俺は相変わらずだらけきった姿のローランを見る。他の人間ならともかく、奴とつるむとはどうなんだか。なんでこの二人、一緒にいたんだ。


「僕が言うのもなんだけれど、変わった組み合わせだね」


 似たような事を考えていたアレンが二人へ向けて尋ねる。

 それに女、ベティーが答えた。


「別に組んでるってわけじゃあないよ。たまたまこの面倒くさがりが、話が通じそうでパッと目についただけ」


 ちょっと前の試練があんなだったろう? と続ける。クイズだ。

 確かにあれは一人でこなすには無理がある。


「そっちこそ何でおチビちゃんがこんな所にいるんだい?」

「さて、何でだろうね」


 アレンはこちらに視線をやってから肩をすくめる。

 今は気分的に「さあな」説明してやる気はないので、無視だ。話したりしたらシェリーと同じ事になりそうだ。そんなワケないんだろうが。


 代わりに「いつの間にかここにいたの……」里留が説明する。若干、傍にいるベティーがうっとおしくなったのか、距離を取り始めながらだ。


 年端もいかない少女が不安げに言えば、ベティ―は大げさな様子で大変だったねと慰める。


 そして、「こんな所に子供を捨てていく親がいるなんてしょうがない親だね。」そんな見当違いを言った。そう思うのも無理はないかもしれない。が、それはまずい。


 何やってんだよ、俺。こんな所でしわ寄せくらってんじゃねぇか。俺が、あの時の居合わせた男だって、里留に打ち明けていれば、言われずに済んだってのに。


 里留はベティ―から離れてアレンの服にしがみついた。


 俺は助け船を出すつもりで言葉をかけるが……、


「捨てられたとか、限らねぇだろ」


 話はそんな所に着地しやがった。


「里留のお母さん……もういないよ。死んじゃった……」


 何言わせてんだ、俺。墓穴を掘った。里留に補足させてどうする。


 べティーは優しく「それはすまない事を聞いちゃったね。おチビちゃん、元気だしなよ?」少女の頭をなでる。「……」里留は身を引いたままだ。


「さて、と自己紹介もかねた雑談もすんだ事だし、そろそろ先に進まないかい?」


 アレンがそう先を促せばローラン以外の全員が頷いた。お前、天才で何でも出来んだろ。フォローしろよ。




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