ー第11話ー 『炎神のグリム』
お久しぶりです…遂に勇者VS魔王。話がイーナ戦よりも短くなる希ガス…
平野に聳える漆黒の巨城。黒一色に染まる建物が壁の様に城を囲み櫓や罠をも黒に溶け込ませ存在を隠す。
それはまるで黒い要塞。
これが、魔王城……
「これを四人で攻めるのは辛いな…」
「どうする?誰かが王国に戻って援軍でも呼ぶ?」
「それは無いな。」
今から戻っては時間がない。戻っている間に魔王が俺たちを襲うかも知れない。
それに…
「今更って感じだね。」
翼を広げ羽ばたき空を飛ぶ黒い魔族。
数百か?武器には弓を持っている。
「鳥人。」
「初めて見たわね。」
鳥人達が矢を放ち俺たちに襲いかかった。
「真剣・極炎陣!」
炎の真剣を振り抜き降りかかる矢を全て焼き払う。
「閃光一線!!」
リーリャも俺の取りこぼした矢を打ち払う。
「ねぇ!なんか方法ないの!?これじゃあ埒があかないわ!」
襲いかかる矢を払いながらリーリャは問う。
「一つある。」
リンが魔王城を見つめ杖を撫でる。
「どんな方法なの?」
矢を焼き払いリンに聞いた。
「城壁ごと超越級神聖魔法で吹き飛ばします。」
まぁ、随分と派手な…
「よし!リン!やっちまえ!!」
考える時間なんて無かった。どうせそれしかやる事が無いんだ。
詠唱を開始したリンを全力で守る。
「行きます。超越級神聖魔法奥義…」
魔法神ダリナスは顕現しない。リンはダリナスを否定されたことを引きずっているのか、それでもダリナスはいなくても魔法は発動している。
『完全なる絶対崩壊』
その瞬間世界が割れた。
突然次元の亀裂でも入ったかの様な現象と共に眼の前に聳えた黒き要塞。
その半分が消えていた。
まるでその痕は巨大な狼にでも噛まれたかの様に。
バタリ
「リンッ!?」
リンが倒れた。タリウスに回復魔法を使って貰うが良くなる気配はない。
嘘だろ…魔力切れ?
普通魔力切れってのは起こらない。魔力が少なくなって来ると身体が怠くなったり気持ち悪くなったりする。そういう身体の警告も通り過ぎ一気に魔力が無くなってしまった為意識がなくなった。
魔力切れが治るには時間がかかる。普通は魔力が完全に回復するまでは動けない。
リンの場合は元々の魔力量が多いから回復にはかなりの時間がいる筈だ…
「ナガトっ!退がって!」
タリウスが前に飛び出し真なる剣を振り抜いた。
眼の前に結界が展開され魔王城から飛ばされた何かを防いだ。
「紅い槍?」
結界に突き刺さった紅い一本の槍。
突然それは形を変え三又の槍に変形した。
「変形した!?」
三又の槍が結界を侵食し貫いた。
タリウスが咄嗟に槍を受け止め弾いた。
その三又の槍は地面に落ちると死んだ様にその姿を消した。
紅い槍…
結界を貫くほどの破壊力…
まさか……
「魔王!」
「その通りだ!!」
天空から叫び声と共に放たれた槍が俺たちの間に突き刺さり地面が割れた。
紅い溶岩が噴き出し俺たちを襲う。
「真剣・氷壁!」
倒れたリンを庇いつつ襲いかかる溶岩を氷の波動で冷やし固める。
凍った地面に着地した紅い髪、黒い二本の角を頭に生やし、身なりは黒と赤のコート。胸には一輪の白い花のコサージュ。憎悪とも取れる黒い莫大な魔力が身を包んでいる。
「極槍・顕現」
紅い槍が男の左手に出現する。
リンをリーリャに任せタリウスと俺で構える。
男の魔力は膨大で自然と強敵と確信してしまう。
暫くの睨み合いのあと男が口を開いた。
「俺の名はファランド・グリム・ドワフール。『魔王』だ。早速だが、お前達、主にそこの『賢者』には死んで貰う。」
その瞬間『魔王』グリムが槍を投擲した。
なんだこの魔力…嫌な予感が…
その時槍が銛の様な形に変形し小さな小石ほどの鏃がばら撒かれた。
小さいが俺には見える
全ての鏃の軌道を見切り真剣で横に斬り捨てる。
『蛇腹状の投擲』
「なにっ!?」
斬った筈の鏃が爆発し背後から爆発に襲われた。
それに気を取られた瞬間、槍が俺とタリウスの間をすり抜けた。
「しまった!」
背後にはリンとリーリャが!
リーリャが予備のレイピアを抜き槍に触れ軌道を逸らした。
「光よ、我が同胞に聖なる光の御加護を!『光女神の慈愛』!!」
リンを囲う様に光の壁が展開される。
軌道を逸らした紅い槍は地面に突き刺さると同時に爆発する。
リーリャは爆風で吹き飛ばされ転がるが光の壁に護られたリンは傷一つ付いていない。
「極槍・顕現」
「真剣・氷帝」
「魔天・雷王」
紅い槍を構えた魔王に俺は振れば氷を生み出す氷の真剣を構えタリウスは強力な雷を纏った真なる剣を構えた。
グリムが動いた。紅い槍をおれ達に向け突き放つ。
槍から異様な魔力が形成されそこから紅い棘が無数に放たれた。
この棘は不味い。何故かそう錯覚した。
棘を全て躱し反撃に出る。
槍はリーチが長い。だが、懐に入れば此方が有利!
グリムの槍の一振りを躱し下からグリムの懐に入る。
真剣を振り上げる様に抜いた。
キンッ!
と言う鈍い金属音が響いた。
「…え」
見れば真剣はグリムの黒コートの袖に当たって動かなかった。
ニヤリと笑うグリム。
慌てて真剣を捨て距離を取る。
しかし、そこを狙われた。
「極槍・神殺し!!」
投擲された紅い槍は三又に変形し俺に襲う。
「ナガト!」
タリウスの展開する結界が俺を護るが三又の槍には足止めも行かずに貫かれた。
「…クッ!」
身体を無理に捻り地面を蹴って何とか躱す。
『蛇腹状の投擲』
再びばら撒く様に放たれた鏃
それは俺に容赦なく突き刺さった。
瞬間の爆発
「があぁぁぁぁぁぁ!!!!」
身体を引き裂く様な猛烈な痛み。それでも俺は死ななかった。
激痛に膝をついた。
「ナガトッ!!…『魔王』!!覚悟!!」
白い稲光を纏った剣と紅い炎の槍が交わり弾けた。
雷が打ち消されタリウスが吹き飛ぶ
「俺は決してお前達を許さん…」
グリムを取り巻く黒い魔力が更に巨大にその存在感を示す。
「最愛の妻を…イーナを……お前達は……」
グリムが槍を強く握った。俺とタリウスは不意打ちに対応する為に構える。
「絶対に生かしては帰さん……四肢を裂き『死』よりも恐ろしい生き地獄を味合わせてやる……」
黒い魔力がグリムに収束し包み込む。
この光景…イーナの時も……
黒い魔力は突如紅く炎の様に色づき黒と紅が混ざり合う。
その魔力は自然と膨張し強大な威圧の波動も放っている。
「『魔力解放』!!」
熱気を帯びた黒く紅い波動が放たれ一気に辺りの温度を上げる。
波動による熱量で地面に生えた草は焼け消える。
グリムを包む魔力が突然発光し思わず眼を閉じる刹那の爆発。
全身を焼く様な熱気が俺を吹き飛ばした。
………これが魔王…
『炎神』のグリム……
ども、ほねつきです。
リンが早速ダウン。そしてリーリャの謎の活躍というカオスが起こっております。
リーリャの活躍は置いといて何故リンが魔力切れを起こしたかと言うと…長くなります。
ですが作中で語れるか微妙です。簡単に言えばただの人間が神の技を使ったから倒れたって感じですかね。消費魔力が桁違いなのに使っちまったから…ってな?
あと、魔力解放は一部の条件を満たした魔族にしか使えません。なのでライト・メアは………




