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不死身の神官〜色々平均以下の俺が転生して不死身になった〜  作者: ほねつき
ーヨールパル大陸ー 魔王勇者決戦編
88/252

ー第8話ー 『Reina』

メア視点。主人公はお休み。


「メア。くれぐれも頼んだぞ。」


「はっ!必ずやお守り致します。」


身の丈程の剣を持った漆黒のコートを着たメアは踵を返し玉座を出た。

数人の魔族に見送られメアは魔王城を出たのだった、部下の一人も付けずに…


__________________________________________




『死んではいかんぞ。』


随分と無茶な命令だ。これからたった一人、時間を稼ぐ為に勇者達と戦うというのに…


魔王の上に存在する大魔王。そんな強大な力が存在した事が驚きだったがその大魔王の部下であるあのバンシィという男、相当な実力者だった。まるで歯が立たない。僕がE-AIの警告を無視して仕掛けた戦闘もあの男は俺に反撃する事なく無傷で持ち堪えた。


E-AIの『鑑定』や『能力分析』は全て抵抗レジストされこの世界に開発されていない魔法を幾つも行使したにも関わらずその全ては相殺された。


圧倒的魔力と判断力。一瞬でその攻撃を分析しその対になる属性で少ない魔力で相殺する。それは相当な経験をした者でなければ成せない技だった。

だが一つ、E-AIでも理解出来なかった不可解な事があった。

あの男は何故、破滅魔法の中で高位に位置する最上級破滅魔法『ワールドバーン』を受けて無傷で生還したのか。一体どんな方法を使い無傷で生還したのか。あの男が頻繁に使っていた防御魔法の一つである『魔防壁』を行使したのか、そう一つ説が出たが魔防壁は空間に壁を作る為、範囲系の魔法のワールドバーンだと防いだとしたら明らかな防御の境界線が出来る筈なのだが、あの場合はそれが無かった。

あの男は一体どうやって防いだのか疑問は残る。


だがそれは今は関係のない事。

問題は勇者だ。勇者の強さは未だ未知数、スペラ様の情報によるとイーナ様を倒したのは勇者ではなくその仲間の賢者らしい。

賢者とは人族の魔法使いの上になる力の持ち主の事だ。

王都シューラ侵攻時に大量のスケルトンを滅した力の張本人だろう。

スペラ様は大変お怒りになっていた。それもそうだろう、母親が目の前で殺されたのだ怒らない方がおかしい。それにグリム様、イーナ様が亡くなられてからあの人は自らの『死』を語るようになってしまった。


グリム様は変わってしまった。


全てはそう、勇者が居なければ…


勇者が現れなければイーナ様は殺される事なくグリム様も変わる事はなかった。勇者。勇者だ。勇者を倒さねばグリム様は…魔族は…終わる。


魔王城を発つ前僕はグリム様に命令を受けた。

僕が勇者、もしくは勇者の仲間を倒すことが出来なければ即座に転移魔法で帰還し少数の部下を連れブゥルムンド大陸まで撤退せよと受けた。


何故僕を撤退させるのか、その真意は分からない。


それよりも、今は目の前の事に集中しよう………






魔王城を出ると広がる荒野を少し歩いた所で4人の人族と対峙した。

先頭に立つのは男二人赤髪の男『雷剣』、黒髪の男この男が『勇者』だろう。

その後ろに構えるのは魔法剣士の金髪の女、それと藍色の髪の小さな女。

スペラ様の情報によればこの小さな女が『賢者』だという注意せねば……


「貴方は一体?」


勇者以外のそれぞれが武器を構える。構え方はそれぞれで金髪の女が一番隙だらけの構えをしているがおそらく見せかけ・・・・なのだろう。


《ー解ー 確率29.2%》


ええい!煩い!見せかけだ!見せかけといったら見せかけなのだ!!


「私は、『魔将』ライト・メア。お前たち勇者はここから先へは行かせない。」


「ライト…メア…お前が……」


勇者が反応した。おそらく何処かで聞いた事があるのだろう。勇者の魔力が一気に跳ね上がり右手から光る剣が生成された。

また…この能力は一体なんだ?


《ー解ー スキル『真剣』》


『真剣』?なんだそれは?


《ー解ー 魔力量によって様々な剣を顕現させる事の出来る伝説のスキル。補足、創造魔法の劣化版》


成る程、創造魔法か、ならば。


《モデル図作成完了。生成を開始します。》


E-AIの自立支援で僕の思考を先読みし武器の生成が完了した。

半透明のクリスタルの様な双剣だ。

両手に出現させ軽く使い心地を試す。流石E-AI僕が動きやすい様な重量になっている。


「なに…『真剣』!?」


勇者が動揺した隙を狙い地を蹴り距離を詰め斬り払う。

勇者は反射的にその斬り払いを防いだ。

横から雷剣の剣が襲ってきたのをバックステップで躱し双剣を交差させる。


「閃光一線」


光の光線をE-AIの自律防御によって双剣で防ぐ。


《ー結界構成ー 魔将の領域ジェネラルフィールド


E-AIから展開される僕の魔将のスキル。防御の結界、魔将の領域が行使され僕の周囲を囲む。


「アイス・ブラスト」


周囲に現れる氷の粒が僕を襲うが結界によって護られる。


「轟け雷鳴、唸れ雷我が威光を見せたまえ。『サンダーボルト』!!」


雷剣の放った雷が地を走り襲い掛かる。


《ー警告ー 自律回避します》


E-AIに制御された身体が双剣を両脇に捨て身体は地面を蹴り退がる。


地を走る雷が先の鋭い双剣に流され雷が大きく分裂し僕を綺麗に避ける形で雷が消えた。

雷を維持する魔力が分かれたからだろう。

E-AIの制御が解除され身体が自由になる。


「そんな…攻撃が…」


どうやら流石の『雷剣』も全ての攻撃を躱されるとは思ってはいなかった様で愕然した様子だ。


《ーダークフレア詠唱完了ー ーファントム・フレア詠唱完了ー ー魔結界詠唱完了ー ー身体能力強化詠唱完了ー ー身体能力倍加詠唱完了ー ー魔力残量83%ー》


良し。強制転移の詠唱を開始。身体能力強化は常時発動。魔力残量15%で強制転移。

これより戦闘を開始する。


《ー了解ー 詠唱開始。これよりバトルフェイズに移行。戦闘補助を行います。》


「ダークフレア!」


《ーファントムフレアー 》


空間に二つの魔法陣が出現しその二つは重なりそこから黒い炎が放たれる。


「ウォーターベール」


賢者の行使した水の壁がダークフレアを防いだ。…様に見せかけた。


「!!…避けて!」


賢者の叫びに勇者達は咄嗟にダークフレアを躱す。

ファントムフレアは対象の魔法とそっくりの偽物の魔法を創りだし敵に放つ魔法だ。それ自体に攻撃力は無いが実体はあるので先のウォーターベールの様にウォーターベールと相殺させ本命のダークフレアを当てる。

二つ同時の詠唱が必要で常人では出来ない。僕の中にE-AIがいる事によって出来る芸当だ。


《ーファントムフレア詠唱完了ー》


《ー警告ー 防御結界発動。》


「アイスストーム」


賢者の放った氷の竜巻が防御結界に阻まれる。


《ー警告ー ー警告ー 》


「うぉぉぉぉぉ!!!!」


氷の竜巻の中から飛び出してきた勇者が結界を斬り裂き破壊する。

氷の粒が僕を襲う。


《ーファイアベールー》


身体全体に炎に包まれ氷の粒から身を守る。

ワールドバーン詠唱開始。


《ー了解ー ワールドバーン詠唱開始》


「っ!」


「真剣・双撃!!」


勇者の生成した双剣の絶え間ない突きを左腕に一度貰った。

流れ出る血を無視して右手で背中に付けた長剣を引き抜き勇者と距離を取る。


《ーワールドバーン詠唱完了ー》


「ワールドバーン」


《ファントムフレア》


ファントムフレアの掛かった黒い球体が勇者達を押し潰す様に落ちる。


「ディラ兄!!皆んなを守って!」


前に出た雷剣が蒼と紅の剣を天に突き出すとそこから光り輝く結界がドーム状に広がり勇者達を覆う。

ファントムフレアとワールドバーンはその結界に阻まれ消滅した。まるであの男の魔防壁だな。似た様な種類か?


だが、厄介だ殲滅系の魔法を防ぐ手が有るとは流石に辛いな。

だが、そう何回も有るはずはない。

魔力残量は?


《ー解ー 63%》


……思ったよりも減りが早い。これでは勇者達の戦力をあまり多くは削れない…


ならば、出来る限り相手の魔力を減らすのみっ!


魔力を纏った長剣で振り下ろし斬撃を放つ。勇者達を二手に分散させ隊列を崩す。

賢者を狙って斬撃を放ちそれを防いだ賢者の背後に転移する。

長剣を振り下ろし賢者の首を狙う。

その時賢者と眼が合った。その眼はまるで………


「リン!!」


「強制転移、マジックロック。」


賢者が転移し俺の身体は魔法によって縛られる。

あの眼…あの何も写していない様な眼はまるで………




レイナ…



《ーコード『reina』認証ー》



…しまった!!


止めろ!取り消しだ!E-AI!命令を取り消せ!!


《ーコード認証完了ー》


止めろ…


《ーE-AIモードチェンジー》


駄目だ…


《ーロック解除ー》


駄目だ…やめてくれ…


《ーE-AI-R起動ー》


『コード『Rreina』起動しました。』


『アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ』


頭に流れ込んでくる彼女・・の声。


次第に身体のコントロールが奪われる。

クソ…こんな筈じゃ……


『こぉーんな筈じゃなかったぁぁぁぁ?』


「ぐぁぁぁぁぁ!!!」


激しい頭痛に襲われ立つ事すらままならず地面に倒れてしまう。


『ねぇぇぇぇ?めぇぇぇあぁぁぁ?なーにがーこぉーんな筈じゃなかったのぉぉ?』


再び激しい頭痛。


「ぐぁぁぁぁぁ!!!」


やめ…ろ…レイ……ナ……


『えぇぇぇぇ?メェェアァ?私に会いたかったんじゃなかったのぉぉ?』


耳元で囁く様な彼女の声が頭を駆け巡る。


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」


『なーに?あいつらをやっつけるの?へー、メアも逞しくなったね。』


やめろ……その声で……レイナの真似を………


激しい頭痛。


『えぇぇぇぇ?なーに?真似ぇぇぇ?なにがぁぁ?私は私、正真正銘のレイナよぉぉ?メェェアァ?』


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


『まぁ、良いわ。随分と面白いコトしてるみたいだから私が代わってあげるわ。』


ふざけるな………


言い返せても身体は動かない。完全にレイナに乗っ取られた。


クソ……こんな………こんな筈じゃ…………



それでも僕は身体が勝手に動かされるのを黙って感じていることしか出来なかった。

ふむ、やっと魔将最終話のフラグが復活したの。アレっす、最後の最後でぶち込んだフラグ、レイナさんです。

レイナさんについては何も書かない的な事を言っていましたが……どうしましょう…書いた方が良いんですかね。

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