冷めることのない熱
どうして、そんなに悲しそうな顔をするの?
「生徒会長、さっきからなんですか?」
生徒会長はじろじろと私の方を見ている。正直、落ち着ちついて紅茶も飲めない。
「執事君となんかあったーん?」
思わず、紅茶を吹いてしまう。なんで、生徒会長がそのことを知っているのだろうか。
「執事君、よくこの学校きてるんで?この学校のお偉いさん、姫季ちゃんのお母さんやからねー」
生徒会長はゆったりとした口調で述べる。四季がここに?私でも知らなかった。
「別にあいつとは何もありません」
口元に付いた紅茶をハンカチで拭き取る。
「震えてるで、手」
「もう帰ります」
鞄を持ち、席を立つ。
「気を付けて」
私はこの人が苦手だ。私は、生徒会室を後にした。
靴を履く寸前にどこかに教科書を忘れていたことに気付く。確かに入れたはずなのに…。私は手当たり次第に探してみるが、どこにもない。後、心当たりがあるとすれば…。あそこしかない。
「なんで、四季がここにいるのよ」
生徒会室をのドアを開けると、そこには教科書を持つ四季がいた。しかも、ここはお嬢様高校だから男子は禁制だ。見つかったらただではすまないだろう
「奥様の権限で、女子高であるここにも男である私は入ることが出来ます。先ほど、生徒会長様から、お嬢様が教科書を忘れて」
「要するに、生徒会長に呼び出されたわけね」
あの狸。余計な真似を。と、思った瞬間。後ろから誰かに背中を押され、ドアが閉められる。開こうとしても、ドアには鍵が閉まっており開く気配がない。こんなことをするのは生徒会長だけだ。
「まったく、何がしたいのよ。あの人は」
下を向き、髪をくしゃくしゃにしてると、ドアの隙間から一通の手紙が姿を現した。手紙には執事君へと書いてある。
「四季。生徒会長からよ」
私は、その手紙を四季に渡す。四季は黙ってそれを読むと、ため息を一度吐き、私の名前を呼ぶ。
「姫季さん」
「なによ、改まって」
「何故、先日。僕にキスをしたのですが」
「好きだから」
その言葉は、案外スラッと口から出た。恥ずかしさはない。悔いはない。
「したかったから。四季と」
この十年の胸の熱さは未だに高くなっている。
ドアがガチャリという音と共に開く。
四季は私の手を取ると、そのまま歩き始めた。
「やり直しましょう。全部。一から」
「うん」
「もっと、素敵な思い出を貴女にあげます」
「うん」
嬉しさで涙が零れた。胸の熱さは冷めることを知らない。




