ー第9話ー 『神など居ない。』
「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
突然ライト・メアが頭を抑えて苦しみ始めた。
俺たちもそれは予想外の事で思わず立ち止まってしまう。
ライト・メアは俺たちの攻撃を全て避けたり攻撃を二重にしてくるかなりのテクニックを持った手強い相手だ。
あのリンですら転移を使って攻撃を回避するなんて初めてみたし、あのリンが「避けて!」なんて言ったの初めて聞いた。
兎に角この男。今まで戦った『魔将』達よりも手強い。ズオウの言っていた魔王の近衛だと言うのも頷ける。
問題は魔法の手広さだ。術者は大体、使える魔法に偏りが出来たりするものだが、この男は違った。様々な種類の魔法に俺と同じ武器を生成する様なスキルを身に付けている。
だが、一体どうしたんだ…突然苦しみだして……
地面に横たわっていたライト・メアがゆっくりと立ち上がり平然とした顔で俺たち4人を見る。
何か、雰囲気が違う。
そう感じ身構える。
ライト・メアはゆっくりと口を動かし口元を吊り上げニタリと笑った。
「アハッ、面白そうじゃない。」
「なに」
さっきと口調が違う。見た目は同じだが何かが変わった。
ライト・メアは視線を動かしリーリャを見た。
「そーね。まずは一番弱い奴からいたぶってあげようかね。」
その瞬間ライト・メアは消えた。
弱い奴…リーリャ!?
咄嗟にリーリャに向き直ったが誰も居ない。
と、目の前にライト・メアの顔がドアップで映る。
その時には顎を強く蹴られ空中を舞っていた。
「なーんてね。弱い奴は最後に逃げ惑う所を殺すのよ。」
なんて下衆な…だが、明らかに違う。これは本当にさっきのライト・メアなのか?まるで全くの別人みたいだ。
俺の周囲に氷柱が無数に現れた。
あ、ヤバい。
「ファイアフレア」
リンの放った炎の波動が氷柱を溶かし俺は無事に地面に着地する。
「あらー、そこまでは演算してなかったわー、失敗失敗。」
ライト・メアがケラケラと笑う。
おかしいな。さっきまで戦っていたらこうなる事も予想出来たと思うのだが。
「へー、そゆこと。賢者ねー、随分と図に乗った称号じゃない。」
ライト・メアは笑う。リンを小馬鹿にする様に。
「顕現せよ。『ダリナス』」
え!?リン!?
リンの背後に巨大な魔法神ダリナスが顕現する。
「まぁーなーにあれー?……ふーん、魔法神ダリナスかー。」
神の顕現に恐れも驚きもしないライト・メアはリンを見て堪え切れなくなった様にケラケラと笑い始めた。
「アハハハハハハ!!!賢者さーん?馬鹿でしょ、神さまなんて居ないのよ?」
ケラケラ笑いまだ続ける。
「既に21世紀後半に科学的に実証されているのよ?アハハハ!!……あらー、違った、この世界では実証されていなかったかー。失敗失敗。」
この世界ではない?
21世紀後半に科学的に実証されている?
この世界では無い…まさか、地球?俺と同じ転生者なのか?
ライト・メアは荒野の砂を掴み投げる。風で散って砂は地面に落ちた。
「だからさー、神さまなんか信じても居ないのよ?信仰するだけ無駄。辞めちゃいなさいそんな無駄なこと。」
「そんな事…ない…」
ほんの少しか、ほんの少しだけダリナスの色が透けた気がした。
「あら、そう。まぁ、良いわこの程度の文化レベルでは信じられない事が当然ね。」
ライト・メアの背後から紫色の魔法陣が何十も展開される。
「ヤバい!!分散して避けろ!!」
咄嗟に指示を出し俺達はバラバラに散る。
紫色の魔法陣はヤバい。あらは強力な魔法が発動する前触れ。
「あらー分散して正解。でも、避けられるかしらね?」
指を差したその先に薄れて消えかけたダリナスを展開したまま立ち尽くすリンがいた。
「リン!!」
駄目だ動かない。
「破滅魔法。『エタニティエンド』」
四方に放たれた無数の紫の光線が荒野を破壊しリンへと襲い掛かる。
「リンッ!」
気付けば自分でも驚く程の速さでリンの前に立ち両手を広げリンを庇った。
「アハハハハハハハハハハハ!!!なーにこれぇ!!楽しいィィィ!!!」
襲いかかる強力な魔力。身が砕け散る様な衝撃とムカつく位の高笑いを聞きながら俺の意識は一旦途絶えた。
《スキル『不屈の心』が発動可能です。》
《Continue? YES NO 》
勿論『YES』だ。
再び広がる視界。
座りこんで呆然としたリンが無事だった事を安心する。
「アハハハ!!!えぇぇ?なーにそれー?スキル?それもスキルってやつなのぉぉぉ?」
ライト・メアが消え背後に強力な魔力を感じ振り返り構える。
「なっ、」
目の前にあったのは魔力で盛り上げられた土の山。そこから魔力を感じるだけでライト・メアは居ない。
「アハッ!ざーんねん!」
背後から首を刈り取られた。
《スキル『不屈の心』が発動可能です。》
《Continue? YES NO 》
再び広がる視界。ライト・メアをリーリャとタリウスが囲んでいた。
「アハッ!面白いねー!それが剣って言うのー?強度はどれくらいかなぁ?えいっ!」
リーリャに向かって拳を振るいリーリャは咄嗟にレイピアでガードする。
ライト・メアの拳がレイピアに触れた瞬間レイピアがまるで爪楊枝でも折るかの様にペキッと折れてしまった。
「アハハハハハ!!!なーにそれぇ!脆いのねぇ!」
リーリャの足を払いバランスを崩し倒す。
「りゃぁッ!」
タリウスがライト・メアの気をそらし何度も斬りかかるが読まれている。完全に全ての攻撃が避けられている。
「ふーん、ワールドバーン」
高く跳躍して無詠唱で形成した魔力の球体がタリウスを襲う。
「舐めるなぁ!!魔天・雷王!!」
強力な雷を帯びた真なる剣が球体を二つに斬り裂きその中をタリウスは突き抜けライト・メアに斬りかかる。
「ありぁ!?」
タリウスがライト・メアの肩を斬り裂こうと剣を振り下ろす。
ガキッと音を立てタリウスの剣が肩で止まった。
「アハァ?」
ニヤリと笑ったライト・メアがタリウスを蹴り飛ばす。
直線的に地面に叩きつけられるタリウスにライト・メアは魔法陣を展開した。
「エタニティエンド!」
放たれる光線に俺は走った。しかし、その心配はいらなかった。
真なる剣は光輝き結界を展開し迫る光線を完全に防いだ。
「何によそのふざけた結界はぁ…」
ライト・メアは不貞腐れた様子で地面着地する。
「ナガト…」
背後にいたリンが今にも泣いてしまいそうな顔で俺の腕を掴んでいた。
「ナガト…ダリナス様はいないのかな?」
普段の大人びた口調では無い年相応の口調でそう聞かれた。
…そうは言われても俺も正直無神論だしな…どう答えるべきか。
「魔法神…ダリナスね、居るよきっと」
俺は息を吸って言葉を続ける。
「だってさ、リンはダリナスが呼べるんだからさ。」
ニコリと笑ってリンの頭を撫でる。
背後からの殺気に咄嗟に反応し真剣で弾く。
「ねぇ?ねぇ?なーに、イチャイチャしてんだぁ?調子にのるなよぉぉぉ!!」
ライト・メアが空に浮かび先程よりも多くの魔法陣を展開する。
「私の前でそんな事をするなぁぁぁ!!!エタニティエンド!!!」
大地を削り四方に放たれる光線。
タリウスはリーリャを庇いながら結界を展開する。
俺もリンを守ろうと真剣を構えるといつの間にかリンが前に飛び出していた。
「『消失する絶対魔力』」
一瞬眩い光が放たれ眼を開いた時には光線は消えてしまった。
「失敗失敗。まさかぁ、まだ魔法とか使えるとはぁ思わなかったわぁ」
ライト・メアはケラケラ笑い首を回す。
「じゃぁ、肉弾戦始めましょうかねぇぇ。へー、身体強化なんてものがあるのぉ、便利ねぇ、じゃあ。『身体強化』」
ライト・メアに魔力が纏われたのがわかる。だが…魔力が少ない様に感じる。
「アハハハハハハ!!すっごぉい!なんだか身体が軽いわぁ!!」
ライト・メアが軽々と飛び跳ね楽しんでいる。
「じゃ、先ずは勇者…お前か…………あ……れ………?」
ストンと電源が落ちた様に突然倒れるライト・メア。
やはり……
「あれれ?おかしぃ…な…」
こいつ……
「身体が………失敗…失敗…意識が………」
魔力切れだ!!
ライト・メアが倒れてしまった為一気に場が静まり返った。
「……仮にも四大魔将が、魔力切れってしょうもないわねぇ…しかも、此奴女みたいな喋り方しちゃって。」
リーリャが気絶するライト・メアを足でつつく。
確かに女みたいな話し方だった。ただ、それは突然変わったんだ。最初からじゃない。此奴は…一体……
そのライト・メアの口が僅かに動いた。
「……自律回避を行います…強制転移。」
その瞬間ライト・メアは転移しこの場から消えた。
ライト・メア……気になる点が多すぎる…いつか話が出来れば良いんだが……
そんな事を思いながら俺は全員の無事を確認した。
レイナ「アハハハハハハ!!」
メア「」
ども、ほねつきです。なんだかパッとしない出来ですかね?まぁ、それは僕の力不足なのでその辺に置いといて。
さて、魔法神が薄れたりとか、メアになんか女がいるとか、またなんか色々後付けみたいな内容が出てますけどね、僕の中でこの作品の初期設定的なものからは乖離は全くって言って良いくらいにしていないんですね。まぁ、その内、主人公抜きでこの世界の理を解き明かして行こうかと思います(キメ顔)
今のは嘘です。主人公も勿論絡んで行くことにはなってしまうでしょう。うん。そうなりたい……
では、また。




