第20話 隠された手札
フロア攻略はやはり簡単じゃなかった。
部屋の壁に空いた穴から、ビットという小さい円筒形の物体が出てくる。
その物体には数字が書かれていて、その書かれた数字の順に壊さなければならないらしい。
だが、当然大人しくやられてくれるわけもなく、標的は壁から出てくるなり羽を展開して、こざかしくフロア中を飛び回って逃げるのだ。
例の白オリガヌからの説明を聞いた後、「なるほどね」シェリーはルールを知るやいなや、群れるビットへと飛び込んでいった。
懐から取りだした何かを投げる。羽のついた小さい針の様な物だ。
鮮やかな手並みだった。「ぼさっとしてないで手伝ってくれる?」その様をぼーっと見てたら、注意されたわけだが。
シェリーはビットをの破壊を確認するいなや、すぐさま別の個体に針を飛ばしていく。仕事が早い。
アレンは剣を握って、「女性だけにやらせるわけにはいかないね」当然俺も杖を構えて、遅れながらもそれに混ざるが。
終わりが見えるまで、あっという間だった。
「あと三つ……」
これ以上ビットは出てこない。
フロアに飛んでるのは残り三つ、28、29、30の個体だけだ。
俺の出番があまりなかった。期待してたわけじゃないが。
アレンが剣で突いて、俺が杖でぶッ叩く、そしてシェリーが最後の一つを針で撃墜するが。
「ねぇ、悪く思わないでよ」
楽勝だな、と思った瞬間シェリーの声が飛んできた。
「ライバルなんだから」
「あ?」
「猛風!」
言った傍から、猛風が吹き荒れた。シェリーだ。あいつ魔法が使えんのか。
吹き飛ばされる。奴……アレンも、これには不意をうたれたらしい。
入口にぶつかる、と思ったら。
その入り口が開いて、まとめてフロアの外……階段の手前まで飛ばされた。自動ドアか何かかよ。
「いってぇ」
「やられたね」
無様に転がる俺と、無事に着地を決めるアレン。
紅蓮達は、向かいの出口を越えていくシェリーの姿を、何もできず見送るしかない。
幸い、吹き飛ばされなかったらしい里留が、こちらに向かって走ってくる。
「大丈夫……?」
一応はな。
けれど振り出しだ。
里留が出ると、入口が閉まった。
おそらく次入った時は、やり直しだろう。




